IB認定校への道 -お金の話-

スポンサーリンク




みなさん、こんにちは。熊谷優一です。筑波大学附属坂戸高等学校で国際バカロレア・ディプロマ・プログラム・コーディネーターをしています。

今回は国際バカロレア(IB)とお金の話をします。ここは日本の国公立の高校に勤める一教員として、私はまだ納得できていないところです。

私立の高校なら学校の特色を出すために、お金をかけてどんなことでもできると思うんです。その分それなりに学費もかかります。でも、生徒も保護者もそれを求めてその学校を目指すわけなので、そういう選択肢は当然、アリだと思います。

しかし、公立の学校には公立の学校の役割がありますし、IBの教育を受ける可能性がある絶対的生徒数が少ないので、ごく限られた一部の生徒のために多額の税金を投じることに疑問を投げかける動きもあります。

私は一教員です。教育政策制定に関わることはできません。でも、納得したいんです。なぜ、この教育を日本の公教育に導入する必要があるのか。今日は、私と一緒にみなさんにも考えていただければ嬉しいです。

IB認定プロセス

IB認定を目指す学校向けに、文部科学省は「国際バカロレア認定のための手引き(平成27年9月大臣官房国際課)」という資料を公開しています。リンクから入手できます。

IB校として認定を受けるためにどのようなプロセスを踏むのかについては、以前このブログでも取り上げました。詳しくはこちらをご覧いただければと思います。

IB認定校になるには、どのようなプロセスを経るのか熊谷優一が解説します。
IB認定校になるには、どのようなプロセスを経るのか熊谷優一が解説します。

IBの教育プログラム、ここではディプロマ・プログラムを実施する高校の認定プロセスをかい摘んで説明します。

学校はまず、国際バカロレア機構に対し、IBのプログラムを実施することに対して関心があることを伝えます。これが「関心校表明」という段階で、お金はかかりません。検討した結果、プログラム実施を学校が決断したら「候補校申請」を行います。このあたりから、事務手数料などお金がかかることになります。候補校申請が受け付けられると、学校はIBOから正式に候補校として位置づけられます。そして、必要な手続きや訪問を経て、認定校申請を行います。認定校申請をして間もなく、最終訪問を受け、そこでプログラム実施の準備が整っていると判断されれば、めでたく認定校としてIBのプログラムを実施できることになります。

認定に係る事務手数料

実際に、筑波大学附属坂戸高等学校の認定プロセスを振り返りながら、事務手数料について見ていきたいと思います。費用はアジア地域の学校は今現在、シンガポールドルで支払うことになっています。ここでは1シンガポールドルを80.5円で計算し、日本円で大体の金額を記します。

2015年1月:関心校表明
2015年3月:候補校申請(約50万円)
2015年9月:候補校(期間中毎年約110万円)
2016年6月:コンサルテーション・ビジット
2017年1月:認定校申請書類締め切り
2017年1月:確認訪問
2017年2月:認定校(期間中毎年112万円)

候補校に申請する段階で申し仕込み手数料が約50万円かかります。候補校になると、期間中毎年約110万円の候補校としての年会費(?)を納めることになります。認定校になると、認定校として毎年約112万円のライセンス料(?)を支払い続けることになります。この金額は少しずつ値上がりしています。

合計すると約270万円、IB認定(ディプロマ・プログラム)を目指す各学校は負担することになります。IBの各プログラムによって手数料は異なりますが、文部科学省は2020年までに日本でIB認定校を200校にすると言っていますから、日本からIBO(本部ジュネーブ)に相当の金額が動くことになります。また、認定されても、毎年年会費がかかるので、IBのプログラムを実施する限り、一定の額を各学校は支払い続けるということになります。

他にもお金はかかります

かかるお金は、認定手数料だけではないんです。主なものを挙げますね。

・スターターパック購入
・校長、指名されたコーディネーター、科目担当者がワークショップに参加
・IBが求める施設(科学実験室、図書室、試験保管庫など)要件を満たすための工事
・IB関連図書購入
・Wi-Fi設置
・訪問者の旅費、宿泊費、食費を負担
・調査研究費

3日間にわたって行われるIBのワークショップは参加費が約8万円です。文部科学省がここ数年、参加費を負担し、日本各地で多くの科目のワークショップが開催されました。その補助も今年度で終了することが発表されています。しかし、7年に一度、IB科目の内容が見直され、それが発表されると「見直し期間」中に必ず学校から誰か1人はワークショップに参加しなければなりません。ワークショップの参加費用もそれなりにかかり続けるということです。日本で開催されないワークショップは海外で受けることになるので、そうすると旅費もかかりますね。

IBが求める施設要件は非常に厳しいです。結果、「かかったなぁ!」というのが私の正直な感想です。さすがにここではいくらいくらとは言えないので、どこかで私を見かけたときに聞いてください。

認定されてからも、5年ごとにIBからプログラムがちゃんと実施されているのか評価を受けます。認定申請と同様、ペーパーワークが待っています。そしてまた訪問を受けることになります。

この他にも、生徒たちの成績や課題を管理するため、「Managebag」というサービスを利用している学校が多いです。それにもサービス料がかかります。生徒が書いた課題論文の「学問的誠実性」を証明するため、「Turnitin」というサービスを利用しているところもあります。

最後に

私はこれからの日本の教育にIBという学び方が必要だと強く感じていることは、このブログでも再三主張してきました。しかし、費用負担が過ぎると持続できません。一方IBの名を語って、IB校やIBコース以外の生徒に教育をするのはIBOは難色を示しているようです。これはお金を払った人のみが承けられるプログラムという性格をIBがもっているからだと思います。

以前、「教育財源の必要性」について書きました。IBを日本の公教育に導入することは、現政権が決めたのです。各学校や自治体に全額を負担させるのではなく、一部何らかの形で負担を検討してほしいと思います。

2017年5月30日に行われた教育フォーラムで熊谷優一が話してきました。

また、これだけのお金をかけてIBをやるんです。IB校の生徒でなくても、日本全国の子供たちがこの学びや学び方を選択できるようなシステム作りが必要です。そして我々IB認定校も実践事例をどんどん報告して、この学びのプロトタイプを作っていきましょう。IBを日本の公教育に導入するというのはそういうことだと私は思います。

このところ、私のエントリーが続いていて、そろそろみなさん飽きてきた頃ではないでしょうか。次回はバンコクのインター校に勤める鵜野晋先生の2回目のエントリーです。お楽しみに。

スポンサーリンク




フォローする