13月と「あざら」という悪魔

スポンサーリンク




みなさん、こんにちは。熊谷優一です。この「13月」シリーズは3か月に1回位のペースで私のばあさんの話を書いています。

「13月」とは、「おめでたいやつ、まぬけ」という意味で、私の失敗を罵るためにばあさんが最も高頻度で用いたフレーズのひとつです。罵ることと同じくらいばあさんが得意としていたことに、茶色い料理を作ることがありました。

今回はばあさんが作った料理について取り上げたいと思います。

茶色い料理

茶色い料理は恐らく昭和のおばあさんの象徴ともいえるのではないでしょうか。私のばあさんも、蕗(ふき)を取りに行っては甘じょっぱくにつけ、昆布の茎をもらっては甘じょっぱくにつけ、ゴボウだ、こんにゃくだと、とりあえず甘いことを条件に時には辛く、時にはしょっぱく変化をつけて攻めてきます。

少なく作るという機能がついていないらしく、大きな鍋一杯に作っては、「あめる(わるくなる)から早く食え」と毎食毎食大量の茶色い料理を押してくるんです。中でも年に2回ばあさんにとって茶色い料理のビッグイベントがありました。(私が勝手に呼んでいただけですが)俗に言う、「雁月(がんづき)」祭りです。

雁月という名の兵器

雁月は岩手県から宮城県北の家庭でよく作られる小麦粉を用いて作られた菓子です。重曹を入れて蒸しパンみたくしたものと、重曹を入れていないムッチムチのやつと2種類があります。黒糖を使うと茶色に、白砂糖を使うと白くなります。

雁月を作ってふるまうことは、その地域に住むばあさんたちの習いのようなもので、漬物の付け具合と同様に、ばあさんたちのアイデンティティを示すための一品と私は子供ながらに思っていました。そしてその時々に作られた雁月に対して、おばちゃんたちは茶飲みに訪問しあい、一見和やかな雰囲気の中にもピリッとした品評が行われます。

うちのばあさんはフカフカじゃない、むっちりとしたパターンの雁月(にっき味ではない、黒糖を使った、とことん甘いゆべしを想像していただければと思います)を作ります。一体なぜかわかりませんが、重曹を入れて作ったフカフカバージョンを「グフ雁月」と呼んで見下していました。私は当時は親戚のキリコおばちゃんが作った白くてフカフカのが好きでしたが、ばあさんに見つかると、「このグフ」と罵られるので、隠れて食べていました。

グフじゃない方のばあさんが作る雁月はもう食べることができないので、今は時々無性に食べたくなります(機会があったら、雁付き祭りについての詳細はまた書こうと思います)。

あざらという名の悪魔

大概は美味しかったばあさんの料理の中で唯一、どんなに努力をしても我慢できない料理がありました。「あざら」です。あまりに嫌いすぎて「あざら」がどんな料理かも知らないのですが、この世の中のすべての食べ物中で最悪の部類に入っていることは確かです。賛成してくれる気仙沼の男性は多いのではないでしょうか。

どうやら「あざら」は古くなって酸っぱくなった白菜の漬物を、酒かすと、何かの魚のあらを一緒に煮込んだものらしいんですね。別に知りたくないけど、こんなページを見つけました。「あざら」について万が一知りたい方はをご覧ください。

その「あざら」を台所でばあさんが冬に大きな鍋いっぱいに作るのですが、作っていることは家に帰る200メール先からもわかるんです。もう、臭いが最悪。あんなに嫌な臭いを放つ物質を私は知りません。今思い出しても、鼻がもげそう。

その日は家に帰りたくないんです。家の中に「あざら」臭が充満し、しばらく消えないんですよ、また。私の部屋のドアが開けっぱなしだったら、その日はどんなに寒い日でも窓を開けないと臭くて寝られません。

その「あざら」を茶の間の炬燵で食べているばあさんの姿がまた最悪。タッパに入ったあざらを、ほんのり赤い顔をして、舐め舐め食べるんですよ。まさに舐め舐め食べる。そこにばあさんの一味のどっかのおばちゃんたちがいたりすると……。

まるで私の気分はマクベス。炬燵を囲んで「あざら」食べている魔女に呪いをかけられるんじゃないか、くらいの不気味な雰囲気がありました。この世のものとも思えないにおいがする「あざら」を指で掴んで口元に運びながら、日ごろのうっ憤を赤らんだ顔で、こそこそ話すんです。

箸と皿を準備すればまた違っていたのでしょうが、ひとつのタッパだったり、大皿から「あざら」を指で食べるもんだから、必然的にみんな前かがみになって顔を近づけことになり、話し声が小さくなる。酒粕で酔ってしまったのでしょうが、赤ら顔をした女性が「あざら」を食らうこの光景が何とも怖かったのを覚えています。

最後に

この間、『Most Likely to Succeed』というドキュメンタリー映画を上映するため久しぶりに故郷、気仙沼にゆっくり帰りました。そしてスーパーで見かけたんです。

あの、悪魔のような臭いがする、「あざら」がパックに入って売られているのを!ついに「あざら」が売り物になったのかと驚きました。正直に言って、他人の吐○物にしか見えなくないですか?

ここまで書いて寝たんですが、バッツリばあさんが夢に出てきました……。台所でお支度をしているばあさんの包丁がキラリと光って目が覚めました。怖ぇよ、ばあさん。

さて、今回のエントリーを以って、しばらく当ブログ『チノメザメ~21世紀を学ぶ君へ~』はメンテナンスに入ります。早ければ3月3日(日)からリリースを再開したいと思うのですが、招待されているIBのプロジェクトがいくつかあるので、もしかしたら3月一杯までかかるかもしれません。再開までしばらくのお別れです。その間どうぞ安寧にお過ごしください。

2月16日に仙台二華高校で行われる「SGH×IB関連イベント in 仙台『アクティブラーニング・探究活動等に関する研修会』」に当ブログでもお馴染みの石田真理子先生とともに登壇することになりました。お近くのみなさん、お目にかかるのを楽しみにしています。詳細は上記のリンクを参考にしてください。

今日も最後までお付き合いただきありがとうございました。

スポンサーリンク




フォローする