今からIBを始める君へ -IBのプログラム後編-

みなさん、こんにちは。熊谷優一です。「今からIBを始める君へ -IBのプログラム前編-」では国際バカロレア機構(IBO:International Baccalaureate Organization)が提供する教育プログラムには大きく分けて年齢別に3つあること、そして日本語でも学習が可能になったことについて説明しました。まとめると以下の表のようになりますね。

プログラム名 対象年齢
プライマリー・イヤーズ・プログラム(PYP:Primary Years Programme) 3歳~12歳を対象
ミドル・イヤーズプログラム(MYP:Middle Years Programme)) 11歳~16歳を対象
ディプロマ・プログラム(DP:Diploma Programme)  16歳~19歳を対象

上記のプログラム概要は「3. 国際バカロレアのプログラム」で見ることができます。

今日はその3つのプログラムのうち、高校生を対象にしたディプロマ・プログラムについて取り上げようと思います。

国際バカロレアって何だったっけ?

ディプロマ・プログラムについて説明する前に、ちょっとおさらいしましょう。

ちなみに国際バカロレアはその英語(International Baccalaureate)での頭文字をとって、「IB」と呼ばれています。アメリカの「Ivy League」の「Ivy」と発音が同じであること、「バカロレア」がフランス語で「資格」を意味することから、お父さん、お母さん世代はこんがらがってしまいまうかもしれません。

簡単に言うと、「国際バカロレア(IB)」とは、国際バカロレア機構(本部ジュネーブ)という組織が提供する教育プログラムの名前です。そしてディプロマ・プログラムは高校段階に当たる国際バカロレア機構が提供する教育プログラムの名前です。

なので「Ivy League」とは全く関係がありません。そしてフランス語で意味するところの「バカロレア(資格)」とは意味が異なります。「IB」とは国際バカロレア機構という団体が開発した教育プログラムの名前だと思ってください。

では、今日は私がコーディネーターをしているディプロマ・プログラムについて取り上げたいと思います。

ディプロマ・プログラムでは何を学ぶの?

では具体的にDPがどのようなプログラムなのかについて見てみましょう。学習期間は高校段階の2年間です。

DPでは、どの国で、どの言語で勉強しても、「知の理論(TOK:Theory of Knowledge)」、「CAS(Ceativity、Action、Service)」、「課題論文(EE:Extend Essay)」という3科目は必ず勉強することになります。その3科目は『コア科目』なんて呼ばれています。コア3科目に加え、DP科目の1~6の各教科グループから各1科目ずつ、全6科目を学習します。以下の表を見ると見やすいでしょうかね。

科目名
知の理論
CAS
課題論文
DP科目 1. 母国語 言語と文学・文学 など学習者の母国語に関する科目
2. 外国語 英語Bなど外国語に関する科目
3. 個人と社会 世界史・地理・経済・政治 など社会科に関連する科目
4. 実験科学 生物・化学・物理 など理科に関連する科目
5. 数学 数学に関する科目
6. 芸術 音楽・美術など 芸術に関する科目

上記の表の6つの科目グループの科目名は日本語で実施できる科目を載せました。日本語ではまだ実施できませんが、英語で実施できる科目は他にもあります。「3. 国際バカロレアのプログラム」の「(3)ディプロマ・プログラム」の「1.DPのカリキュラム」を見てみてください。

DPにはどんなルールがあるの?

コア3科目は全世界共のDP必修科目です。そのほかに6つのグループから基本的は1科目ずつ勉強します。つまりコア3科目+DP6科目を勉強するということですね。

その6科目のうち、2~3科目をスタンダードレベル(SL:Standard Level)、3~4科目をハイヤーレベル(HL:Higher Level)で勉強します。(グループ6の科目の代わりに、グループ1~5の科目の内、2科目を選択する事もできます)この条件を満たせるようにIB認定校は教育課程を組んでいます。どの科目をどのレベルで学ぶのかは、各学校の規模や施設などによって異なります。

SLとHLの違いは学習時間と学習範囲です。60分を1時間として、SLは150時間、HLは240時間の学習が義務付けられています。HLの学習時間がSLに比べて多いので、その分学習内容も多くなります。

それを高校3年間の内、2年間内で学びます。

評価は学校内部で行われる内部評価と世界共通の日程と問題で実施される外部評価(最終試験)で行われます。評価について詳しくはまた別の機会に詳しく取り上げたいと思いますが、内部評価と外部評価を合わせて、コア3科目+DP6科目で一定の成績を取ると「ディプロマ」が授与されます。1科目でも条件を満たさないと「ディプロマ」は授与されず、「科目サーティフィケート」が個別に授与されることになります。

日本語と英語による「デュアル・ランゲージ・ディプロマ・プログラム(日本語DP)」ではDP6科目のうち最低2科目を英語で勉強することと文部科学省から求められています。

最後に

国際バカロレア機構が提供するディプロマ・プログラムをまとめてみましょう。

必須であるコア3科目に加え、DP科目の1~6の各教科分野から各1科目ずつ、全6科目を学習します(グループ6の科目の代わりに1~5のグループの科目で代替可能)。その6科目のうち、3科目をスタンダードレベル3科目をハイヤーレベルで勉強し、学校内で評価される内部評価と、世界共通の日程と言語は異なりますが同じ問題の外部評価で成績が決まります。日本語DPの場合、6科目中最低2科目を英語で勉強します。

日本で国際バカロレアの教育プログラムを実施しても良いと国際バカロレア機構から認められている学校は「4. 国際バカロレアの認定校」で確認することができます。

また「Find an IB World School」で国を指定すると、各国ごとにIB認定校を検索することができます。

今日も読んでいただき、ありがとうございます。中学生のみなさんに向けて書いたつもりですが、システムのことを説明したのでいまいちピンと来ないかもしれませんね。具体的にどんなことを学ぶのかについては、「筑坂IBを解説します -後編-」に例をあげています。参考にしてみてください。

熊谷がコーディネーターをしている筑波大学附属坂戸高等学校のIBコースのお知らせです。

今度はIBの協調的な学び方について取り上げようと思います。私は「答えが一つではない課題に自ら答えを出す勇気」を身に着けられるプログラムだと思っています。