『IBフォーラム in 大阪』に寄せられた感想

みなさん、こんにちは。熊谷優一です。今回は昨年2018年11月11日に大阪で開催された「国際バカロレアフォーラム in 大阪~国際バカロレア実践者・学習者・保護者に聞く21世紀の学びの形~」に来場した保護者の方から寄せられた感想を紹介します。

私という一個人

かねてよりブログを拝見しておりましたが、今回、国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)フォーラムに親子で参加させていただきました。大変貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。直接お礼を申し上げたかったのですが、閉会後に皆さんに囲まれている先生にお声掛けするのに気後れしてしまいました。

我が家は、今春まで約5年間ヨーロッパに滞在しておりました。日本人学校でしたが、幼稚園から中3までで80人ほどという小さな学校です。1クラスは10名前後、高学年以上は数名でした。

ここまで小規模だと、学校運営のために学年問わず助け合い、自分のするべきことをそれぞれが自律的に行わなければ成り立ちません。先生と生徒は常に対等で、例えば修学旅行の行程さえも子どもたちが話し合いで作ることも当たり前でした。

保護者も慣れない環境に必死に適応しようとするお互いを支え合い、子供たちのための学校活動に積極的でした。治安のこともありますし、自分の子もよその子も一緒に守り育てようとする、思いやりの気持ちにあふれていました。

地元の水泳クラブに通った娘は、そこで言葉を覚え、現地に友達を作りました。娘は、「私=日本、と見られて質問されるんだよね。日本の歴史とか文化や言葉を正しく知ってないと恥ずかしいね」と、よく言っていました。

現地校に通う隣の家の女の子と娘はトランポリンで遊ぶ、そこのお父さんは軍人でアフガン駐在に行った後NATOに出向した話をしてくれる、語学学校の韓国人ママ友達と、出来る言語をつないで母国の教育について語り合う、そんな毎日でした。

良くも悪くも自分はアジア人であり、日本人であり、家族の一員であり、一人の人間であることを日々自覚していました。

やらないという選択

そこに5年近くもいて、さてそろそろ辞令も出るだろうから日本での高校受験を考えなければと思った時、学校を調べて、一時帰国時に10校以上見学に行きました。でも感じるのは閉塞感ばかり。

国公立大学進学実績がそんなに大事だろうか?逆にグローバルをうたう学校は、なぜ海外大学進学実績ばかりを宣伝するのだろうか?形ばかりのSGHに意味があるのだろうか?

なぜ親や教師は「やらない、ということは何もしていないのではなく、やらないということをその将来も含めて自分で選択している」と教えないのだろうか?

海外にいて、心を開かないまま帰国する駐在員やその家族を見てきました。一方、心の奥で日本の縛る教育に凝り固まっていた先生が、着任してしばらくすると子どもたちを尊敬し、心を開き出す瞬間もたくさん見てきました。

できればそんな自律的な環境で学ばせてあげたい、でも大阪の学校には私たちの希望する教育はないのではないか、と思っていた時に出会ったのがIBでした。あのままヨーロッパに残ってIBDP(International Baccalaureate Diploma Programme)を選択する道もありましたが、日本語の能力も失いたくなかったので、日本語DPができて、その理念の中で学べる仕組みが一条校にできたことは、本当に希望の光でした。

ちゃんとした大人のちゃんとした話?

現在日本では、IBDPには「英語ができる子が行くコース」と認識されているような気がします。英語は必要能力ではありますが、そこじゃないんだけど…と思うことはあります。娘は、「入った後でこんなプログラムだと思ってなかったと後悔するのは調べずに選択した本人の責任」と言っていますが、IBの認知とともに、そこはこれから変わっていくのかもしれませんね。

心が開いたとき、自分の道は自分で選択するものだと気づいたとき、自分は自分でよいのだとわかったとき、すべてはシンプルなのだとストンと腹落ちしたとき、人間は閉塞感から解放されるのではないかと思います。大人を変えるのはよほど追い詰めないと気づこうとしないので大変ですが(笑)、子どもには無限の可能性があります。今の教育が未来の全てなのではないか、と感じるときすらあります。

坂戸にいると思っていた熊谷先生、著書でしか知らなかった坪谷先生、同じ気持ちで日本語IBを選択した保護者の方、さまざまな方々のお話を聞いて、娘も「ちゃんとした大人の、ちゃんとした話っていいね」と、なぜか上から目線で喜んでいました。先生方のますますのご活躍を心より祈念しております。

最後に

再び、熊谷優一です。このメッセージを読んで、「ああ、フォーラムで伝えたかった私たちのメッセージが届いたんだ!」と感激しました。

教育改革は子供たちのことを中心に議論が進められなければいけません。子どもたちを応援する親も、先生も子どもたちのために力を合わせていかないと、よくわからない大人の勢力(行政とか、政治とか)に流されてしまう。様々な立場の一人一人の力を集めて、ムーブメントを作っていきませんか。