アルメニア通信:旅立ちのとき

チノメザメをご覧の皆様、初めまして。熊谷先生の弟子の大﨑永菜と申します。

私は今興奮と緊張を胸に、アルメニアに到着した頃だろうと思います。なぜアルメニア?なぜ熊谷先生の弟子?今回は私自身の話や、一学習者としての思いを綴りました。

クマユウに勝負を挑む

私は8月いっぱいで熊谷先生がIBコーディネーターをしている学校を退学し、この夏からUWC (United World College)アルメニア校に入学します。熊谷先生を知ったのは、中学の時に学びを模索していた時、このブログ(チノメザメ)を見つけ、IBへの興味を深めたのがきっかけでした。

一旦幕を閉じた高校生活約1年半、私は常に熊谷先生に勝負を挑み続けました。そして、事あるごとに先生を訪ねては問いを求めました。その問いに対し、自分なりの考えを持って「この人に負けるものか」と、意気込んで熊谷先生の部屋の扉を再び叩くのですが、毎回毎回打ちのめされていました(笑)。熊谷先生との問答は時に恐怖です。とても緊張します。用意してきた答えが中途半端だと自分でわかる瞬間があるんです。そんなときは、手が震えました。

でも、先生の部屋を出るときには、爽快感に満ちていました。心が折れるというのではなく、「なにくそ!」「次こそは!」と自然とやる気が湧いてくるんです。容赦はなくとも、決して責めることはないそのツッコミから私は多くのことを学ぶとともに、レジリエンス、逆境力が成長していったのだと感じています。このブログに登場する熊谷先生に教えられた先輩方は、熊谷先生を赤鬼と呼んでいますが、大きく頷いてくれるのではないでしょうか。

しかし弟子は師を超えるものですから、これからの学びでいつか熊谷先生を超えていきます。

自分自身に戦いを挑む

ところで、私がどのような人間なのかもう少しお話ししたいと思います。私は中学生の頃に、自主的に続けていた川掃除をきっかけにNYの国連本部で学び、今でも自分の経験について毎年啓発活動をしています。様々な活動をしていた時、大切にしていたのはつながりでした。

中学3年になって、進学校であった中高一貫校から別の環境で学んでみたいという気持ちと、英語を強化したいという思いから、今までとは全く違った環境の高校へ進学を決めました。高校生での1年は、学びへの飢えと自分の能力が足りないことへの壁に歯がゆさを感じながら、ある一つの目標のために、月1で襲ってくる偏頭痛と闘いながら、そして腱鞘炎になるほど勉強しました。

こうして、私はアルメニアでIBを学ぶ機会を得ました。私はこれから2年間、UWCアルメニア校で学びます。心掛けたいことの一つが「視野を広く持って、直観的に飛び込むこと」です。

なぜ私は学ぶのか

私が学ぶことに対して初めて疑問を持ったのは中学1年生の秋ごろでした。それまでは当たり前に受けていた知識重視の学び方に突然、意味を見失ってしまったのです。テストのためにワークを4,5周して覚え、そして忘れていく知識が評価されることに疑問を抱き始め、どんどん学校へ行くのも嫌になりました。

「なぜ私は学ぶのか」と考え始めたものの、その時には全く答えは出ず。ずっと模索しながら学びを続けた結果、出会ったのがIBという方法でした。

この4月からIBDPを始め、苦しみを味わい、そしてその苦しみを楽しみながら成長しています。しかし同時にIBというのは学びの手法の一つであって、それぞれの方法に利点と欠点があることも知りました。実際にIBを学び始めてから自分の知識の少なさに落胆し、知識の重要性をひしひしと感じています。一方で、最近は、不思議なことにあれだけ嫌だった「覚える」ことに対する息苦しさが軽減されたような気もするんです。

現在、様々な学びの選択肢がある中で私たち学習者がその選択肢を知り、そして自分で学び方を選べるようになることを願っています。

そしてそのために学生は、どんなバックグラウンド、環境にいても学びを模索し続けることも大切かなと考えています。自分がやりたいことに対して、良い意味で学校を一つの手段として活用すること。学びたいことを学べる環境を自分で作っていくこと。新しい高校に進学し学ぶ方法を一年間試行錯誤した結果、それまでいかに受け身で学んでいたことに気づけました。

最後に

私はどうしても物事を考えていく中で、頭が固くなりがちだと感じることがあります。特に昨年1年は一つの目標を達成するためにストイックに取り組む方法をとっていましたが、アルメニアでは自分の軸は持ったまま、困難な環境であろうと、自分の好奇心に従って飛び込んでいける、流動的な生活を送ってみたいと思います。

さて、皆さんとは今後も定期的にお目にかかることになると思います。熊谷先生にはCASアドバイザーになっていただくことになりました。多様性の中で過ごす一学習者の視点から、私が見聞き経験したことや私自身の成長をお届けできればと思っています。

最後まで読んでいただきありがとうございました。次回はアルメニアからお送りします。お楽しみに!