『Most Likely to Succeed』という教育に関するドキュメンタリー映画を見たのは今年6月のことでした。「経済格差や地域格差が学習格差を生まない仕組み作り」のため、どんな工夫が必要なのかについてあれこれ考えている私にこの映画はたくさんのヒントをもたらしました。
上映会開催
こんにちは。熊谷優一です。この映画の上映会を9月の仙台に引き続き、11月23日(金)に南三陸町、11月24日(土)に気仙沼市で上映することになりました。どちらも入場は無料。映画は日本語字幕でご覧いただけます。詳しくは以下のチラシをご覧ください。
『Most Likely to Succeed』in 南三陸町
期日:11月23日(金)13:30~16:00(開場13:00) 会場:宮城県志津川高等学校 |
『Most Likely to Succeed』in 気仙沼市
期日:11月24日(土)13:30~16:00(開場13:00) 会場:海の市2階 スクエアシップ |
Most Likely to Succeed
この映画は、米国のカリフォルニア州にある High Tech High というチャータースクールに通う2人の高校1年生に密着し、その成長過程を追います。日本と同様な受験偏重型教育と、生きる力を身につける実践的な教育のバランスをどう考えるかなど、国は違えど、教育に関する課題はどの国も同じような事情を抱えています。その課題について、時代背景を丁寧に解説し、親や教育者の悩みに触れ、有識者の意見や子供の変容を受け止めて、今後どのように変革していくべきか考えさせられる作品です。
何となく閉塞感ばかりが充満する日本の学校教育。地方における教育はどこからかじ取りをすればいいのでしょうか。急激に進むグローバル化とIT化。地方の教育は後れを取り続けているという不安が広まっています。
でも、私は都市部に比べて、地方の教育が遅れているとか、劣っているとは全く思いません。むしろ、豊かな自然と文化の中、地方で学び、育てることは、子供たちにとって確かな肉体的感覚を伴った知識と情緒を育むことを可能にしていると思うんです。
21世紀を生きる子供たちに
でも、グローバルに活躍する人材を育成するといった文脈においては、もうひとつそこには工夫が必要です。世界の人々とコミュニケーションをとる力と語学力、そして自らの学びを系統だて、発信する力を養うための仕組みが必要だと考えます。
もはや知識を伝達するタイプの学び方ではなく、既存の知識を応用して答えがひとつとは限らない課題に取り組みながら、自分なりの、自分たちなりの答えを出していく学び方にシフトしつつあります。私たち、大人が受けてきたような教育ではない方法でこれからの子供たちは学んでいくことになります。
学校も、先生も、子供たちも変わっていくときに、社会が、会社が、大人がそれを知らなくていいのだろうか……。最近、国内外の企業の方とお話ししたり、保護者のみなさんや先生方とお話しする中で、一度みんなで、「今、教育はどうなってんの?」という話し合いの場が必要なのではないかと思い、この上映会を計画しました。
どうぞ、南三陸町、気仙沼市のみなさん、お近くのみなさん、興味を持っていただける方であればどなたでも、気軽な気持ちでいらして下さい。当日は映画上映終了後、最近の教育の動向を実際に体験していただきながら。これからの教育について一緒に考えたいと思っています。
最後に
この映画を上映するにあたり、南三陸町、気仙沼のみなさんには多大なるご協力をいただきました。また、出身者のみなさんにも広報に力を貸していただきました。心より感謝申し上げます。
誰から頼まれたわけでもないのに、なんでこんなことをやるのかとよく聞かれます。確かに、「ヨゲマヅ(余計なことする人のことを言う三陸の方言)」だなと自分でも思います。ただ、私は子どもたちに、「自分にはできない」ではなく、「もしかして、できるかも」って思ってもらえたら、その子たちだけでなく、そのまわりも、ゆくゆくは社会に全体に少しでも希望をもたらせるんじゃないかって、結構マジメに思っています。
私がどんな立ち位置で教員をしているのか、こんなことをしているのか、ふるさとの子供たちへ vol.1、vol.2という二つのエントリーをご覧いただければと思います。随分前に書いたのですが、結局のところ、私はここから何も変わっていません。
足を運んでくださるみなさんにとって、何らかのきっかけになれるように誠心誠意ファシリテーターを務めます。みなさんとお目にかかれることを心より楽しみにしています。
次回は9月29日(土)に仙台で『Most Likely to Succeed』を上演した後のワークショップの模様をレポートします。