今回は、新春特別インタビュー:山田浩美先生に聞く-1-に引き続き当ブログにもご協力いただいている、NISTインターナショナルスクール(バンコク)で国際バカロレア(IB)の日本語を担当している山田浩美先生に伺ったお話をみなさんにお届けします。
では、早速参りましょう!
DP生の大学進学について
また、5月に最終試験を受験して公式に結果が出るのが7月6日であるため、生徒達はPredicted Grade(予想点)を提出する事でConditional Offerをもらっています。これはオーストラリアやイギリス、カナダなどの大学も同様です。先にきちんとした形で合否を確定させたい生徒は、SATの点数を提出し、IBのスコアはどちらかというと一年目の単位として計算してもらっているようです(3年から3年半で大学が卒業できます)。
授業実践について
例えば、中学2年生の教科書に出て来る『アイスプラネット』の授業では、「自由な生き方が出来る職業とは」というGuiding Question (問題提起)から入りました。ここでは どのような仕事が縛られる事無く自由な形でできるのかということで話し合いをしました。例えば、YoutuberやBloggerなどです。
例えば、この作品に出て来る「ぐうちゃん」という主人公の叔父は、40歳に近い年齢であるにもかかわらず定職につかず、姉(母親)の家に居候をしながら好きな写真をとったり、ときどき測定師の仕事をしたりして収入を得て、その後また旅に出て行きます。そのような弟を見ながら姉の母親はいつもため息をついていますが、義理の兄の父親は羨ましいとこぼします。
この作品の主題が一体何か、そしてどのようなメッセージをどのような読者に対して伝えようとしているのかをクラスの中で話し合っていきます。この単元の最終的な課題は、創作です。日記、視点を変えて作品を書き換える等、子供達に自由な形で創作をさせています。
他には、「走れメロス」のメロスの友達の立場からメロスの帰りを待つまで3日間の日記を書くというのもIBの事例でありましたね。「高瀬舟」のお兄ちゃんの弟を殺害する前の日、殺害した日、捕まった日とか…
もう少し事例をいただけませんか?
この単元では詩の分析ももちろんしますが、自分の思いを表現するという事で、社会問題について詩を作るか、演説をするか、小説を書くかで子供達に選択肢を与えました。
この詩の単元で学習したものは「私が一番きれいだったとき」という詩でしたが、表現という観点からまた違ったテキストタイプも入れてみました。ここでは、詩の学習から入り、表現には様々な形があるということから、演説(ヒトラーの演説、スティーブジョブの演説、そして小泉元首相の演説を)を見ながら、どのような形式が有るのかを子供達と学習後、自分が一番興味がある社会問題に焦点を当て(奉仕活動の大切さ、中絶問題、ニートの問題、ながらスマホ等)を焦点を当てて演説させました。
他にも「故郷」の学習後、映画のトレーラーを作成したり、ニュースについてのコメンタリーを書いたりしています。
最後に
前回、今回と山田浩美先生から最終試験のこと、大学進学のこと、そして授業実践について伺いました。惜しげもなくこれまでの経験を共有していただいた山田先生に心から感謝申し上げます。
まだまだ日本のIBは始まったばかりです。先生の立場から、生徒の立場から、保護者の立場から、様々な情報が共有されていく中で発展していったら、認定校のみならず、IBの教育が日本の教育に何等かの刺激や示唆を与える存在になるのではないかと期待しています。
当ブログでもまだまだたくさんの声を紹介していきますので、どうぞご期待ください。