みなさん、こんにちは。熊谷優一です。8月25日(日)に大阪女学院中学校高等学校にて開催した「ナレッジキャラバン in 大阪 2019 夏」はたくさんのみなさんのご協力のもと無事に終えることができました。
北は北海道から、南は九州までわざわざ足を運んでいただいた参加者のみなさん、国内外から忙しい日程をぬって体験授業を引き受けていただいた講師の先生方、協賛をいただいた企業のみなさん、そして当日ボランティアをかって出ていただいたみなさん、会場を貸していただいた大阪女学院のみなさんに、心より御礼申し上げます。
夢見る勇気
1回目の体験授業を終え、全体会で私は3つのことをお話しました。1つ目は「諦めないこと」です。
世代を超えて、立場を超えて、所属を超えて学び、そして出会うプラットフォームを作りたいと思ったのは私が宮城県の教員になった今から23年前。当時、私は生徒指導困難校と言われる学校に勤めていました。
先生もそうですが、親も悩んでいました。そして子どもたちと向き合うために学びを求めていました。親が学校に来るのは子どもが何か問題を起こした時。そうではなくて、先生も親も一緒に学ぶ場があれば、学校で何を何のためにやっているかも親は理解できるし、親の反応を見て説明がうまくできていないところを認識した上で、先生たちは理解できるように説明する努力をすると思うんですね。
そして、その姿を子どもたちに見せたい。その輪の中に子どもたちも参加させたい。オトナが一生懸命学んでいる姿は子どもたちにとって大きな励みになるに違いない。
これをちゃんと説明できるまで23年かかりました。この何年間かで色んなところでワークショップをやっているうちに、自分がやりたいことを言語化できるようになりました。
心の底からやりたいって思っていることを叶えるために一所懸命努力し続ければ、何らかのカタチでそれは実現すると。諦めずに夢見る勇気を持ってほしいと、特に子どもたちには伝えたかったんです。
目的と強み
2つ目はどんな異なる教育プログラムでもその目的は同じではないかということ、そして3つ目は異なる教育プログラムを鏡に自分たちの実践を振り返った時に、自分たちの強みが見えてくるということです。
私たちは争いを生むために教育を行っているわけではありません。私たちは誰かを不幸にするために教えているわけでもありません。一人ひとりの子どもたちにより平和な社会を築くことに貢献し、より幸福に生きていく知識と力を培うことがシンプルですが、教育の目的だと私は考えます。
そして、あまりにも当たり前になってしまい、無意識のレベルになってしまった知識にこそ、日本の教育の強みがあることに私たちはいよいよ気付くべきです。うまく説明しきれていないだけで、実はグローバルに見て、日本の教育っていいところがたくさんあるって私は国際バカロレアのプログラムに携わるようになって知りました。
宮城県の県立高校の教員を経験し、韓国の公立高校、国立大附属高校で、そして現在公設民営という新しいタイプの学校で働いてみると、それぞれの強みと弱みが見えています。正当に評価するためにはまず、比べる対象が必要です。そして万能ということはないことも一方では理解しておくべきです。
心と体は人間の全てである
という風に、熱弁をふるった風に書きましたが、全然流暢にカッコよく話せたわけでは決してありません。恥ずかしながら、「日本教育の強みは小学校1年生から高校3年生までずっと必修科目である保健体育だ」なんて偉そうに話している途中、今思えば「真髄」と言いたかったんですが、その言葉が出てこずに、狼狽したんですね。
で、出てきたのが、「Creepy Nutsのオールナイトニッポン0」の話題でした……。授業のヒントは大概深夜ラジオに求めることが多いのですが、いつだったかの放送で、Creepy Nuts(Hip Popユニット)のラッパー、R指定が「心と体は人間の全てだ」って言っていたんですよ。
それを聞いて、保健体育を連想したんですね。保健体育って自分の心と体と向き合い、付き合っていくことを学ぶ科目じゃないですか。「R指定、なかなかいいこと言うな」って感心していたんですよ。すごいシンプルだけど、ズバリ言い表しているなって。で、とっさに出てきたというのが真実です。
話しながら、内心、「なんでオールナイトニッポンの話を今ここでしているんだろう」と軽くパニックになりつつ、なんとか着地点を探り、汗を書きました(笑)。
最後に
13人の講師の先生方は、決して「どうだオレの授業すごいだろう!」という体で来ていただいたわけではありません。彼らも彼らの場所で悩みながら教育実践をしています。中にはこういうイベントで初めて授業をすると私以上に緊張していた講師の先生もいます。
参加できなかったみなさんからもたくさんメッセージをいただいています。海外からも、「ネット配信するなどして、海外に住んでいる人たちも参加できるような仕組みをぜひ作ってほしい」という要望もいただきました。どうすればいいのか、今後どうしていくか、アンケートなどを参考に航くんと少し時間をかけて考えたいと思います。
最後にもう一度、関わっていただいたすべての方に感謝申し上げます。私一人では決して23年来の思いを果たすことはできませんでした。この一生のうちにみなさんに出会えたことを幸せに思います。本当にありがとうございました。これからもよろしくお願いします。