世界の日本人学校を巡る旅

スポンサーリンク




私は現在、2019年4月開講の大阪市立水都国際中学校・高等学校という公設民営校の国際バカロレア・ディプロマ・プログラムコーディネーターとして開設準備に当たっています。その水都国際ではどのような学びが待っているのか、6月30日を皮切りに大阪各所で説明会や体験授業を行ったり、ワークショップを開いたりしてきました。

そしてこの学びをもっとたくさんの人に知ってもらえればと、国外の日本人学校を訪問してきました。私は台北、台中、ホーチミンに、太田先生はクアラルンプール、シンガポール、ハノイに、他のスタッフは北京、上海に。もっと行きたかったのですが、今年は日程的にそこが限界でした。来年はもう少し広げていきたいと思います。

海外子女教育という文脈

みなさん、こんにちは。熊谷優一です。前任校である筑波大学附属坂戸高等学校で国際バカロレアという教育プログラムの担当になって以来、たくさんの日本人学校を訪問してきました。それは新しいプログラムを知ってもらうためです。

筑波大学は世界13箇所に拠点を持っています。その拠点のスタッフが一堂に会するという噂を聞き、附属坂戸で導入されるIBコースの広報活動に手を貸してほしいと訴えたのが昨年でした。そして、瞬く間にドイツ、ベトナム、マレーシアでの広報活動が実現します。

訪問した国々では、必ずIBを導入している学校、IB生を受け入れている大学、現地日本企業や日本貿易機構にも足を運び、そして日本人学校で説明会や個別面談をさせていただきました。私は日本で生まれ育ったので、実際に海外にある日本人学校を訪れるまで海外子女教育事情をよく知りませんでした。

日本人学校といっても、日本大使館附属だったり、現地日本企業の法人の集まりの出資によるものだったり、実に様々な形態で運営されていることを知りました。学校規模も送り迎えのバスが何十台も並ぶほど生徒数が多いところもあれば、小さなところもありました。交通の便や治安の良し悪しで、送迎のスタイルも異なります。教員採用方法や授業料もみんな違うということも行ってみて初めて知ることばかりでした。

五里霧中

昨年、私が初めて海外の日本人学校を回って筑坂のIBプログラムを広報した時の顛末はIB認定校への道 ‐IBを広報する‐でも取り上げましたが、あの時はすべてが手探り。どんなニーズがあるのかもはっきりとはわかりませんでした。

IBプログラムを国内外に広報するのもコーディネーターの仕事です。

何度か繰り返しているうちに、日本人学校に通っている子供たちは、日本の学校に通うことにあこがれを持っていることがわかりました。部活や行事を楽しみたいという声も多く聞きました。一方で、日本の学校では同調性バイアスが強いことを懸念する声もありました。

これまで海外で勉強してきたことを活かして、帰国後も学び続けたいというニーズに国際バカロレアのプログラㇺが答えられるのではないかと思うようになりました。何よりも興味関心が日本国内での説明会よりも目に見えて高かったからです。

日本人学校で説明をするときには現地校、インター校に通うお子さんの保護者の方も見え、このブログへのアクセスは海外から増えていきました。以来、韓国、ドイツ、ベトナム、台湾、マレーシアから問い合わせいただいています。

みなさんが書かれていたのは、帰国後、学校を選ぶ際に圧倒的に情報が不足しているということでした。どんな先生がいて、どんなふうに学ぶことができるのか、学校のパンフレットだけでは見えないことの方が多いですよね。学校選びは霧の中。保護者のみなさんは総じて不安を抱えています。

そこで、今回日本人学校を訪問した際は、少しだけですが、模擬授業を行うことにしました。

サイゴン・デップ・ラム

ホーチミン日本人学校では約10人の中学3年生と20人の保護者のみなさんが見えました。学校説明をする前の約20分くらい模擬授業を行いました。いつもと同じように『ジャイアン、スネ夫、しずかちゃん、ドラえもんのうち、誰がのび太の人生に最も悪影響を与えているか』という質問から始めます。この日も実に様々な意見が飛び交い、時には笑え声が、時には唸り声が響きました。このアクティビティについてはナレッジキャラバン at 大阪(06.30)で取り上げたので、詳しくはこちらをご覧ください。

6月30日に行われた水都国際学校説明会の模様を熊谷が報告します。

この質問は、「Negative Corners」という4つの選択肢の中から最もネガティブなものを選び、それを選んだ理由から自分はどのような知識を持っているかを見つめます。今回は、それを参加者と共有することで多様な視点があることを理解するために行いました。深夜ラジオのハガキのコーナーのようなお題ですが、「悪影響」をどう定義するかを見つめることで、自分の人生をどう生きるのか、その姿勢が浮かび上がってくるのが面白いところです。

その後は、日本アクティブラーニング協会と共同開発した「新しい大学入試問題」の水都国際オリジナル問題です。みなさんはどんなオブジェを作りますか?

ここでは、作品を制作する過程でどんな知識が発揮されたのかについて、暗黙知を意識知に変容させるために丁寧に振り返りを行います。実は自分は何を知っていて、それをどのように知っているのか、知ったのかということを対話を通して言語化していきます。

子どもたちの発言に、保護者のみなさんは、そんなことを知っているんだと驚いていました。参観した先生も普段の取り組みとは異なる子供たちに新たな一面を見たとおっしゃっていました。大人は子供たちが目に見える形であらわさないと、子どもたちは何かについて知らないとジャッジしがちですが、実際はその知識を発揮する場がないだけなんじゃないかなと思うんですね。

最後に

こうした抽象的でオープンエンドな質問は私たちの知的的欲求を高めます。オトナもコドモもそれは関係ないんですね。説明会が終わって、中学生も保護者のみなさんも、それぞれの思いを私を囲んで話してくれました。

アクティビティでは語りつくせなかったこと、やってる最中もやもやしたこと、違う考えするようになったこと、疑問、感想などなど……。一度火がつつくと、私はただそこにいるだけでいい。いつもの光景です。この時間がとても重要なんですよね。自分が考えたことを振り返り、言語化し、誰かに聞いてもらって、またフィードバックをもらいながら、新たな次元に自らの知識を持っていくことができます。

いわば、私はそれを見届ける人。私が持っている知識には限りがありますが、マナブヒトに寄り添い、そしてそのマナビを見届けることがもしかして役割なのかなぁとふと思いました。だったら、どこでもできます。

『Most Likely to Succeed』無料上映会を、仙台、南三陸、気仙沼に続いて、前任校である筑波大学附属坂戸高等学校で12月15日(土)に開催します。映画上映後はワークショップも行います。詳しくこちらの「Most likely to succeed」 上映会のご案内のリンクをご覧ください。海外でも上映してほしいという声をいただいているのですが、真に受けてもいいでしょうか?

スポンサーリンク




フォローする