グラフィック・レコーディングの可能性 後編

はじめまして。熊谷優一の妹です。5歳違いの双子です(誕生日が同じ日なんです!)。

5歳違う、れっきとした兄と妹なのですが、誕生日が同じなんだから双子と扱いは同じとかってよくわからない論理で強引に言いくるめられ、兄に都合がいいように随分無茶なことをさせられてきました(笑)。あの祖母さんの直系血族と言われているだけあって、口では兄に勝てないんですよね……。

13月兄妹

保育所、小学校、中学校でも「あの熊谷優一の妹ねぇ……」と言われ続けて育ちました。兄を知る皆さんには、そのニュアンスがわかっていただけると思います。兄はその筋では手がかかることで評判で、怪我をすることも多く、胃腸も弱かったため時には病院でまでも兄の名を聞くことがありました。

そんな兄のいわゆる「13月っぷり」を幼いころから見てきました。兄の友人が、「人間として最低限を下回っている」と言っていたとこのブログ(チノメザメ)にも書かれていましたが、何をしでかしたのか容易に想像できるくらい兄のエピソードは枚挙にいとまがありません。

祖母との面白いやり取りも見てきました。いつも、「あぁ、お兄ちゃん、またやってるよ(笑)」と思っていました。とにかくわかりやすい、祖母が言うところの「小馬鹿くさい」失敗をよく兄はするのです。

そんな兄を傍目に私は冷ややかに笑ってきたのですが、この間、何もないところですっころんで足を捻挫し、靭帯を損傷してしまい、いよいよ兄の事を笑っていられなくなりました…。

グラフィック・レコーディングを学ぶ

初めてグラフィック・レコーディングに触れたのは、街の公共施設を考えるワークショップででした。対話によるまちづくりが進められている静岡県牧之原市から、市民ファシリテーターと市民グラフィッカーが花巻に来てワークショップのファシリテーションとグラフィック・レコーディングを実践していました。

私はそのワークショップの一参加者だったのです。ワークショップをしている傍らで、グラフィック・レコーディングが描かれていて、最後にグラフィック・レコーディングで振り返りをしました。文字だけの議事録ではなく、グラフィック・レコーディングで振り返ることでとても分かりやすく、感動を覚えました。

次の日、急遽1時間だけ牧之原市の市民グラフィッカーの方がグラフィック・レコーディング講習会を開いてくれるというので、迷わずに参加しました。1時間はあっという間で、基本的な4Ps(People, Place, Process, Speech)の描き方と聴きながら描く練習をしてその日の講習会は終わりました。

すると、約1か月後に開催される2回目の公共施設を考えるワークショップで、「グラフィッカーをやらないか?」と声を掛けられました。むちゃぶりにも程があるだろ~と思いながらも、なんか楽しそうだからやってみようと思い、2回目、3回目のワークショップでグラフィッカーを担当しました。

挑戦のその先

その後、グラフィッカーの私にとって最大の修行が訪れます。「コンセンサスデザインフォーラム2017」のグラフィックチームにお招きいただき、6時間ものワークショップのランドスケープを担当することになったのです。

周りはベテランのグラフィッカーの方々。一方私はまだデビューして間もない初心者も同然…。「当たって砕けろ!」のチャレンジ精神だけで6時間を乗り越えました。終わった後は放心状態でしたが、ベテラングラフィッカーの方々のグラフィックを見ることができたのが、その後のグラフィック活動の糧となりました。

学ぶことって、いくつになってもワクワクします。学ぶ過程で思い切ってチャレンジしないといけない場面もあります。でも、そのチャレンジの先に、もっとワクワクするような出会いや学びが待っています。

私は教員でも何でもありませんが、いくつになっても新たに学ぶことはこの世の中に溢れています。期せずして興味を持って没頭することも……。そこに手を伸ばすかどうか、ただそれだけで学ぶことは面白くなる。そんな風に私は最近思うようになりました。

最後に

グラフィッカーとして私も学ぶ途中です。だから、うまくいかなく凹むこともしばしばです。兄と違って私はネクラではありませんが、2018年11月の大阪でのフォーラムではうまく記録ができなくて、正直終わってから、兄に慰めてもらうくらいひどく落ち込みました。

本当はもっとうまくできたのに……。まだまだ勉強が足りない……。

そんな中、この間はこんなイベントでグラフィック・レコーディングをしました。そこで国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)の話が出てきました。11月の大阪でのフォーラムに行ってよかったと心底思いました。そこでグラフィック・レコーディングをしたからこそ学べたことってあるし、もしやっていなかったら、今回も「国際バカロレア??」な記録しかできなかったと思います。

あの時、兄は言いました。「振り返る時間的、精神的余裕があるから人は凹む」と。本当に窮地に立たされた時は凹んでる余裕すらなくなるんですって。うまくいかなかったところに目が行くのは、向上心があるから。これからも精進していきたいです。

最後まで読んでいただきありがとうございます。