ツナグ:Match Maker

煩悩は108つに収まっているはずですが、今年私にもしかして109番目の除夜の鐘が鳴りだしたらどうしようとビビっています。そんな一年でした(笑)。

みなさん、こんにちは。熊谷優一です。時の流れは今年も性懲りもなく速かったなぁなんて思っているのですが、たまには、「ようやく一年終わった。あー、長かった」なんて年があってもいいと思いませんか?

大晦日のマイ神社にて

前任校である筑波大学附属坂戸高校の採用試験を受けた後で、川越のとある神社に舞い込みました。その瞬間、「あ、ここオレの神社だ!」って思ったんですね。それ以来、毎月気が向いたときにふらーっと訪れてはお参りしていました。毎年のお祓いもその神社で行っています。

ちょうど3年前の大晦日。また、いつものように何の気なしにその神社にお参りした時のことです。突然境内呼び止められました。

「ちょっと、あなた、いいわよ!」

私は訳が分からず、その方に気圧されて目を見開いて、ただ聞いているだけだったのですが、どうやら私の運勢はかなりいいらしいのです。しかしながら、私の人生はこぬか雨のようで、だから何事も成果が出るまでには時間がかかる。「若い頃はもやもやしていたでしょうけど、あなたは腐らなかったわね」と掌をおもむろに見だすんです。

装束をお召しになっていたので、おそらくマイ神社の方なんだと思います。竹ぼうきで掃除もされていましたしね。

フロンティア

彼女によると、私は大多数の人と同じ道を歩むという遺伝子を持っていないらしく、誰もやったことがないようなことをやりたがるそうなんですね。だからどんどん新しいことに挑戦すべしということだったんですが、ちょうどそれがこのブログを始める手はずを整えていた頃でした。国際バカロレアの担当になって悪戦苦闘していたのもその頃……。

私にとって、その頃は何もかも初めてのことを始めようとしていた時のことだったので、何だか凄く力づけられたのを覚えています。「必ずうまくいくから、どんどん新しいことをやりなさい」と背中を押されました。

そして最後に、「あなたは三峯神社に行きなさい。必ず感じることがあるはずだから」と私に向かっておっしゃいました。私は、「神仏との関わりが深い」らしいのです。

実感は何もないのですが、「神仏との関わりが深い」ことについては私は幼少の頃からありとあらゆる人に言われ続けてきました。気仙沼でも行きつけのオカミサマ(恐山で修業をされた巫女のような人でお葬式が終わった後に呼ばれ、「口寄せ」という故人の最後の言葉を霊媒し遺族に伝える儀式を行ったりします)から、まるで説教されるみたいに言われましたし、韓国でもその筋の人に言われました(この手の話は、まぁ五万とあるのでいつか書こうと思います)。

そしてついに秋(とき)が来ます。あの大晦日以来、三峯神社の件はすっかり忘れていたのですが、7月のある日の朝、「そうだ!秩父に行こう!」と思い立ち、三峯神社に行くことにしました。しかし、三峯神社は案外遠いんですよ。

繋&優

三峯神社とても雰囲気のある神社です。見晴らしがよく、巨木が聳え立ち、爽快な気持ちにはなります。一通り雰囲気を味わった後、祈祷してもらうことにしました。折角長い時間かけてきたので、川越のマイ神社でお願いする祈祷の倍額出しました。車で来たのでお神酒は飲めませんでした……残念。

祈祷が始まると、心に移り行くよしなしごとに乱されます。なかなか集中できずにいたのですが、終盤に差し掛かり始めたとき、徐々に霧が晴れるような気持ちになり、漢字一文字がゆっくりと浮かび上がってきました。

「繋」

なるほどと合点したんですよね。私の今生でのテーマは「ツナグ」ってことかぁって。ヒトとヒト、ヒトとモノ、モノとモノを繋いでいくこと。それが私の今生と来生をも繋ぐのかもしれない。そして次の瞬間もうひとつの漢字がサッと下りてきました。

「優」

私の名前の一文字でもある「優」という漢字は古代において、宗教行事で歌ったり踊ったりするパフォーマーのことです。字をよく見てみるとお面をかぶり、腰に房飾りをつけて、踊っている姿が描かれていますよね。

最後に

あの日以来、私は「繋ぐ」ことを意識して話をするようになります。今年はいつにもまして大勢の前で話す機会に恵まれ(?)ました。そこでも、例えば既存の知識同士を繋げて新しい課題に取り組んだり、他の人のアイディアと自分のアイディアをを繋げたり、そんなアクティビティになるように話をしたりしました。

しかしですね。みなさん、冗談だと思っているかもしれませんが、私は人前で話すときは毎回緊張で朝からぬるま湯しか口にできず、話し終えると決まって胃が絞られるような痛みに約20分苦しみます。

本当はただの小心者。いつまでたっても慣れません。何回やっても一向に得意になりません。今、この原稿は岩手県にある花巻温泉で書いています。ちょっと社会と距離を置こうと籠っていますが、いよいよ腹くくれと言われているのかもしれません。来年は苦手克服となるといいのですが……。

あの大晦日から3年。新しいことはたくさん始まっています。その新しいことたちが実を結びますように。そして懐いてこないうちの猫が今年は性根を改めて、ばんばん懐いてきますように。

みなさん、今年も『チノメザメ~21世紀を学ぶ君へ~』を最後まで読んでいただきありがとうございました。よいお年をお迎えください。