みなさん、こんにちは。熊谷優一です。国際バカロレア・ディプロマプログラム(DP)の2021年5月試験が始まっていますね。生徒のみなさんは全神経を集中させて約一か月に及ぶ試験に臨んでいつと思います。試験を受けているDP生のみなさんが安全に、そして全力で取り組むことができるよう心から祈っています。
DPは2年間の学習プログラムです。プログラムの終わりには約一か月に及ぶ全世界共通の日程で行われる最終試験を受験します。成績は内部評価(プレゼンや口頭試験など)と外部評価(最終試験やエッセイなど)が合算され、45点満点中、何点を取ったかによって、どういった大学に進学できるのかが見えてきます。ディプロマ(資格)自体は、24点以上取れば取得できると思ってください(ただし、細かいルールがあり、24点以上取っていてもディプロマを取得できないケースがあります)。
新年度が夏~秋に始まる学校は5月試験を、冬~春に始まる学校は11月に試験を受けます。日本ではインタナショナルスクールは8月末~9月頭に新学期が始まるところが多く、5月試験を受験します。国交私立の、いわゆる一条校は4月に新年度が始まるので11月試験に受けます。ちなみに、韓国の学校は3月に新学期が始まり、11月試験を受けます。
試験は各言語に翻訳された全世界共通の問題です。英語、フランス語、スペイン語の公用3言語に加え、すべての科目ではありませんが、一部中国語、日本語、そしてこれから韓国語でもディプロマプログラムの科目の試験を受けることができます。
試験はどこかの会場で受けるのではなく、各学校で受験します。そのため学校は試験問題が流出しないよう、厳重な安全対策を施すことが求められます。以前、とある国のDPC(DPコーディネーター)がIBから送られてきた試験問題をコピーして生徒に売ったという事件がありました。試験を保管する部屋や防火金庫のカギはDPC以外持つことを禁じられていますから、IB認定校に当たりDPCが最も厳しく審査されるのも納得ですよね。私はこれまで2つの学校でコーディネーターとしてIB認定を取りましたが、その都度、それは厳しく見られたものでした。ホント、たった2日間の訪問でかなり神経を消耗しました。
さて、全世界的なコロナウイルス感染拡大によって、2020年5月の最終試験が中止されました。一方、11月は予定通り行われました。2021年は試験が行われる国(Exam Route)・地域と行われない国・地域(Non Exam Route)があり、成績が公平につけられるのかに注目が集まっています。
日本国内では5月も11月の試験も予定通り実施されますが、今後の国内のコロナウイルスの感染状況によってはどうなるかわかりません。ただ、前回説明したように、2021年の最終試験の範囲は大幅に縮小されたため、高得点を狙いやすい状況にあることは事実です。
話は変わりますが、5月頭に中国のDPCから、DPCネットワークに「みんなの国や地域では試験は行っているのかい?」と問いかけがありました。それに対して、40件を超えるレスポンスがありました。試験を行っている国地域(Exam Route)と試験を行っていない国・地域(Non Exam Route)をまとめてみると、次のようになります。
<試験を行っている国・地域(Exam Route)>
広州(中国)
南アフリカ
バレンシア(スペイン)
ルガノ(スイス)
キシミー(フロリダ州・アメリカ)
エレディア(コスタリカ)
グリーンフィールド(マサチューセッツ州・アメリカ)
ボスニアヘルツェゴビナ
台湾
サウスカロライナ州(アメリカ)
エジンバラ(テキサス州・アメリカ)
香港
インディアナ州(アメリカ)
コロラド州(アメリカ)
シャーツ(テキサス州・アメリカ)
フィンランド
マドリード(スペイン)
パキスタン
ノルウェイ
バンクーバー(カナダ)
ハワイ(アメリカ)
スウェーデン
ケイマン諸島(イギリス)
カイロ(エジプト)
モーリシャス
タンザニア
南アフリカ
<試験を行っていない国・地域(Non Exam Route)>
インド
ケンブリッジ(オンタリオ州・カナダ)
テキサス州(アメリカ)
インドネシア
イギリス
サクラメント(カリフォルニア州・アメリカ)
ブダペスト(ルーマニア)
ポーランド
ドバイ(UAE)
フランス
タイ
ハミルトン(オンタリオ州・カナダ)
イタリア
コロンビア
同じ国でも国土が大きいところは州によって実際されたり、されなかったりするようですね。日本でもコロナウイルス感染拡大状況によっては、11月試験が行われなくなったり、行われる地域と行われない地域が出て試験を行っていない国・地域(Non Exam Route)がでてきたりする可能性も否定できませんが、どういうオプションが目の前に現れても最善を尽くせるように準備しておきましょう。