チャンスの引換券:目標達成を妨げる精神的要因を取り除け!

みなさん、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

以前、近年どんどんチャンスの方が優一さんに向かってくるようになってきたと思うと書きました。

プレッシャーを受け入れることは新たなチャンスに繋がるということを熊谷を通して実感しています。

あれから約1年、その向かってくるチャンスが増えている気がしています。というわけで、今回も優一さんを見ていて感じたことを書きたいと思います。

伸びかかった鼻が根本からえぐり折られる経験ってありますか?

この1年間で国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)という教育プログラムのうち、高校2、3年生を対象としたディプロマ・プログラム(DP:Diploma Programme)の世界共通必修科目、知の理論(TOK:Theory of Knowledge)という科目のプリンシパル・イグザミナーの1人に優一さんは指名されました。

そして毎年3月と9月にイギリスでTOKのエッセイの採点方針を作る会議に参加し、5月と11月に行われる試験の際には採点を担当する世界中の採点官のサポートをしています。

昨年3月にイギリスから帰国する飛行機に乗る直前に「さっきIBのサイトを見ていたら、オレ、いつの間にかチームリーダーになってた」とメールをもらいました。しかしそれからすぐに、世界で数名しかいない採点方針を作る側になったということですね。

こうやって一部を切り取ると、トントン拍子にいってるなーと感じますが、会議後、自分のパフォーマンスを振り返り「伸びかかった鼻を根元からえぐり折られるような思い」と、これでもかとヘコみ、打ちひしがれている優一さんがそこにはいます。

目標達成を妨げる精神的要因を取り除け

確かに見ているといいことづくめということではないようです。

とんでもない量の資料を携え、常に課題提出の期限に追われています。聞くとその期限が一週間もないことも多い。

会議では何十年もキャリアがある熟練のプリンシパル・イグザミナーたちに交じって、その成果物であるエッセイの採点に関して英語で議論をしなければいけません(TOKはそもそも日本語でも小難しい科目なのに…)。

その会議の様子を優一さんが以下で振り返っていました。

限界に挑戦することなしに限界を知ることはできない。だから挑戦し、玉砕してこそ、限界を広げていけると熊谷は信じていますが、精神的には……。

人からどんなに肯定的な声をもらおうとも、自分に関してはとにかく否定的な見方を変えない、自他共に認めるネクラの優一さんは最近「目標達成を妨げる精神的要因を取り除け」と頻繁に口にします。

優一さんの「目標達成を妨げる精神的要因」は、明らかにその自己否定的な見方ですが、それを取り除ける(コントロールできる)ようになることを目指すというのです。客観的な視点で自分をネクラと認めて、受け入れるともう何周も回ってポジティブになれるのかな?と不思議に思います。

以前も書いたんですが、「鼻を根本からえぐり折られるような思い」をするたびに、自分の個性(この場合はネガティブな側面)と向き合いながら課題を乗り越える、キャリアを築いていこうとするところに、とても前向きな面を感じています。

僕たちの失敗

昨年9月に行われたTOKのエッセーの採点標準化会議でのことです。オンラインで参加した優一さんは前半2日間はうまく議論で発言できず、島倉千代子の「人生いろいろ」を口ずさんでしまうほど、自分が無能に思えて死にたくなった」と打ちひしがれていました。

後半2日間は優一さんの意見が採用され、同意されかかった基準が変更されたようです。「前より自信がついたかも」と明るい顔で話していたのが印象的でした(笑)。その後明らかにまたパワーアップした感があります。

後日、今回の自分のネクラスパイラルを生徒に話したそうです。

多くの生徒達が学ぶことに葛藤しているのと同じく、先生も一学習者として学ぶことに葛藤を抱えていますよね。うまく理解できないときもあるし、理解しているつもりでもうまく説明できなかったり。どう学んでいるのか、大人としてその姿を生徒たちに見せることが先生として自分ができる最大のことではないかと優一さんはよく言っています。

今回は成功談にもっていけたと思いますが、そう語らないところが劣等感に追われがちな人らしいなと思いました。「人がどうやって成功した話を聞くよりも、何に躓いて、どこまで落ち込んで、すべてが嫌になった挙げ句の果てに、どう這い上がったのかの話を聞いたほうが自分みたいな人は勇気づけられる」と優一さんは言います。

最後に

優一さんは文部科学省国際バカロレア教育推進コンソーシアムのIB導入アドバイザーとして西日本を担当しています。また、新たに開校するいくつかのインターナショナルスクールや、日本で事業を展開しようと試みている海外の企業からも相談が寄せられています。

簡単な仕事ではないと思いますが、プレッシャーを受け入れて挑戦をする。挑戦して、壁にぶち当たり(ここでこれでもかというくらいにヘコみます)、それを克服する戦略をたてて成長を目指す過程を可視化することで、チャンスを得られるようになったのではないかなと私は思います。

ここでのチャンスは機会という意味だけではなく、必要とする情報のシェアや、サポートしてくださる人的ネットワークも含まれます。優一さんは、おすすめの本を教えてもらうことが多くなったり、有用な情報を苦労すること無く入手しやすくなったと喜んでいました。

「天才的ぼた餅キャッチャー」と自称する優一さんですが、ぼた餅をキャッチするポジショニングが良くなってきているんでしょうね。