今からIBを始める君へ:2021年11月IBDP最終試験の変更点

みなさん、こんにちは。熊谷優一です。

国際バカロレア機構(IB)が提供する高校2年~3年生を対象としたディプロマプログラム(DP)は、言語は違えど全世界共通の日程で各科目の試験が実施されます。その結果によってディプロマ(資格や証明という意味です)が授与されたり、されなかったりします。

さて、本ブログはおかげさまで日本国内だけでなく、海外でも随分読まれるようになってきました。現地のインターナショナルスクールなど、お子さんをIB校に通わせている保護者のみなさんからも総括的にIBについて知りたいというニーズがあるようです。いくら子どもをインターナショナルスクールに通わせていても、親が英語ができるとは限らないとみなさんおっしゃいます。

というわけで、もう一度、国際バカロレアについて本ブログで一から取り上げようと思うのですが、その前に2021年11月のDPの最終試験と成績の出し方に関する変更が発表されたので、まずはそちらから説明したいと思います。

日本語DPの評価の時期

ディプロマプログラム(DP)は年に2回、5月と11月に最終試験が行われます。2020年11月17日現在、ディプロマプログラムを実施している学校は世界で3,579校ありますが、そのうち約8割が5月試験を行っています。一方、毎年3~5月に新学期が始まる学校は毎年11月の試験を受験します。

DPはこれまで英語、フランス語、スペイン語が公式言語でした。そして一部、中国語で評価が可能になり、2016年11月からは母語系科目(Group 1)の他に、社会科系科目(Group 3)や理科系科目(Group 4)、数学系科目(Group 5)、芸術系科目(Group 6)の一部の科目で日本語で受験できるようになりました。

しかし、母語系科目(Group 1)以外で日本語で受験できる機会は11月しかありません。つまり、英語と日本語によるデュアルランゲージ・ディプロマプログラムを実施している日本の学校の生徒は、英仏西語でDPを学んでいる生徒と異なり、年に1回しか受験機会がないため、再受験を希望する場合は1年待たなければいけません。

IBDPの評価①

ここでは日本の学校でよく提供されている科目を取り上げたいと思います。基本的にDPでは6つの科目グループから1科目ずつ(グループ6の芸術科目の代わりに1~6のグループの科目をもう1科目学習することも可能です)、そのうち3つをスタンダードレベル(SL:2年間で150時間)、3つをハイヤーレベル(HL:2年間で240時間)で学習します。どの科目をどのレベルでオファーするのかは学校によって異なりますので、現在私がコーディネーターをしている学校を例に見てみようと思います。

現任校ではグループ1(母語)で「言語と文学」、2で「English B」、3で「歴史」、4で「Chemistry」、5で「Math: Analysis and Approaches」、6で「ビジュアル・アーツ」か4の「生物」を選択し、学習します。英語で評している科目は英語で、日本語で表記している科目は日本語で学習しています。

各科目の評価は外部評価と内部評価によって行われます。内部評価については指導教員から評価を受けますが、外部評価はIBから指名された採点官によって評価されます。したがって、各IB校の教科を指導する教員はディプロマを取得するための外部評価には主題にも採点にも関与しません。

そこが日本の学校教育における成績の出し方と最も大きく異なる点で、より客観な評価であると各国の大学からDPが高く評価されているゆえんです。私は「知の理論」というDPの世界共通必修科目のプリンシパル・イグザミナー(採点方針を話し合うメンバー)をしています。採点官は非常に厳しいプロセスを経て、審査に通らないと毎回の採点に当たることができません。母語が何であれ、自分が採点官として妥当かどうかはすべて英語で審査を受けます(このへんの話はより専門性も高く、デリーケートな内容も含むので、現在構想中のメールマガジンなど有料コンテツでお話しようと思います)。

最終試験について

では、上記に上げた各教科のレベル別評価について見ていくまえに、今回は各DP科目の最終試験について現任校の科目を例にとって説明したいと思います。画像をご覧ください。同じ科目でも、SLで学んでいるか、HLで学んでいるかによって最終試験の内容も時間も種類も変わります。

では、これらの試験がどのような日程で実施されるのかについてみていきたいと思います。今年11月試験の日程をもとに、現任校の生徒が実際に受けるとしたらということでシミレーションしたのが以下の画像です。11月4日、5日が山場ですね。4日はすべての生徒が一日に3つの試験を受けます。5日は歴史のHLを受ける生徒がしんどい日です。

中休み

実施している科目にもよりますが、日本のほとんどの学校ではすでに試験は終了しているのではないでしょうか?初めて最終試験を実施した学校も多かったと思います。生徒のみなさん、お疲れさまでした。保護者のみなさん、先生方、気をもんだことと思います。まずはここまで来られたことをお祝い申し上げます。

さて、次回は2021年11月試験の変更点について解説したいと思います。お楽しみに。