[Heroes] 筑波大学客員教授 キャロル・犬飼・ディクソン先生

この「Heroes」というシリーズは様々なフィールドで活躍する熊谷が出会った面白いオトナを紹介しています。これまで、ベトナムでレストランを経営する白井尋さん、京象嵌の若手職人の中嶋龍司、漢字文学者の故・白川静さん、日本文学者のドナルド・キーンさんを取り上げました。

みなさん、こんにちは。熊谷優一です。今回は筑波大学大学院教育研究科の教育学(国際教育)修士課程において国際バカロレア教員育成に携わっている、キャロル・犬飼・ディクソン先生とキャロル先生の新しいプロジェクトを紹介します。

Always Look on the Bright Side of Life

キャロル先生と出会ったのは私の前任校、筑波大学附属坂戸高等学校で国際バカロレア・コーディネーターとなって暗中模索していた時のことでした。2015年9月だったと記憶しています。筑波大学に赴任して間もないキャロル先生が坂戸をひとりで訪問するというので、最寄りの東武東上線若葉駅まで迎えに行きました。

会うやいなや、私たちは意気投合します。なんでそういうことになったのか全く覚えていないのですが、イギリスのコメディ・グループ『モンティ・パイソン』話になり、気が付けば2人して、彼らのヒット曲、「Always Look on the Bright Side of Life」を歌いながら学校まで歩きました。娘さんがモンティ・パイソンの復活ライブに行ったという話を心が黒くなりかけつつ……。

キャロル先生は筑坂の授業を参観し、生徒達や先生方に声をかけながら、この学校の取り組みを世界に発信するべきだと私を焚き付けました。机上の学びにとどまらず、実践を伴う総合学科の学びは欧米のIB校の文脈にとって、新鮮に映るだろう。また、IBという教育プログラムのフィルターを通して、日本の教育を再評価する重要性を切々と語られました。

以来、定期的に「犬は吠えるがキャラバンは進む」シリーズなどで時々取り上げましたが、知の理論の実践練習に始めた「English Caravan」という課外授業にも参加していただき、生徒のみならず、私も多くのフィードバックを得ました。

まさに、キャロル先生はIBコーディネーターとしての私の製作総指揮を務めるスピルバーグみたいな人です。

インフルエンサー

インフルエンザじゃないですよ。インフルエンサーです。人の情熱に火をつけるのがとても上手なキャロル先生はイギリスの生まれです。日本では横浜インターナショナルスクールでIBコースを立ち上げたひとりでもあります。

その後、オランダはハーグにある国際バカロレア機構の事務所で言語習得のプログラム開発(IB curriculum developer in the field of pedagogy for language learning across the curriculum)を担当されてきました(おかげで、一昨年、「Programme Standards and Practices」という文書の改訂プロジェクトでハーグに招待を受けたときも、キャロル先生と一緒に働いてきたみなさんに親切にしていだきました)。

だからIBの文書を読んでいると、度々キャロル先生がこれまでに書いた論文が引用されているのを目にします。昨年も「The International Baccalaureate: 50 Years of Education for a Better World」というIB発足50周年を祝う冊子に寄稿されていました。日本においても日本教育新聞への連載、知の理論に関する本も出版されています。

キャロル先生は現在、新潟県柏崎にお住まいです。9月には、キャロル先生に共感した星山彩子が発起人になって『共に考える“教育の未来”~Education in the Future~』という市民発信の教育イベントが開催され、大成功を収めました。キャロル先生はそこで「A New Approach to Learning~新しい学び方のアプローチ~」と題した基調講演をされ、私はへっぽこでしたが、通訳を担当させていただきました。

柏崎で行われたイベント「共に考える“教育の未来”」の様子を通訳とワークショップを務めた熊谷がレポートします。

To infinity and beyond!

そんなキャロル先生がYoutuberになりました。

チャンネル登録をして、動画をご覧いただければと思います。動画画面の右下に字幕ボタンがあります。そこをクリックすると字幕付きでキャロル先生の話を聞くことができます。リスニング教材としても活用してみてください。今日も読んでいただきありがとうございました。