「ナレッジキャラバン in 大阪 2019 夏」レポート by 中西由次

こんにちは。大阪女学院で数学を担当している中西由次です。ディプロマプログラム(DP:Diploma Programmeの高校2年生(Year 1)が今年から始まったばかりで、日々手探り状態で授業をしています。何が最も生徒たちのより良い学びにつながるのかを忘れることなく、いまのクラスに相応しい教育を探っていこうと思っています。

ちなみに、今回授業を担当することになった経緯は、ナレッジキャラバンの会場校ということで、熊谷先生に「是非とも」とお誘いをいただき、お引き受けしました。まだまだ未熟なため、こうした機会で出会った先生方とつながり、互いに学びあいつつ成長できればと思っています。

確実と現実

国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)教育の根幹にあるのは全人教育であり、それはIBの学習者像に表れています。心が豊かな人格者であっての、教科学習とCAS(Creativity,Activity,Service)、TOK(Theory of Knowledge)、EE (Extend Essay)による学びがあり、それがより良い社会につながるということを、私自身の思いを込めて話をしました。

その後、私自身がこの2年間で行ったIBクラスの授業内容や、評価方法を紹介しました。また、アインシュタインの「数学の命題は、確実である限りは現実とは無関係であり、現実と関係がある限りは確実ではない」という言葉に基づいて、数学とは何かということをさまざまな視点から話し合いをしました。

最後に、「数学的概念は発見されるのだろうか。それとも発明されるのだろうか」という質問に対して、グループごとにディスカッションして、発表をしてもらいました。数学に関するいろいろな視点を共有できて、有意義な時間を過ごすことができました。

答えのない問いを生み出す空

TOKでよく投げかける根源的概念に迫るような質問、例えば今回で言えば「数学的概念は発見されるのだろうか。それとも発明されるのだろうか」という類の質問について思考を深めることは、けっこう多くの人たちが興味をもっているのだということを実感しました。

自由に自分の考えを述べて、互いに相手の考えを尊重する雰囲気を作ることで、答えのない問いに対して意欲的に取り組めるようになるのではないかと思います。そういうクラスの雰囲気を創造していくことが重要であり、日本の教育がチャレンジしていかなければならない課題であると改めて感じました。

最後に

今回参加された方々は、より良い教育の創造のために日々学び続けているからこそ、このイベントにお集りいただいたのだと思います。

こうして授業をした私自身も、みなさんとの対話を通して気づきを得ることができました。人間として生きている以上は、日々さまざまな人たちと交わり、いつまでも真理を探求し続けたいと思っています。

みなさんも学び続ける人たちだと思いますので、またどこかで会うこともあるかと思います。そのときは、また互いの学びを共有できればと思っています。今回のイベントにご参加いただき本当にありがとうございました。