TOKで平和にアプローチ

みなさん、初めまして。塩田匠と申します。熊谷優一先生(クマユウ)の生徒で、「TOKがわたしを変えた」の浅見君、「TOKで智に挑む」の鹿間君と同じく、2017年3月に筑波大学附属坂戸高等学校(筑坂)を卒業しました。

熊谷優一の教え子である浅見昌弘君が、TOKと出会ったことによる自身の変化について話してくれています。
筑坂のIB認定に一役かった鹿間謙伍君が、TOKと武士道について語ります。

今回は私が最初に国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)に興味を持つに至った、IBの使命について書きたいと思います。

IBの使命

IBに関する文書を読むと、決まって一番最初にIBの使命(IB mission statement)が書かれています。その中で、私は「多様な文化の理解と尊重の精神を通じて、より良い、より平和な世界を築くことに貢献する、探求心、知識、思いやりに富んだ若者の育成を目的としている」という部分に魅かれました。

私は将来、国際問題、特に戦争や紛争、テロなどの暴力や武力によって引き起こされる非平和的状況の撲滅を実現できる人間になりたいと考えています。私のIBへの興味はそういうところがきっかけでした。

悲しみの連鎖を断ち切るために

ちょうど大学受験の準備をしている時に、内閣府青年国際交流事業のプログラムで、ラオスから帰ってきたばかりの熊谷先生がこんな話をしてくれました。

「ベトナム戦争当時ラオスの国土は、北ベトナムによる南ベトナムの反政府組織への物資や兵器の輸送に使われた。そこをアメリカ軍が爆弾を投下し、輸送ルートを破壊しようとした。そしてその不発弾はいまだにラオスの発展を妨げる大きな要因になっている。戦争が終わって何十年たった今も、戦争の影響はいたるところで続いている。日本だって、オレたちは戦争なんてもう関係ないと思っているけれども、第二次世界大戦で亡くなった人たちの遺骨収集が今なお続けられている」

遺骨収集の話を聞いて、私は祖父のことを思い出しました。祖父はつい最近まで、中国で戦死した彼のお父さん、私にとっては曾祖父について調べていました。どの部隊に所属し、どこで、何歳で亡くなったのか……。

「知りたかったんだ。私が生まれる前に戦死した、会ったこともないお父さんのことを。何一つ思い出もない。せめて遺骨さえ戻ってきてくれたら……」

遺骨は見つかっていません。祖父の話を聞いて、戦争で大切な人を失った人にとって、「戦争はずっと続いている。終わってなんかいない」と実感しています。

私の目標は、必然的なものなのかもしれません。祖父と同じような思いをする人を増やさないためにも、昔から続く悲しみの連鎖を断ち切るためにも、「平和な社会を構築することに貢献する」ような仕事をしたいと思っています。

多角的な視点を持つこと

私達は、熊谷先生が放課後にIBのコア科目である「TOK(Theory Of Knowledge:知の理論)」を試験的に取り入れたEnglish Caravanという課外授業を通してしか、IBを体験していません(しかも、回数も中々少ない。もっとやってほしかった)。なので、IBについて詳しいことは正直分かりません。でも、少なくとも、物の考え方が明らかに変わりました。

「災害時に人々にかかるバイアス」についてディスカッションした時のことです。このセッションでは、「災害が発生した時に、人々はどのような思考や行動をとりやすく、それがどのように危険に繋がっていくのか」について話し合いました。

この時の私のテーマは、次々と出てくるグループメイトの意見を分類して、一つにまとめ、できるだけ簡単に表現したプレゼンをすることでした。それでも多量の意見を一つにまとめることはやはり難しく、リーダーシップというか、統合力というか、そういったものの重要性を再認識しました。

英語のスキルを向上させることはもちろんですが、TOKを取り入れた授業は多角的に思考することで自分の視野は広がりましたし、多様な表現方法を身に着けるといった面でも、大きく私を成長させてくれたと思っています。

最後に

私は高校生活で、自分の目標を実現するために、英語のプログラムやキャンプ、全国のNGOが集まるグローバルフェスタ、EdmodoCon Japan2017など、興味があるものにはとにかく足を運びました。たくさんの人とつながったし、新たな興味につながったと思います。

今後は大学へ進学するため、様々な知識を吸収し、留学やインターンシップなど、経験を積み重ねる期間となります。これからも自分に枠をはめず、必死に食らいついていこうと思います。

それでは、また会う日まで、

May the world be filled with love and smile.