新春特別インタビュー:山田浩美先生に聞く-2-

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みなさん、こんにちは。熊谷優一です。筑波大学附属坂戸高等学校で国際バカロレア・ディプロマ・プログラム・コーディネーターをしています。

今回は、前回に引き続き当ブログにもご協力いただいている、NISTインターナショナルスクール(バンコク)で国際バカロレア(IB)の日本語を担当している山田浩美に伺ったお話をみなさんにお届けします。

では、早速参りましょう!

DP生の大学進学について

— 出口が保証できなければわざわざやる意味はないというのが、日本におけるIBに対する最も大きな反応です。確かに日本の大学入試でIBはまだ正当な評価を得ていません。その事については私がこれまで得てきた情報を書きたいと思います。海外の大学進学事例やSATなど、他に必要なことについて教えていただけますか。

アメリカの大学の多くはIBに関係なくSATを受ける事を義務づけています。そのため私達の学校の生徒で米国を受験する生徒のほぼ全てがSATを受けています。

また、5月に最終試験を受験して公式に結果が出るのが7月6日であるため、生徒達はPredicted Grade(予想点)を提出する事でConditional Offerをもらっています。これはオーストラリアやイギリス、カナダなどの大学も同様です。先にきちんとした形で合否を確定させたい生徒は、SATの点数を提出し、IBのスコアはどちらかというと一年目の単位として計算してもらっているようです(3年から3年半で大学が卒業できます)。

授業実践について

— 日本のまだ経験の浅いIBの先生たちはどのようにIBの授業を組み立てていけばいいか、なかなか苦戦しているようです。そんな先生たちに向け、こんな授業をしていますといった実践例を教えていただけると嬉しいです。

私はIB文学(日本語)の授業を担当しているので、その事例をお話しさせてください。授業は、できるだけ生徒の身近にある話題から入るようにしています。

例えば、中学2年生の教科書に出て来る『アイスプラネット』の授業では、「自由な生き方が出来る職業とは」というGuiding Question (問題提起)から入りました。ここでは どのような仕事が縛られる事無く自由な形でできるのかということで話し合いをしました。例えば、YoutuberやBloggerなどです。

そして、実際に自分がそのような職に就きたいのか、現実的に可能かどうかを話し合った後で、実際の小説の読解に入っていきます。この時に登場人物の書き方に注目をさせるようにしています。

例えば、この作品に出て来る「ぐうちゃん」という主人公の叔父は、40歳に近い年齢であるにもかかわらず定職につかず、姉(母親)の家に居候をしながら好きな写真をとったり、ときどき測定師の仕事をしたりして収入を得て、その後また旅に出て行きます。そのような弟を見ながら姉の母親はいつもため息をついていますが、義理の兄の父親は羨ましいとこぼします。

この作品の主題が一体何か、そしてどのようなメッセージをどのような読者に対して伝えようとしているのかをクラスの中で話し合っていきます。この単元の最終的な課題は、創作です。日記、視点を変えて作品を書き換える等、子供達に自由な形で創作をさせています。


— 最終試験ではいくつかのテキストの中から選んで回答することになりますよね。私はEdmodoCon Japan 2017でも発表しましたが、auのTVコマーシャルを利用して、その日の金太郎の日記を書くという課題を出しました。生徒は自分なりの理解のもとに、その人物になりきってクリエイティブな日記を書いていて驚きました。

他には、「走れメロス」のメロスの友達の立場からメロスの帰りを待つまで3日間の日記を書くというのもIBの事例でありましたね。「高瀬舟」のお兄ちゃんの弟を殺害する前の日、殺害した日、捕まった日とか…

もう少し事例をいただけませんか?

そうですねぇ…詩の授業はどうでしょう。

この単元では詩の分析ももちろんしますが、自分の思いを表現するという事で、社会問題について詩を作るか、演説をするか、小説を書くかで子供達に選択肢を与えました。

この詩の単元で学習したものは「私が一番きれいだったとき」という詩でしたが、表現という観点からまた違ったテキストタイプも入れてみました。ここでは、詩の学習から入り、表現には様々な形があるということから、演説(ヒトラーの演説、スティーブジョブの演説、そして小泉元首相の演説を)を見ながら、どのような形式が有るのかを子供達と学習後、自分が一番興味がある社会問題に焦点を当て(奉仕活動の大切さ、中絶問題、ニートの問題、ながらスマホ等)を焦点を当てて演説させました。

他にも『故郷』の学習後、映画のトレーラーを作成したり、ニュースについてのコメンタリーを書いたりしています。

最後に

前回、今回と山田浩美先生から最終試験のこと、大学進学のこと、そして授業実践について伺いました。惜しげもなくこれまでの経験を共有していただいた山田先生に心から感謝申し上げます。

まだまだ日本のIBは始まったばかりです。先生の立場から、生徒の立場から、保護者の立場から、様々な情報が共有されていく中で発展していったら、認定校のみならず、IBの教育が日本の教育に何等かの刺激や示唆を与える存在になるのではないかと期待しています。

当ブログでもまだまだたくさんの声を紹介していきますので、どうぞご期待ください。

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