今からIBを始める君へ:2021年11月IBDP最終試験の変更点 その2

みなさん、こんにちは。熊谷優一です。

国際バカロレア機構(IB)が提供する高校2年~3年生を対象としたディプロマプログラム(DP)は、言語は違えど全世界共通の日程で各科目の試験が実施されます。その結果によってディプロマ(資格や証明という意味です)が授与されたり、されなかったりします。

前回は、IBDPの基本的な評価の枠組みについて取り上げました。今回は具体的に来年11月試験の変更点について取り上げたいと思います。

削除される項目がある科目

これは生徒のみなさんにとっては朗報なのかな?それとも落胆に値するかな?多くのDP科目で試験内容が削減されたり、縮小されたりしています。今回も私の現任校でオファーしている科目を例に説明していきたいと思います。まずは、削減されるものから行きましょうか。

Group 1母語の科目では「文学」と「言語と文学」のどちらの科目かをオファーしている学校がほとんどだと思います。Standard Level(SL)、Higher Level(HL)のどちらも、Paper 2が削除されます。よって、生徒のみなさんが最終試験で受験するのはPaper 1とPaper 2のみになります。

Group 2 外国語の科目では「English B」を学んでいますね。SL、HLともにPaper 2のリスニング問題が削除されます。そのことによって試験時間がSLは1時間45分から1時間に、HLは2時間から1時間に短くなっています(前回のエントリーでの試験時間の写真の中で、試験時間が間違っていました。正しくはSLのPaper 1が75分、2が105分、HLのPaper 2が120分です。訂正してお詫びいたします)。

Group 4 理科の科目では「生物」、「化学」をオファーしている学校が多いのではないでしょうか。Paper 3が削除されました。SL、HLともにです。また、G4プロジェクトが要件から外れています。したがってG4プロジェクトは実施が推奨されているものの、エビデンスの提出は求められません。

修正される項目があった科目

「歴史」のPaper 2 がSL、HLともに試験時間が1時間30分から45分に短縮されています。SLではエッセイをひとつ、HLでは2つの世界史のトピックを学ぶことが推奨されていますが、ひとつに
変更されています。また、HLのPaper 3は2時間半から1時間45分に短縮されます。HLでは3つの地域の歴史トピックを学習することになっていますが、それが2つに減り、試験でも2つ答えればよくなります。

一方で変更が全くない科目もあります。Group 5 の数学系の科目、Group 6の芸術系の科目、そして「知の理論」、「Extended Essay」、「CAS」のコア3科目は全く変更がありません。

内部評価(Internal Assessment: IA)に若干の変更がある科目もありますが、大筋ではこれまで通りです。

各科目における配点の変更

変更点のあったところを、以下の写真で赤で表示しました。試験が削除されたり、試験の内容が縮小されたりで、配分も変更されています。このことで生徒のみなさんは目標スコアを達成するために戦略をもう一度立て直すことになるでしょう。また、先生方は指導内容と順序を再構成する必要が出てきます。

最後に

この変更は2021年11月試験に適用されます。したがって、2022年5月以降の試験については適応されませんので注意してください。いずれにせよ、情報が錯綜し、試験そのものがキャンセルされた今年5月試験のようなことにならないことを心から祈っています。

5月試験ではディプロマ取得を目指して試験に登録した生徒全員にディプロマが付与されるという措置が取られましたが、成績(スコア)は出ました。試験を実施せずにどのように成績が出されたのかについて説明がなかったため、世界各地で訴訟に発展したニュースをみなさんもご覧になったと思います。

先日終わった11月試験は予定通りに実施されましたので、年が明けてすぐに成績が発表されます。それまで生徒のみなさんはドキドキですね。みなさんが目指した結果が届くといいですね。まずはこれまでの健闘を称え、お祝いしてください。そしてその経験をこれからディプロマを目指す後輩たちにシェアしてほしいと思います。