皆さん、こんにちは。熊谷優一です。
これまで、『Heroes』シリーズでは再三に渡って、アンジェラ・ランズベリーという女優を取り上げてきました。彼女は私にとって生きる意味を与えてくれたと言っても過言ではない永遠の「推し」なんです。
アンジェラ・ランズベリーは今年10月16日に97歳を迎えます。デビュー作の映画『ガス燈』が公開されたのが1944年ですから、そのキャリアは78年に及びます。最新作は2018年公開の『メリー・ポピンズ・リターンズ』で映画の一番いいところで「Nowhere to go but up」という歌を歌っています。
コロナで撮影予定だった映画がキャンセルされたりしましたが、今年6月にはトニー賞で生涯功労賞を受賞しました。そして、今月、New York Public Library for the Performing Artsのオンラインライブラリーで彼女の最新インタビューが公開されました。すでに、アーカイブでも視聴できるようになっています。
彼女は2010年からAmerican Thatre Wingの名誉会長を務め、トニー賞授賞式で次のようなスピーチを行っています。
彼女は1940年にナチスドイツの空爆から逃れ、家族とともにアメリカに渡ります。その時に奨学金を得て、演技を学び、そしてそれが今のキャリアを築くことにつながったと話しています。
そして、彼女は言います。一夜でスターになるという話は実際には起こらない。演劇界でキャリアを求める若い人たちは演劇について、できる限り多くを学ぶことを真剣に考えるべきだ。American Thatre Wingは無料でそれらを学ぶ機会をオンラインで提供している。そんな機会をぜひ利用してほしい。
演劇に興味がある方は先述のNew York Public Library for the Performing Artsでも様々なリソースが提供されていることを知っていると思います。もうずいぶん昔になりますが、記録用に録画した様々な演劇やミュージカル作品をリンカーンセンターで視聴することができました。当時はカードを作るにはアメリカの住所が必要でしたが、研究用に見たいといえば見せてもらえたと思います。
今、日本国外に行くことはなかなか簡単なことではありませんが、演劇に限らず、無料で学ぶ機会は現在、あらゆるところで提供されています。ニューヨークにある近代美術館でも無料のオンラインコースを提供しています。
自分が学びたい内容を無料で提供してくれる機会を探し当てるのは、読みたい本や論文を探すのと同じです。上手にキーワード検索することです。
私はアンジェラ・ランズベリーという女優についてもっと知りたいという「推し活(?)」を通して、キーワードを検索するスキルを身に着けました。ホント、調べました。当時はインターネットもありませんでした。最初は気仙沼市立図書館で、そして宮城県立図書館で、洋書がおいてあった仙台の書店で彼女について書かれているものはないかと調べに調べました。しかし、そこまでメジャーな経歴を持っていない彼女の情報はあんまりありませんでしたが、ほんの少しの記述でも彼女について書かれた文献を見つけたときは嬉しかったのを覚えています。
アンジェラさんは私にとって英語を学ぶことの最大のモチベーションでした。気仙沼高校でALTをしていた先生に頼みこみ、アメリカに帰国した際に放映された最新の「ジェシカおばさんの事件簿」のエピソードをビデオテープに録画してもらったり、「こんな本みつけたよ」って買ってきてもらったりしました。アンジェラさんを知る前の私はただただ暗く、何を考えてるかわからないと言われていましたが、アンジェラ・ランズベリーを知りたいという欲求に勝るものはないのですよ。いつの間にか、自分の知りたいことを言葉にできるようになり、実際にアンジェラ・ランズベリーに会って、自分の思いを英語で伝えることができました。
小中高生のみなさん、みなさんが知りたいと思っていることありませんか?それを知るツールを皆さんはもうすでに持っています。インターネットを活用して、みなさんが知りたいと思っていることを家にいながら、お金をかけずに、ある程度知ることができます。この夏休み、どうぞその機会を活用してください。
キーワード検索が上手にできるためには、試行錯誤のプロセスが必要かもしれません。が、どのように調べれば自分が知りたい情報にたどり着くのかは、皆さんの言語センスにもよります。ぜひ、そのセンスを自分なりに磨いてみてください。かならず、そのセンスは他のことにも活きてくるはずです!