グラフィック・レコーディングの可能性 前編

世の中ICT、ICT言いますよね?確かにそれによって便利になって、多くのことがより簡単に実現できるようになりました。教育の現場でもどんどんICTを取り入れることにより、学びの枠が広がり、質も変わってきています。

でも、でもなんです。やっぱりICTが万能だとはどうしても思えないんです。人の手が入った方がいいことってあると思うんです。それを試してみたくて、2018年11月11日に開催された『国際バカロレアフォーラム in 大阪』にグラフィック・レコーディング・ファシリテーター呼び、フォーラムを同時記録してもらいました。

グラフィック・レコーディングという手法

みなさん、こんにちは。熊谷優一です。グラフィック・レコーディングという言葉を知ったのは私の妹からでした。妹は町づくりのプロジェクトの一環でワークショップを記録する手法としてグラフィック・レコーディングを学び、活用しています。

グラフィック・レコーディング・ファシリテーター(以下、ワークショップのファシリテーターと区別するため、グラッフィッカ―とします)を通して、様々な話し合いやアクティビティを記録することを通して、発言や取り組みがダイナミックに可視化されます。これは取り組みに夢中になっていた参加者にとって、その内容を振り返る上で有効だと考えました。

グラフィック・レコーディングではイラストが話し合いのイメージを伝えます。そして時系列に、どのような議論が起こったのか、どんな問題提起がされたのか、そのキーワードを記述します。それを終了後もう一度参加者全員で見返すことにより、自分たちの活動はどこから始まり、今どの地点にいるのかを確認することができます。

写真を取れば、SNSでその時参加できなかった人たちとも共有することができますし、文字であれこれ書くよりも、よっぽど短時間であらましを理解するのを助けます。正直、その画像だけアップすれば、特に文字で説明する必要はないので、楽ちんだと思いました。

ファシリテーターとして

ファシリテーターの立ち居振る舞いや発言もレコーディングされるので、ワークショップをファシリテートする側としても、グラフィック・レコーディングは自分のファシリテーションを振り返る有効なメディアになります。ファシリテーションは大概一人でやることが多いのですが、参加する人数が多かったりすると、記録をする余裕までないことが多くありました。

が、グラフィッカーが記録してくれていることを知っていると、振り返り先が担保されているので、ファシリテーターはより自由に、そして安心してワークショップに没頭できます。

というわけで、私も妹の見よう見まねで、11月17日に太田先生がファシリテーターを務めたワークショップを記録してみました。ICTを使って遠隔地にいる妹からリアルタイムで助言を得つつ、レコーディングしてみた結果……、なんだか雑なグラフィック・レコーディングになりました。

イラストがそもそも下手。そして話を聞きながら、その内容を要約して紙に丁寧な字で、まっすぐ書くのは至難の業。色遣いに与えた意味に統一性がない。ということで、妹に助言を求めました。

ということで妹、よろしく。

グラフィッカーからの助言

皆さん、初めまして。熊谷優一の妹です。まずは簡単にグラフィック・レコーディングについて説明させてください。

グラフィック・レコーディングは話し合いを可視化するための手法のひとつです。ゆるむ化(イラストで脳が刺激される)、見える化(合意形成、共通認識、共有、話し合いをはっきりさせる)、広まる化(人目をひく形でシェアできる、自分の経験を簡単にシェアできる)などの利点があります。

SNSとの親和性があるので、話し合いに参加していなかった人にも共有したり、あとから振り返りもしやすいです。またファシリテーション・グラフィックはグラフィックしながらファシリテートしますが、グラフィック・レコーディングのグラフィッカーはファシリテーションしません。聞き役、記録役に専念します。

兄はどちらかというとファシリテーターとしての側面が強いので、学ぶならファシリテーション・グラフィックの方が合っているとアドバイスしました。私は参加者の目線で記録している方です。

最後に

再び、兄です。このグラフィック・レコーディングという手法について、調べてみるとどんどん面白くなってきました。実際にやってみたらもっともっと面白くなってきました。

話し合いを可視化するという視点は、学びを可視化するためにeポートフォリオが活用しようという視点と同じだと感じています。可視化する方法は多様でいい。そこはアナログの素材をデジタルに記録するような使い方だっていい。自分に見合った方法で取り組めたらいいですよね。

というわけで、グラフィック・レコーディングについてもう少し取り上げたいと思います。次回は今回初登場した、私の妹にグラフィック・レコーディングについて、もう少し突っ込んで書いてもらおうと思います。