ナレッジキャラバン in 大邱

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乗り込んだのは大邱(テグ)行きのKTX。降り立った東大邱駅には慶北大師範大学附属高校に勤める先生が私を待っていました。

本当は全羅南道の霊岩(ヨンアム)からソウルに引っ越した友人と6年ぶりに会うために韓国に赴いたのですが、どこから話を聞いたのか、ついでに大邱でワークショップをしてくれないかと依頼を受けたのでした。

韓国語でワークショップ?

みなさん、こんにちは。熊谷優一です。

9月にDP認定を受けた市立札幌中等学校の公開授業の模様をお送りします。

大邱の先生方とは9月に市立札幌開成中等学校でお会いしました。教育談義で花を咲かせ、共通の課題意識を持った先生方ともまたお会いしたかったですし、大邱には行ったことがなかったので、本当に軽いノリで返事をしたのですが……。

駐車場に向かうまでの間、彼女はどうやら申し訳なさそうな表情をしていたので、「?」と思って聞いてみたら、さぁ大変。当初は、国際バカロレア認定校を目指す彼女の同僚の先生たち20人くらいで座って、カジュアルな雰囲気でおしゃべりしながらってはずだったののですが、どうやら大邱市のいろんな学校から100人を越える先生たちが参加する、かなり大掛かりな研修になってしまったというのです…。

一瞬言葉を失いました。真面目に震え始めました。韓国語でやるって言ったって、日本に帰国して早6年。私の韓国語は鈍りになまってしまって……おしゃべり程度ならいけますが、講義形式となると…。

しかし、この状況でパフォーマンスするマインドこそ私が韓国で最も学び、実践したこと。用意周到に準備をして完璧な状態ではなく、その時々のベストを目指して手を挙げること。インプロ、つまり即興で取り組むことによって自分の得意不得意を仕分けし、自らの限界を把握することができます。その結果、次のパフォーマンス向上のため対策を練ることができます。

いつも引用しますが、私が初めて参加したマカオでの国際バカロレアコーディネーター向けワークショップでも玉砕しましたが、そこでも確認と、発見と次に何をするべきかを掴むことができました。何もしなければ現状維持。リスクを負っても、行動に移すことで世界とネットワークは必ず広がると私は信じています。

熊谷が知識ゼロで参加したIBワークショップでの惨事を語ります。

韓国と빨리빨리文化

とはいえ、前日にソウルで友人たちに韓国語で作ったスライドを見てもらったのですが、誤字脱字のオンパレード。私の韓国語力の明らかな低下に自信を喪失していたところだったので、正直ドキドキが止まらない。しかし、残酷なことに時間は刻一刻と進んでいきます。

慶北大師範大学附属高校の校長先生から大邱における国際バカロレア導入の背景と直面しているいくつかの課題について伺いました。副校長先生からは、どんなにつたなくても韓国語で話してくれようとするだけでありがたいとおっしゃっていただきました。

始まってみると、会場はステージのある大きな講義室に大邱市内のたくさんの学校から先生方が参加されていたので、ワークショップではなくどちらかというと私が前任校、および現在の学校での経験と実践例、そしてそこからのアドバイスをお話ししました。あまりにテンパってしまい、正直あんまり覚えていないのですが、最後にただひとつだけ伝えたいことがありました。

韓国は何事も急ぎすぎるところがあります。まだ候補校になっていないため、十分な資料を入手できません。韓国語の翻訳されている文書がまだ公開されておらず、ワークショップに参加したことがある先生もほとんどいません。そんな中、科目アウトラインやユニットプランナーを作成するよう命じられており、先生方の中で困惑が広がっているようでした。

職務命令とはいえ、既存の学校で新たなプログラムを導入しようとしている時期に急ぎすぎると職員間にモチベーション格差を生み、それが後に分断に繋がる可能性があります。特に大邱市では10校を超える公立校にIBを導入することになっているので、これまで市が行ってきた教育実践を再評価し、IB導入の目的について合意形成する必要性があると伝えました。

韓国の教育行政とIB導入

サムソン電子が2014年に設立した忠南サムソン高等学校を熊谷が訪ねました。

以前、広がる?デュアル・ランゲージDP in 韓国でも取り上げましたが、韓国でも英語と韓国語によるディアル・ランゲージ・ディプロマ・プログラムが導入されようとしています。OhmyNewschosun.comの記事は、すべてハングルで書かれているのですが、大邱広域市、済州、大邱、そして以前訪問したサムソン電子が設立した高校がある忠南教育庁が公教育にIBを導入することについての新聞記事です。中でも大邱市は10年後には韓国型IBを作り上げると市を挙げた導入に意欲的です。

このような教育政策がものすごいスピードで実現されようとしている背景には韓国の独特の教育行政システムがあります。韓国では教育監と呼ばれる各地方の教育委員会(教育庁)の長は選挙で選ばれます。統一地方選挙と同時に選挙が行われますが、いわゆる日本の各都道府県の教育長は韓国では教育行政を専門とした政治家です。マニフェストでIBを導入すると盛り込んだ候補者が大邱では当選しました。

大邱教育委員会では、教育委員会主導でIBを導入したい学校を募り、補助金をつけて支援しています。チョ・チョンギ教育長は、「大邱は韓国において先進的な教育を実践してきた土地柄、国際バカロレアの教育プログラムを公立の文脈で導入することで学習者個々人に見合った学び方が選択できるようにしたい」とおっしゃっていました。

最後に

終わってから、副校長先生にたくさんフィードバックをいただいた上に、私がうまく伝えられなかったことを言語化していただきました。「두려움(恐怖)」と「폭탄적(爆弾的)」は二度と忘れません。自分だけだ話していると出てこない表現があるんですよね。

夜は札幌でお会いした別々の学校で教えている先生方とおシャンティなイタリアンレストランで再会しました。ちょうど転勤の話題が持ち上がる時期で、みなさんIBを教える学校に行きたいとおっしゃっていました。また、大邱でなぜIBを導入するのかについて熱く語るみなさんに聞き入りながら、私は国籍が違うことをすっかり忘れ、オモイは同じだなって心震えました。いつか、私の生徒と大邱の先生たちの生徒と一緒に知の理論の授業をオンラインでできたらなと思っています。

IBに携わるようになって、これまで学んできたことが有機的につながってきたことを凄く嬉しく思いつつ、もう一回韓国語をきちんとやり直そうとやる気になって翌朝清々しい気持ちでソウルに向かいました。

韓国の先生方がどういうニーズを持っているのかも把握することができました。韓国語で大勢の前で話すときの言語についても次どうすればいいかも掴めました。結局、この機会で最もよく学んだのは私だったかもしれません。また、近々、韓国に行くことになりそうです。次はもっとうまくやれるよう精進します!

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