筑坂IBを解説します -後編-

スポンサーリンク




みなさん、こんにちは。熊谷優一です。筑波大学附属坂戸高等学校で国際バカロレア・ディプロマ・プログラム・コーディネーターをしています。

コーディネーターとして今年度、生徒募集活動、つまり筑坂IBの広報活動も私の仕事に加わりました。学校説明会や進学フェアで私を知った方も多かったのではないでしょうか。また、海外の日本人学校でも学校説明会を開いています。その報告はまた別の機会にさせて下さい。

今回は筑坂IBがオファーする科目について取り上げたいと思います。各学校がオファーするDP科目は学校の規模、教員数、施設、生徒の層など様々な要因によって異なります。今回ご紹介するのはあくまでも筑坂で開講されるDP科目についてです。

コア科目①TOK

Theory of Knowledge(TOK:知の理論)は2年間で100時間学習します。「知る」ということは私たちが思考、決断する上で非常に大切な学習活動です。私たちが持っている知識はどのような背景を持ち、どのようにして獲得されたのかを多角的に考察します。

コア科目②CAS

時間割外科目です。芸術・スポーツ・ボランティアなどの活動を行います。生徒は自主的に計画を立てて実行し、実際に活動したことを振り返るとともに、記録としてポートフォリオ作成します。

コア科目③課題論文

時間割外科目です。1~6のDP科目グループの中から主題を決め、課題研究を行い、その成果を日本語で書く場合は8000字、英語で書く場合は4000語の論文にまとめます。

グループ1:言語と文学 HL

2年間で240時間学習します。「言語」分野では、ある特定の文化の中で言語がどのように発展し個人や集団に関わっているか、またメディアでの使われ方などを考察します。「文学」分野では、6つの作品の解釈を通して、分析する能力や表現力を養います。抜粋でなく、作品全体を扱う点が「国語」の授業とは異なります。

グループ2:English B HL

English B satisfies the requirements for academic English Communication through activities that develop speaking, reading, writing and reading skills. Moreover, the lessons raise awareness on culture and practices through practical application of skills.

※English BはHLでのオファーです。2年間で240時間学習します。

グループ3:地理 HL

実際に地球上で生じている自然社会環境の相互関係を時空間のスケールで分析、考察します。貧困や気候変動などの国際問題を文系、理系的視点から総合的に学ぶとともに、データ分析、GIS、フィールドワークのスキルも修得します。

※「地理HL」は「歴史HL」に変更になる可能性が高いです。

グループ4:生物 SL

2年間で150時間学習します。生命について実験や観察を通して深く学習します。2年間で、細胞、DNA、生態、進化等の人類が獲得してきた生命に関する知識やスキルを総合的に学び、現在の地球の抱える生物学的な問題や生命とは何かという根源的な問いについて探求します。

グループ5:数学 SL

2年間で150時間学習します。ディスカッションやグループ活動などを通して,現実世界の問題をいかに数学的に考察するかに焦点を当てます。例えば、グラフ関数電卓を用いてロボットの動作を数値化したり、グラフで表したり、ロボットの動作からグラフを予測したりといった探究活動は,数学的思考力や問題解決能力を養います。

グループ6: Theatre SL

IB Theatre offers diverse experience and understanding of the nature of theatre as creators, designers, directors and performers. The lessons will involve research, theatrical traditions, production, performance and reflection.

※TheatreはSLでのオファーです。2年間で150時間学習します。

限界

筑坂がDP科目としてなぜこの6科目を選択したのか。それは施設と教員の数が関係しています。

筑坂は大きな農場や農業科目の実験、実習施設が豊富です。だから生物を選びました。筑坂はIBだけ教えているわけではないので、総合学科の授業を教える教員も必要です。できれば、折角施設が充実しているので、生物2年間で240時間学ぶハイヤーレベルでオファーしたかったのですが、教員の数と授業の持ち時数の関係で2年間で150時間学ぶスタンダードレベルしかオファーできませんでした。

グループ6の芸術科目は音楽や美術もありましたが、国立大附属高校に芸術の専任教諭をおいているところは一般的ではありません。また、筑坂は演劇部が有名で、設備も整っていることから英語でTheatreをオファーすることにしました。

オファーされる科目を見てみると文系DPであることがわかります。理系の科目、例えば化学や数学のHLはありません。IBの科学実験室は要件を満たすために結構な額のお金がかかります。筑坂が認定を受けるために整備できたのは生物実験室が精一杯でした。

このように各学校の事情によって生徒が学べるDP科目が異なることがわかっていただけると思います。もっとこの教育プログラムが普及して、より多くの生徒がこの学びを選択すれば選択肢は広がっていくと思います。

最後に

今はまだ、日本におけるIB黎明期。何が正しくて、何が間違っているのかを議論するよりも、やりながら作っていく時期です。失敗しないように計画していたら私たちの命はあっという間に終わってしまうばかりか、これからの子供たちが選択できるチャンスを奪いかねません。

IBのプログラムは決して万人向けではないかもしれない。でも、この学び方を志向する人たちが、親世代も含めて日本中にたくさんいることを私は知っています。だからみんなで手を携えて作っていきたいんです。

私ができるのはシステムを構築し、人と人をつなげていくこと。事例を発表し、知ってもらうことです。まずはみなさん、知ってみてください。判断はそのあとでいいと思います。

スポンサーリンク




フォローする