IBと日本の教育について

前回更新後、予想していた以上にアクセス数が伸びてビックリしています。今後、ますます国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)への関心が高まって欲しいと心から願っています。

苦い経験から

参加したEdmodoCon Japan 2017について

EdmodoCon Japan 2017」で紹介した、私のIBワークショップでの苦い経験の話が大前研一氏の「世界への扉を開く“考える人の育て方–国際バカロレア(IB)教育が与えるインパクト」という本で触れられていると教えていただきました。

早速本屋に行き、手に取ってみると・・・

「日本国際バカロレア教育学会」会長の犬飼・ディクソン・キャロル先生のインタビューの中で、私が以前キャロル先生に話したことが確かに触れられていました。

キャロル先生について

キャロル先生は、筑波大学大学院のIB教員養成コース立ち上げに尽力されています。そして私を一人前のIBコーディネーターに育てるべく、指導してくださっています。そういえばいつだったか、私の話をしてもいいかと聞かれたような……。

キャロル先生と初めて対面した日、どんな流れでそういう話題になったのかは忘れてしまいましたが、モンティ・パイソンの話で盛り上がったのを覚えています。歩きながら「Always Look on the Bright Side of Life」を2人で歌ったりして。

キャロル先生は、日本がこれまで行ってきた教育実践を高く評価しています。そして、IBを導入することによって、更に発展させることができるともおっしゃっています。私が勤めている学校の体育の授業を、彼女と参観した時のことです。

生徒たちは男女各3グループに分かれて、トランポリン、マット運動、跳び箱をしていました。1人がトランポリンを練習している間、他の生徒たちは「中央からそれている!」など助言をしながら、バランスを崩して転倒するときに備え、両手を差し出して待機しています。跳び箱やマット運動でも、ケガをしないように交代で生徒同士が介添えをしていました。

すると、ある生徒がなかなか跳び箱を跳べないでいます。周りの生徒は「次はお尻を高く上げるイメージで!」など次々、彼にアドバイスをしました。彼は試行錯誤の後、跳び箱を跳ぶことができました。彼は喜びを顕わにし、祝福を受けながら、今度は他にも跳べずにいる級友たちに助言をするようになりました。

私たちからすると、ごく普通の体育の授業風景です。しかし、そこに日本独自のたくさんの学びがあることを彼女は指摘しています。「IBが日本の教育を発展させる可能性と共に、日本のIBが世界の学びを発展させる可能性がある。あなたそれを叙述しなさい。」と私の両肩をがっしり掴んで彼女は言いました。

IBの学習者像とは

さて、IBはその教育の目的について次のように記しています。

IBは多様な文化の理解と尊重の精神を通じて、より良い、より平和な世界を築くことに貢献する。探求心、知識、思いやりに富んだ若者の育成を目的としています。

文部科学省 国際バカロレアについて 2.国際バカロレアの理念 (1)IBの使命(The IB mission)より-

また、どのような若者を育てたいかは、以下の10の学習者像(Learner Profile)に表れています。

・探求する人(Inquirers)
・知識のある人(Knowledgeable)
・考える人(Thinkers)
・コミュニケーションができる人(Communicators)
・信念を持つ人(Principled)
・心を開く人(Open-minded)
・思いやりがある人(Caring)
・挑戦する人(Risk-takers)
・バランスがとれた人(Balanced)
・振り返りができる人(Reflective)

文部科学省 国際バカロレアについて 2.国際バカロレアの理念 (2)IBの学習者像(The IB Learner Profile)より-

IBと日本の教育について

先ほどの体育の授業で生徒がとった行動を、このIBの学習者像に照らし合わせて考えてみると、結構当てはまる項目がありませんか?

IBの教育は、日本のそれと著しく乖離しているわけではない。私もキャロル先生もそう考えています。

当ブログ(今からIBをはじめる君へ)を読んでいる先生方は、授業内外で行っていることを。生徒のみなさんは、今まさに学んでいることを。保護者のみなさんは、学校で提供される様々な学習機会を上記の学習者像に照らして整理してみませんか?

日本の教育を見直すために、IBというフィルターはかなり使えると思うんです。

最後に

「知っていて選択しないことと、知らなくて選択しないことはまるで意味が違う」と言ったのは、このブログを共同で運営している松岡航です。

IBのことを一度知ってみてください。情報量が多く、理解するまで時間がかかりましたが、私はハマりましたよ。そして知ることでたくさんの機会を得ました。

このブログがみなさんのIBを理解する助けになれたら幸せです。これからも様々な情報を発信していきたいと思うので、時々覗いてみて下さい。

今日も読んでいただきありがとうございました。