『チャリティキャラバン in 大阪 夏』出演者紹介③下村ゆかり先生

皆さん、こんにちは。熊谷優一です。この三連休は毎日エントリーをリリースしたいと思います。本日は『チャリティ・キャラバン 2025 in 大阪 夏〜国際バカロレアの学習と学びの連続性について考える〜』に第三部でお話しいただく下村ゆかり先生を紹介します。

イベントのチラシでは下村先生を次のように紹介しています。

AIC World College of Osaka国語教員 。IB ワークショップリーダーとしてPYP教員育成に携わる。前職のPYP認定インターナショナルスクールでは小学校の国語教育と学校運営の両面を担い、教育とマネジメントの双方から児童の学びを支えてきた。アメリカ在住11年間の間、プリンストン日本語学校補習校にて母語としての日本語指導に従事し、家庭ではバイリンガル育児を経験。特に多言語教育・概念型探究学習を強みとし、現場での実践に基づいた国際的な視点から教育の質向上に取り組んでいる。ベネッセコーポレーションを始め、そのキャリアは多岐に渡るが、一環して教育産業に携わってきたことが現在の教育観を支えている。玉川大学院修論で「探究学習における教員の協働」を執筆する。

下村先生は、私が「知の理論(Theory of Knowledge:TOK)」という科目の輪郭を理解しようと読んだ吉本隆明の『共同幻想論』とか、外山滋比古の本とか、ルネ・デュボスの本とかの話をすると、読み直したり、買って読んだくださったり、とにかく勉強熱心な先生です。

では、せっかくなので、ここからは下村ゆかり先生に筆を代わりますね。下村先生、よろしくお願いします。

チノメザメとの出会いから

読者の皆さん、はじめまして。下村ゆかりと申します。熊谷先生が主宰する「チノメザメ」は、2018年ごろから(私がIBPYPと出会ったころですが)拝読しています。今でこそIB校も増え、勉強会やワークショップなどを通して、実践する先生方との交流の機会も増えましたが、当時はリソースも少なく熊谷先生のブログを読んでIBに対する知識を学ばせていただいただけでなく、たくさんの刺激をうけました。

直接的には前任校の校長を通して紹介いただきましたが、まさか熊谷先生が校長をしている学校で一緒に働くことになるとは当時は思いもしませんでした。縁があったのでしょう。今回は『チャリティ・キャラバン 2025 in 大阪 夏〜国際バカロレアの学習と学びの連続性について考える〜』にまで出演させていただくことになりました。

毎日、職場では熊谷先生から唐突に問いが飛んでくるので、脳が本当に活性化されます。最近では、こんな問いを投げかけられました。

「あまねく言語の使用は政治の結果であるという主張をどう思います?」「バイリンガル教育における母語としての日本語教育の中に第二言語習得の手法を活かすことの有効性を検討してもらえませんか?」「伝統的な各国の教育であろうと、IBであろうと、言語にあまりにも焦点が当てられすぎていることにどうも違和感を持っているのですが、いわゆるビジュアル脳が優位な学習者の学力を正当に評価する方法はないでしょうか?」

イベント当日はIB教育をより広い視野で考えるようになった現任校での実践についてお話ししようと思っています。PYPは、学校での学びを転移させて実生活でも活用させることができる概念を学ぶことを念頭に教えていますが、実際には葛藤の毎日です。

バイリンガル子育て

熊谷先生と築地のお寿司屋さんで初めてお会いした時に、「落合博満が目指した野球のようにオーセンティックな教育を目指して地道に、奇をてらわず地道に学校を作ろうと思っています。うまく行くことも、そうでないことも多いのですが、子どもたちが社会に入っていくまでの間に情緒豊かで公共心を備えた大人になってほしいと願って日々陰日向で校長しています」とお話しされていたのが印象に残っています。「オーセンティックな教育」という言葉に、国際バカロレアの教育とか、学習指導要領とか、探求型教育とか、概念型教育とかいう表面的なことではなく、子ども一人一人が著しく変化する不透明な社会に希望を持って生きていくために必要な知識と資質を育てるのだという一教育者としての熊谷先生の気概を感じました。

それはお寿司屋さんの店長をしている熊谷先生が宮城で教員をしていた時の教え子さんとの会話にも現れていました。高校を卒業して20年近く経っている教え子さんとこうして交流がある熊谷先生には教育者としての魅力があるのだろうなと思いましたし、一緒に仕事をしたら毎日がきっと楽しいだろうなと思いました。

熊谷先生からは私のPYP校での指導経験を発揮するだけでなく、アメリカで子どもをバイリンガルに育てた母親としての経験をぜひ保護者の皆さんにも共有してほしいと話されました。自分の子供をバイリンガルに育てるということは、親が子に二言語を学ぶ理由をきちんと言葉で説明できること、また、生半可な気持ちではなく、覚悟をもって親も子も学ぶ姿勢をもつことが大切だと考えています。

ただ単に現地校やインターナショナルスクールに通わせていれば英語と日本語を習得できるとは限りません。私はアメリカの現地校に通う子どもたちと家庭では必ず日本語を話すことにしていました。

最後に

再び、熊谷優一です。件の寿司屋の店長の迎(むかえ)君は寿司清築地新店から渋谷店に先日移動になりましたが、筑波大附属坂戸の時も店を挙げてアンケート調査に協力してくれましたし、大阪府立水都国際立ち上げ時に一緒に仕事をしたい人(現校長の太田先生など)、現任校で一緒に仕事をしたい人は例外なく彼の握る寿司で口説きました(笑)。彼は私のパートナーと言っても過言ではありません。読者の皆さん、寿司清渋谷店に行く際には「迎前」で予約すると彼が握る寿司を堪能することができますし、彼の話も面白いので、事前に予約してみてください。

下村先生はPYPのワークショップリーダーもしています。そんな下村先生にIB教育の醍醐味を聞くと、「理論と実践を往還しながら教えるため、自分自身も常に学び続ける必要があること」と帰ってきました。常に変化し続ける時代の中で、私たち大人が子どもたちに見せられること、それは学び続けるその姿であると私自身も強く感じています。

7/27(日)のイベントでは、下村先生にはPYP教育とディプロマプログラムを念頭に逆向きのカリキュラム設計をどのように国語教育で実践しているかを話ていただきます。まだ申し込みは間に合いますので、当日足を運んでみませんか。申し込みは以下のリンクをご覧ください。

https://aicwc.jp/event/?utm_source=google&utm_medium=cpc&utm_campaign=2025ga&gad_source=1