ふるさとの先生たちへ vol.1-2

みなさん、こんにちは。松岡航です。先日、熊谷が母校の気仙沼高校で行われた職員研修のファシリテーターを務めました。その様子は「ふるさとの先生たちへ vol.1-1」に記されています。私もこの研修に同行しました。今回は私の目線から、研修の様子を振り返りたいと思います。

母校の気仙沼高校の先生たちを対象に、熊谷優一がワークショップを開きました。

その前に少しだけ…最寄り駅である気仙沼駅へは、一ノ関駅から約1時間30分のローカル線の旅です。乗り鉄ではないですが、ローカル線に乗るのって楽しいですよね。美しい景色はもちろんですが、難しい漢字の駅名が多いことが、今回の旅で印象に残っています。

答えが1つではない?

この教職員研修の中、優一さんは先生方にワークショップ形式の課題をいくつか出しました。ここでは当日使用したスライドから、課題の1つを紹介します。ぜひみなさんも考えてみて下さい。優一さんではないですが、答えは1つではありません。いくつもありますよ。

Make an Open Question from Below.

それぞれ画像を見て、答えが1つではない問いを作りましょう。
その問いはどのような知識を応用して作りましたか?

-気仙沼高校職員研修用資料より-

私にとっては見慣れた光景ですが、先生方を前にしても優一さんはいつもの授業のように振る舞っていました。ただその授業に参加しているのが、先生方ということにはやはり違和感がありましたが、課題に取りんでいる様子は学生と変わりなく、真摯に取り組んでいる様子が見えました。担当する科目ごとにグループを作っていた関係もあって、教科毎に取り組みに対するアプローチ、発表の仕方に違いが見られました。この違いについて話をしてみても面白いだろうなと思います。

気仙沼高校の先生方は頭を抱え、苦戦しながらも、糸口を見つけると、そこからは優一さんも驚くような問いや答えが次々と出されました。

優一さんが気仙沼高校の生徒だった、当時の担任の先生が今も同校で教鞭を執られています。気仙沼高校の先生の中でも上位の年齢であるその先生が、担当されている社会科の知識を絡め、まるで予習してきたかのような問いを発表されました。

職員研修に参加された先生方が、研修後も職員室の至る所で研修の続きを行っていたと伺いました。

公立学校の先生

誤解を恐れずに言うと、私は日本の公立の先生にはいわゆる探究型の学習が出来ないと思っていました。なぜなら日本の教育は、1つの答えを求める入試制度を目標とした学習が主になっているからです。暗記力を確認、評価するためだけに繰り返される小テストや、考える力より、型にハメることを良しとするレポートなどを私自身、公立学校の学生として体験し感じていました。しかし私は、今回の職員研修に同行したことによって、公立学校の先生にも探究型学習が出来るということ、元々あるにも関わらず発揮する場が無かっただけではないのかなと気付かされました。

「公立学校で国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)なんて出来るわけないだろ」と思っている教育関係者の方は少なくないと思います。

ただそれもそうだと私は思います。知る術が無いのです。今回伺った気仙沼高校の先生方がそうでしたが、多くの興味深い問いを発表されていて、普段から探究型学習の勉強会をされているのかと思うほどでした。実際に積極的に行っている公立高校もあることと思います。でもそれを発信することをしているでしょうか?公立学校が情報を発信することについて、賛否があると言うはわかりますし、情報を出すにしても、どこまで出すのかという難しい問題があるのもわかります。しかし、どんなに素晴らしい取り組みを行っていても、それを周りに知ってもらわなければ意味は無いと私は思っています。

私はIBの授業を受講したことはありませんが、優一さんを通じてIBのエッセンスは理解していると自負しています。そして日本の公立高校でもIBのエッセンスを落とし込んだ学習が出来ると、今回の職員研修を通じて実感しました。

地産他学地教

優一さんの母校でもある気仙沼高校ですが、先生のほとんどが気仙沼高校、もしくは気仙沼出身の方でした。聞くと県外の大学へ進学し、その後地元に戻ってくる方が多いそうです。私も経験があるのですが、一度外に出ることによって、自分の町や国の良さや悪さ、他との違いについて気付くことがあります。

外から見つめ直した地元を、学校という場で継承する。理想的な文化継承の方法の1つかなと思いました。