街角TOK:あなたならどうする?

街角は様々な問いで溢れています。本屋さんに並ぶ書籍、アーケード内で聞こえてくる音楽、やがて暗黙の秩序が生じる無秩序な人の流れ、商店街で交わされる一見無意味な会話。普段はなんとも思わないことがふと気になりだしたら、それが私たちの「知」が目覚める合図です。

前回は3本の韓国映画を紹介しました。その中で取り上げた「良知」という言葉が意味することについて今回は考えてみようと思います。

熊谷が韓国に興味を持ったきっかけにとなった映画を皮切りに、涙なしでは見られない韓国映画を紹介しています。必見です!

良知

私たちは感情の生き物です。どんなに理論的かつ客観的に洞察することができても、私たちに生じる感情に大きな影響を受けています。わかってはいるけれど…っていうことは多くありますよね。

前回のエントリーで「良知」について触れました。良知という言葉は、ベトナムはホーチミン市で「フーンライ」というレストランを経営されている白井尋さんとお目にかかったときに聞いた言葉です。何がよくて、何がよくないのかを感情的に知ることを白井さんは「良知」という言葉で説明しました。

悪いことをしたなと、思い出せることはたくさんあります。なんで悪かったって思ったのかというと、自分のせいで傷ついたり、悲しんだり、苦しんだりする人がいることを知ったからです。私にも覚えがあります。ありありです。誰かを傷つけるために放った言葉たち……。ああ、もう一度あの時々に戻って、なかったことにしたい。誰かに対して悪いことをすると、あとになって自分を傷つけることになっています。しかし、後悔先に立たず……。

あなたならどうする

「What Would You Do?」という番組をご存知ですか?差別などの社会問題に対する人々の反応をモニタリングするアメリカのテレビ番組です。Youtubeに番組の公式チャンネルがあります。自動生成ではありますが、英語字幕もついているので、英語の勉強にもなります。その字幕をさらに自動翻訳する選択すれば日本語字幕でも視聴可能です。

見方を狭めてしまう可能性があるので、私が見た動画を紹介し、どう感じたのかについて説明することは控えたいと思いますが、Youtubeで「wwyd」と検索するとたくさん動画が出てきますので、気になったものをまずは御覧ください。そしてそれを見て、みなさんがどんなことを感じるか、自分自身、または一緒に見た家族や友人とそのことについて語り合ってみてください。

あくまでも、これはテレビ番組で、演じているのは役者です。その場面に遭遇した人々がどのような反応を示すのかが描かれています。自分がその場にいたらどんなふうに感じるだろうかと考えながら見てみてください。

知っているからこそ

この番組を見て、みなさんの心が揺らぐのを感じるかもしれません。揺らぐその心の正体はなんだろうと探ってみてください。そしてそれを言葉にしてみてください。

人間関係を通して、他者の反応を通して、私たちは日々、多くのことを学びます。それはどんな年齢を重ねても変わりません。そして、私たちはその都度、気づきます。過去を振り返りながら、現在の自分は何がよくて、何がよくないと感じているのか。

私たちの人生は経験の連続です。その経験の中から様々な感情を見たり、聞いたり、実際に体験したりします。知らなかったら、体験したことがなかったら、何とも思わなかったことかもしれないことが、知っているから、体験したことがあるから、自分ごとのように思えることってありませんか?

最後に

私は憤りをもって、この番組を見ます。一方で、悲しんでいる人や不当に差別されている人を理解し、共感する人がいることに心から感謝し、喜ぶこともあります。そして、悲しませている人や差別している人もきっと今は何かが邪魔しているんじゃないかとも思います。

頭ではわかっているけれども、思っていることと逆のことを言ったり、行動に移せなかったりしますもんね。そんなときに思い浮かぶのが、谷川俊太郎の「うそとほんと」という詩です。機会があったら、一度読んでみてください。

今回は「良知」という言葉について考えてみました。私の心が大きく揺らぐとき、それは良知に由来する倫理観から来ているのではないかと思っています。それを言葉にして説明するのは簡単なことではないのですが……。今度、そんな話をみなさんとしてみたいですね。