先日、熊谷が「評価に根差した授業デザイン〜国際バカロレアディプロマプログラムの事例を通して~」というテーマで、「第三回明日の教室オンラインセミナー」でお話する機会が有りました。
国際バカロレアのプログラムにおいては、評価に根ざして授業が設計されます。この場合の評価とは単元おわりに行われる総括的評価(例えばテスト、レポート、プレゼンテーションなど)、学習過程における形成的評価、単元開始時における診断的評価が含まれています。
ディプロマプログラムにおいては、総括的評価のみが公式な評価となります。例えば、熊谷がプリンシパルイグザミナーを務める「知の理論(Theory of Knowlede:TOK)」はプレゼンテーション(33%:新しいカリキュラムではプレゼンテーションから展示に変更になりました)と6つの所定課題の中からひとつ選択し、日本語では3,200字、英語では1,600語のエッセイのみが評価されます。
一方、日本の高等学校の評価は「主体的に学習に取り組む態度」なども評価対象になりますよね。しかしながら、ディプロマプログラムではプレゼンテーションを行うまでの過程、エッセイを書き上げるまでの過程は一切評価の対象になりません。あくまでもペーパーテストや各科目で指定されているレポートやプレゼンテーション、口頭コメンタリーなどといった総括的評価のみが評価対象になります。
とはいえ、学習者が最終的に評価されるのに十分な知識とスキルを身につけることはどの学習プログラムで学ぶ上で非常に重要です。それが授業設計に適切に位置づけられていますか?という話です。
最終的に評価を受けるために必要な知識技能を培えているかどうかのチェックポイントを形成的評価と捉え、参加された先生方の総括的評価を受けるために必要な知識・スキルを特定し、それを授業のポイントポイントに設定することの重要性を、「知の理論」のエッセイを生徒が書けるようになるための熊谷の実践と現実を話していました。
そのワークショップに台湾から参加された、当ブログではおなじみの阿部公彦先生と、阿部先生と一緒にYoutubeチャンネル「台湾からこにゃにゃには」を運営されているブルース・タカさんが以下のリンクでその時の話をされていますので、もしよろしかったら聞いてみてください。
さて、12月25日に関西英語授業研究会 Harvest 2021年度総会の分科会で、熊谷、阿部公彦先生、梶木尚美先生、原田有先生がオンラインの読書会を開きます。課題図書は「時間はどこから来て、なぜ流れているのか」という本です。
参加申し込みなど、詳しい情報はこちらのリンクを御覧ください。
この読書会は国際バカロレア・ディプロマプログラムを学ぶ前の高校1年生を対象に学術書を読むスキーム形成と、自分なりの視点から読むことができるようにすることを目的に昨年から始めました。ディプロマプログラムでは学習する科目に関連した学術書を精読することが必要不可欠です。その意味では、この読書会もディプロマプログラムを学ぶための形成的評価と熊谷は位置づけているようです。
その時の模様は以下のリンクを御覧ください。年の瀬の迫った時期に、ややここしいことをするもんだと思いつつ、もしお時間がよろしければ、熊谷たちはさておき、魅力的な分科会や対談、講演もありますので、ぜひ参加してみてください。