学校という枠を超えて学びに行こう!

みなさん、こんにちは。熊谷優一です。この夏、先生たち向けの面白そうなセミナーや研修会、フォーラムがたくさんありました。行きたいと思っても、校務もありますし、さすがに全部には行けません。私がこの夏、国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)のワークショップの合間に参加したのは、今私が一番興味を持っている「学びのポートフォリオ」についての研修会です。

学びを可視化する

もはや学びは学校で完結する時代ではありません。以前「ふるさとの子供たちへ vol.1vol.2」でも述べましたが、今社会は学生たちに様々な学習機会を支援・提供しています。情報さえつかめれば、どんな地方に住んでいようとそういった機会を得ることができます。だから情報収集はとても大切です。

自らの経験を踏まえて、進学の芽を探ることを熊谷優一が提案しています。
進学の芽を探ることを熊谷優一が提案しています。

しかし、情報を得ても、すぐ行動してチャンスをつかまなくていけません。チャンスはある日突然やってきます。いつだって準備万端な状態で挑戦できるとは限りません。私自身を振り返ってみると、「えいやぁ!」と、もう勢いで何とかするしかない場合がほとんどでした。

だから重要なんです。普段から自分がどのような学びをしてきたのか、人に見せて語れるようにしておくことが。それが「学びのポートフォリオ」です。学んだことをあるキーワードによって分類したり、応募するプログラムの特徴に投じてそれを取捨選択して見せることができれば、何か突然降ってわいたチャンスにも瞬発力を持って対応することが可能になります。

点数で人を評価する時代の終焉

私の場合は、まずメモ帳に学んだことや疑問に思ったことなど記録して、それをノートに書き写しながら、自分の学びをまとめたものでした。結構な手間だったように思いますが、その過程で気づいたこともたくさんあります。私はそれをB2の鉛筆でやっていました。手は真っ黒になります。でも、今は文明の利器がありますからね。PCやタブレットでもできますし、何ならスマホで十分です。手を汚すことはありません。

時代はテストの点数でその人の学力を測るのではなく、その人がどんな経験をしたのかを評価しはじめました。ノートにまとめるもいいですが、せっかくなのでパソコンやスマホでやりませんか。個人情報なので注意は必要ですが、自分1人だけではなく、多数の人に見てもらえて、そこからさらなるチャンスにつながる可能性があります。まずは無料のツールを使ってみましょうよ。フェイスブックやブログも自分以外の人に公開しなければ、自分に向けた記録としてその役割を果たすことができます。

学校という枠を超えた学びの場

今の若い人たちは凄くラッキーって思うんです。私たちが子供だった30年位前は海外で中高生が学んだり、様々な国の人たちと一緒に何か取り組んだりという学びの場はほとんどありませんでした。

私の学校の生徒は、もちろん全員ではありませんが、この夏休みに約3週間インドネシアでフィールドワークをしたり、オリンピック教育の一環でリトアニアで20か国を超える国の生徒たちと合宿したり、韓国の高校で行われた模擬国連に参加したりと、様々な経験をしたようです。

韓国の高校で行われた模擬国連は、私が以前韓国に住んでいたつながりからIB校に認定されたのを機に、招待を受けたものです。私は生憎学校説明会と重なったため生徒と一緒に韓国に行くことは叶いませんでした。

私はかつて韓国の高校でも教えたことがあるのですが、韓国の学生たちはとにかく長時間勉強します。早朝から休むことなく深夜まで学び続ける体力を持っています。案の定、模擬国連期間中は朝7時半から深夜2時頃まで活動は続いたようです。それを4日間ぶっ通しでやるというんですから、筑坂の生徒たちはさぞヘロヘロになっていることだろうと思っていたら、意外と彼らはケロッとその日程をこなし、たくさんの友達を作って帰ってきました。

期せずして韓国の学校の先生から、「両国の生徒たちを繋ぐ橋になってくれて本当にありがとう」とお礼のメールが届きました。私は実際には何もしていないのですが、「あなたが私韓国で学んだことが今の生徒たちの学びに繋がったんじゃない」と引率した先生に言ってもらい、ちょっと胸が熱くなりました。学んできたことに無駄なことはなかったなと実感しています。

最後に

次回から何回かにわたって内閣府青年国際交流事業で派遣されたラオス団の青年の中から、2人の青年が、なぜそのプログラムに応募しようと思ったのか、そして何をラオスで見聞き体験し、どんなことを感じたのかについて書いてくれます。団を率いたのは明治大学教授、森永由紀先生です。日本女性として初めて南極観測隊に参加されたことでご存知の方もいらっしゃると思います。私は学生たちの指導に情熱を注ぐ森永団長の下、副団長として14人の大学生とともにラオスを訪問しました。

中高生のみなさん、学校以外にも見渡せばたくさんの学ぶ機会がみなさんの応募を待っています。ぼた餅もただ寝ているだけでは降ってきません。貪欲に拾いに行きましょう。いつでも瞬発力をもってチャンスをものにするために、これまで学んできたことを人に見せられる形で記録しておいてください。役に立つ時が必ず来ます。

そして、学生向けにポートフォリオのシステムを開発している企業のみなさん、ぜひぜひたくさんの生徒が継続して利用できる持続可能なシステムの構築をよろしくお願いします。さらに言うと、あんまりお金がかからなくて、ICTに疎い先生たちにも使いこなせて、フィードバックがしやすい…といったら贅沢なお願いになってしまうでしょうか。