IB認定校への道 -外国人教員の採用と免許申請-

スポンサーリンク




みなさん、こんにちは。熊谷優一です。筑波大学附属坂戸高等学校で国際バカロレア(IB)・コーディネーターをしています。

日本語DPといえども、6科目中2科目は英語で学習することが文部科学省によって義務付けられています。グループ2の言語Bを英語にして、さてもう1科目は何にするか。それは学校にどんな先生がいるのかに左右されます。

今日は外国人教員の採用と特別免許状申請について取り上げてみたいと思います。

外国人教員の採用

日本の教員免許を持っている日本人の先生が、英語でDP科目を教えられるのであれば今日のトピックは何の問題もありません。しかし、生徒募集上、外国人の先生の採用なしに、DPを実施するといって、どれほど生徒と保護者から信頼を得られるでしょう。

DPは6科目の内、最低2科目は英語で学ぶことが文部科学省から義務付けられているので、やっぱりそこは英語ネイティブの先生がいるといないでは見え方は変わるのではないでしょうか。

しかし、外国人教員の採用、そして一条校で教える場合、その先生への免許の付与はIB認定校にとって、なかなかどうして簡単にクリアできる問題ではありません。

IB業界、といっても主にインター校の相場ですが、DP科目を教える先生たちの年俸は結構高いです。インター校の学費を見ればわかりますよね。また、大体が単年度契約、もしくは長くても2年、3年間の契約でより条件のいいところに移るというのがIB教員の一般的なキャリアの築き方ですから、その分年俸が高めに設定されているのだと思います。また、福利厚生面では、子供の学費や住居費、引っ越しにかかる費用は学校が負担するところが多いようです。

とすると、外国人教員の採用に際して、学校がどれくらいの金額を負担するか察しがつくと思います。実際、ある一条校ではアメリカの新聞に教員募集の広告を出したり、IB教員紹介のエージェントを通したりして採用にこぎ着けたそうです、エージェントを通すと紹介料として、年俸の高いところで40%ほど取っていくところもありますからね。国公立はお手上げ。私立でもなかなか厳しいのではないでしょうか。

このように、IB認定校にとって、外国人教員を採用するのは簡単なことではありません。

免許という第二のハードル

それに加えて、一条校で教える先生は外国人であっても、基本的には教員免許状が必要です。最近は社会人や外国人にも特別免許状を付与し、より多様な学習を提供できるようになっていますが、県によってその申請方法はまちまちのようです。IB認定を目指している時に公立のコーディネーターの先生から、免許申請で苦労しているという話を聞きます。

私が聞いた範囲のことですが、英語ネイティブの先生に特別免状を申請する際、ある自治体の教育委員会はTOEFLのスコアの提出を求めたそうです。日本人の先生に日本語能力試験を受けろと言っているようなものです。

またあるところでは、指定の時間をアシスタントとしてTeam Teachingしていないと申請ができないところもあったようです。でも、私の学校でもそうでしたが、外国人の先生に特別免許状を付与して、年度初めからひとりで授業ができるようにするには、最低でも6ヶ月前にその学校にいないといけません。

もし教育委員会の方でこれをご覧になったら、免許申請の方法をもう一度考えてはいただけないでしょうか。IBは学校の勝手で導入が決まったのではないはずです。それぞれの自治体をあげて、学校教育に風穴を開けたいという思いが根底にあったはずです。外国人教員の採用はDPには必ず必要です。

ただ、教育委員会のみなさんにとっても、外国人に教員免許を付与することはあまり慣れていないかもしれません。みなさん、困ったら文科省に直接問い合わせましょう。力になると言ってくれています。

女神現る

私の学校ではフィリピン人のIB教員として長らく教鞭を取ってきた先生を採用しました。彼女がEnglish BとTheatreを担当します。グループ6(芸術科目)でなぜTheatreを選んだのかと質問を受けることが多いのですが、彼女が教えられることと学校に演劇教室があることが最大の理由です。

さて、みなさん、私が初めてIBのワークショップに参加した時のことを覚えていますか?2015年3月、マカオで行われたコーディネーションのワークショップです。下のエントリーでも書いたので、「ああ、あれね」と思われる方もいるのではないでしょうか?

参加したEdmodoCon Japan 2017について

ああ、今思い出しても忸怩たる思い!あれからもう3年がたちます。実は、そこで知り合ったんです。そのフィリピン人の先生と。もうあんな惨めな思いをするのは絶対に嫌ですが、そんな絶望的状況の中でも救う神はいるのです。

「わからない」「ついていけてない」で満載だった私に手を差し伸べてくれたのが、彼女でした。色々ありましたが、6ヶ月後には筑坂で私の隣の席に座って一緒に仕事をしていました。

彼女はIBの先生として10年のキャリアがありましたが、一条校で教えるためにはもれなく日本の教員免許が必要です。外国人や社会人が学校で教える場合、上記で述べてきたとおり、特別免許状を申請することになります。

埼玉県の場合は、所定の申請書類、実務経歴証明書、そして研修計画など提出する書類は比較的簡素でした。TOEFLのスコアも前年度の日本の学校での指導履歴も問われませんでした。ただ、申請者に対する面接が日本語で行われました。日本語が話せない場合は、通訳が同席することができます。私が通訳として同席しましたが、面接官の質問の主語と動詞を見分けるので苦労した思い出があります。

申請を始めてから、特別免許状がおりるまで、大体5カ月くらいかかったと記憶しています。特別免許状の有効期限は10年。更新するには免許更新のための研修を受け、再交付を申請します。特別免許状を交付され、同一の学校で3年以上の勤務実績があると、4年目以降、大学で所定の単位を取得すれば日本人と同様の免許を申請することができると埼玉県は説明しています。

最後に

IB校にとって、外国人に免許状を与えることが現在大きな課題になっています。それは自治体によって、申請の方法や求められることが異なるからです。

外国人を雇用するといった前例が国公立ではなかなかありませんものね。いろいろ危惧されるのは理解できます。

でも、お願いします。教育委員会のみなさん、外国人教員の特別免許状の申請について、再考してほしいです。申請に際し、求めるものが理に適っているのか、吟味して、それを公表してほしいです。

始まったばかりのIBが発展し、実を結ぶために、今が一番しんどいときだと思います。その中で外国人教員を採用し、免許を与えることはプログラム実施のために不可欠だということをもう一度繰り返して今日は終わりにしたいと思います。

次回はバンコクのインター校でIBを教える山田浩美先生へのインタビューをお送りします。

スポンサーリンク




フォローする