4回に渡るこのシリーズも今回で最終回になります。今日は、ちょっと裏ワザといきましょうか。候補校申請や認定申請をしている学校、またはすでに認定を受けている学校向けの情報です。
ワークショップ参加に関する要件
『DP学校のための認定ガイド(Guide to school authorization: Diploma Programme)』にワークショップ参加に関して以下のような記述があります。
・ 候補校申請前に、校長または指定代理人が国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)カテゴリー1ワークショップに参加する。
・ 教員には『ディプロマプログラム認定校申請書(Application for authorization: Diploma Programme)』と同時に提出する「コース概要書(Subject OutlineまたはCourse Outline)」を起案することが求められているので、事前に各種ワークショップに参加し準備しておいたほうがいいでしょう。教員研修関係の要件は、確認訪問時には満たしていることが求められます。
・ ディプロマプログラムの科目を教える教員は全員、担当教科のIBカテゴリー1ワークショップに参加すること。
さらに、TOK(Theory of Knowledge:知の理論)やCAS(Creativity・Activity・Service:創造性・行動・奉仕)を担当する教員、DPコーディネーターのカテゴリー1のワークショップに参加することが求められています。
ワークショップの質
2015年の夏に東京で行われたワークショップで、いくつかのDP科目の質はお世辞にも満足できるものではなく、その当時は文科省からの支援もなく、お金を払って参加していたこともあり、正式にIBに対して抗議しました。同様の例は、香港やジャカルタで行われたワークショップでも聞こえてきました。
また、カテゴリー1のワークショップでは、IB初心者に向けた情報が多く、実際に科目担当者が「コース概要書(Subject OutlineまたはCourse Outline)」を作成するうえで、必要な情報を得るのに十分な時間が配分されているとは言い難いのが現状です。また、評価についてはカテゴリー2で扱われるので、カテゴリー1だけ受けても何か釈然としない思いが残ると思います。
一方で、たった3日間ですべてを網羅できるほどIBのプログラムは簡単ではありませんし、また認定申請段階において、そこまでの理解をIBも求めてきません。この期間に自分なりのIB観や、IB科目観を形成し、普段の授業の中で実践しながら感覚を掴んでいくのがいいと思います。
でも、「ちゃんと教えてくれよ!」と言いたくなる気持ちはよくわかります。ワークショップに参加する際は、教えてほしいこと、知りたいことがはっきりしているのであれば、それをワークショップリーダーに伝えてください。
ワークショップの裏ワザ
これは認定校向けの情報かもしれません。ワークショップ参加に関する要件は2017年4月に新しくなりました。「Meeting PD requirements」で確認することができます。
こちらによれば、その科目の見直し期間にはその学校で各科目誰かしら1人の先生がワークショップに出ていれば、必ずしもその科目の先生が全員ワークショップに参加しなくてもということです。
『国際バカロレアを中心としたグローバル人材育成を考える有識者会議第3回会合議事録』から国際バカロレア日本大使の坪谷ニュウエル郁子委員の発言を引用します。
IB教員の確保に関してなんですけれども、これはIBのワークショップを受けなければIBを教えられないというふうに誤解されているところだと思いますが、そういったことではなく、主任の先生が受けて、その先生がほかの先生に習ったことを教えるといったことで、IBは別にワークショップを受けなければ、それが教えることができないといった種類のものではないんですね。ですから、お金が掛かるワークショップには、主任の先生が受け、その主任の先生が受けたことに関して、皆さんがそれを学ぶといった形式も考えられるのかなと思います。
-国際バカロレアを中心としたグローバル人材育成を考える有識者会議第3回会合議事録-より
規模が大きいIB校はひとつの科目を何人もの先生で受け持つということがあります。校内で誰かしらその該当科目のワークショップに参加していれば、必ずしも全員のIB教員がワークショップに出なくてもいいということですね。科目ガイドが見直されるときはコーディネーターに情報が来ますから、それを基に計画を立てるのがいいと思います。
最後に
私は2015年3月にマカオでコーディネーション(カテゴリー1)を、8月に東京でTOK(カテゴリー1)を、9月に香港でJapanese B(カテゴリー1&2)を、そして2016年8月にCAS(カテゴリー1)を、9月にジャカルタでコーディネーション(カテゴリー2)に、そして2017年3月に仙台で管理職(カテゴリー1)に参加しました。
特に、カテゴリー2のワークショップではIB担当者として必要な情報をようやく手に入れた感がありますし、また管理職のワークショップを受けて、コーディネーターとしてもうちょっと丁寧に管理職と話をしないといけないなと思いました。
しんどい思いをしたこともありますが、日本のみならずIB教育に携わっている海外の先生方とネットワークを構築できたことで、私の教育者としての視野は格段に広がりました。県立と国立と私立では異なる教育文化を持っていることを知りました。一条校とインター校、そして日本の学校と海外の学校ではこんなにも教育環境が違うのかと毎度驚かされます。でも、参加されたどの先生も、生徒を思い、一生懸命指導に当たっているという点で、「オレたちセンセイだなぁ」と共感することがたくさんありました。
海外のインター校で指導している山田浩美先生も、阿部公彦先生もそうですが、みんなアツイんです。日本の先生たちもアッツイ先生ばかりです。出会えて本当にうれしくなります。
日本全国の先生方、もし興味を持っていらっしゃったら、(できるだけタダで)IBのワークショップ受けてみませんか?即授業で活かせることもあるので、私も隙あらば参加し続けたいと思っています。そして、このネットワークを広げていきましょう。
今日も読んでいただき、ありがとうございました。
そうそう。この夏いくつかのワークショップで言語サポートをすることになりました。もし参加される先生方がいらっしゃったら遠慮なくお声がけください。お会いできるのを楽しみにしています。