今からIBを始める君へ:DP生の学習の流れ

熊谷にとってIBコーディネーターとして2校目となるIBDP認定申請が本日始まります。

さて、前回は国際バカロレア機構が提供する教育プログラムのうち、高校段階に当たるディプロマプログラムを中心のその概要を取り上げました。まだご覧になってない方はそちらから読んでいただいた後に今回のエントリーに目を通していただければと思います。

今回は国公立の一条校におけるIBDP生の学習の流れについて取り上げたいと思います。

一条校DP生の3年間

まずはおさらいです。一条校とは学校教育法第一条に規定されている学校で、国公私立のいわゆる学校を意味します。日本の学習指導要領に基づいて教育を行います。学習指導要領には何の科目をどれくらい指導するのかが規定されています。卒業すると日本の学校の卒業資格を取得できます。

DPコースにおいても日本の高校卒業資格を得るために必ず学ばなければならない科目をまずは勉強して、高校2年生からDP科目を勉強します。そして、3年生の11月1日を含む週の月曜から約3週間にわたって行われる世界共通の日程と問題(言語は異なります)で試験が行われます。ちょっと画像が荒いのですが、こんなイメージです。

前回DP6科目のうち、3科目はHLで、残りの3科目はSLでと書きました。それぞれ何時間勉強するか覚えていますか?HLは240時間、SLは150時間です。それを最終試験が行われるまでに学習します。コア科目であるTOKは2年間で100時間学習します。CASとEEは時間割には基本的には入っていません。

DPの評価方法

DPが実際に始まってからの流れを語る上で、今回は各科目の評価に関する詳細な内容ではなく、大まかな流れを把握しておきましょう。まずはDPの評価の前提です。

DP生はこれまで日本の学校教育にはない方法で評価されます。日本の学校では、乱暴な言い方をすると、学校によって、先生によって評価方法が異なります。定期試験では吟味されているといるとはいえ、教科担当の先生が作成し、そして採点した結果が成績に反映されます。

それに対して、DPの評価は各教科で何をどの割合で評価するのかがすべて規定されています。校内で行われる内部評価と11月に行われる試験(これは外部評価と言います)の結果で評価が決まります。

内部評価は指定課題とプレゼンなどで評価されます。教科担当の先生がその科目の評価基準に従って評価したものをIBに提出し、それをIBから指定されたその科目の試験官(採点する人)によって再度採点されます。これをモデレーションと呼びます。試験官はその科目の採点をするトレーニングを受けているので、試験官の採点結果が尊重されます。

外部評価は、言語は違えど世界共通の試験問題で行われます。採点は科目担当の先生ではなく、試験官が行います。

DP評価日程

2018年の最終試験の日程はIBのHPで公開されています。最終試験は4月始まりの日本の一条校の場合、11月のスケジュールで受験します。グループ6の芸術科目の中には最終試験がないものもあります。

この表を見てみると、科目によって、そしてHLかSLかによって試験の回数と、時間が異なるのがわかると思います。特に歴史のHLはPaper3が150分間ですね。150分間ぶっ通しで試験を受け続ける知的体力を養わないといけませんね。おのずと授業が見えてきませんか……。

一方、内部評価の日程は各学校が決定します。DPではユニットと呼びますが、各DP科目の学習項目が終わったタイミングで実施されることが多いようです。内部評価の内容も科目によって全然違うんですね。フィールドワークしたことをレポートとして提出するという科目もあれば、English Bのようにオーラル試験が生徒個々人に課されるといった科目もあります。

いつ内部評価がおこなわれるのか、大まかな日程についてDPを始めるタイミングで説明があると思います。DPCとしては、生徒の負担を考えて、評価日程が1週間に2つの科目でとならないように調整はするのですが、日本のカレンダーは休日が多く、日本の学校は行事が多いので、何ともいかないこともあり得ます。評価対象になる課題の提出とプレゼンテーションが同じ週にあるなんてことも……。

内部評価をIBに提出する期限は決められています。インフルエンザで休むとか、天候不良で休校になるとか、万が一の代替日程も確保しておかないといけません。そうすると、時期的に何科目か重なってしまうというのは、DPCとしては痛し痒しなんです。

最後に

DPの評価については、これがまたややこしい。別回でまた取り上げたいと思います。ひとまず今回はDPが実際に始まってからの2年間の大まかな学習の流れを何となく理解していただけたと思います。