IBという文脈

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IBに関わるようになって三年。ワークショップに参加したり、学校説明会を開いたりと随分と海外に足を運びました。その時はワークショップで知り合った各国の先生を頼って、空いている時間に必ず一校はIB校を視察するようにしています。

私自身も様々な国のIB校を視察しているうちに、私なりのIB観を持つようになりました。そしてそれは日本の報道が強調しているような、「IB=海外有名大学進学への切符」ではない文脈をみるようになりました。

IB校の学費の話

海外でIBを実施している学校のほとんどはインターナショナルスクールです。したがってロ―カルな国公私立の学校と比較すると、べらぼうに学費が高い。私が視察したIB校の中で一番高いところは日本円で年間約420万円でした。安いところでも200万円を下回るところはありませんでした。IBが「豊かさの再生産」と時に批判を受けるのはそういう背景があります。

私がこれまでに知っているところに限りますが、一年間の学費のことで日本に目を向けてみると、IBを実施しているインター校は大体200から300万円というところでしょうか。英語でディプロマ・プログラムを実施している私立の学校では200万円前後、日本語と英語でDPの実施している安いところで60万円台、高いところで100万円くらいです。国立DP校は授業料が約12万円にプログラム受講料として別途合計100万円(二年間で分割)を納めます。

特筆すべきは東京都立国際高等学校ですよね。英語DPでありながら、授業料以外に別途プログラム受講料はかかりません。英語DPなので受験者は限られてきますが、毎年結構な倍率をたたき出していますよね。

この他にも高知(日本語・英語)、広島(英語DP)、大阪(日本語・英語)、山梨、滋賀でも公立のIB校が順次認定され、都立国際と同じシステムをとると、一律の授業料のもと、IBの学びを選択できるようになる点で日本のIBはこれまでの世界のIB校とは異なる文脈で実施されてことでしょう。たくさんの子供たちがIBを選択できるようになりますね。

海外IB校の実際

冒頭にも書きましたが、「フルDP取得=海外有名大学進学への切符」ではありません。ここはまだ誤解が多いようですが、完全なる誤解です。海外の有名大学に進学するためには、ディプロマを取得した点数が問題になります。ここで点数を公表するのは控えますが、各大学によって目安となるスコアを公表しているところがありますので、そちらを調べてみてください。日本国内の大学(IB業界では評判の悪いところがありますよね)でも、結構高いスコアを求めているところもありますね……。

さて、IBを実施している海外のインター校では、富裕層の子供たちが通っているということは事実ですが、必ずしもDPで高いスコアを取ることを目標に勉強している子供たちばかりが通っているというわけではありません。

特別な支援を必要とする生徒も少なくありませんし、別にIBをやりたいと思って入学したのではない生徒も一定数います。そういった生徒はDPの最終試験を受けないケースが多いです。また、科目サーティフィケートのみ挑戦するという生徒も結構な数がいますし、そもそもIBを勉強しても、最終試験までは受験しないという選択する生徒もいます。

さらに言うと、学校ごとに最終試験の平均点が出ますが、○○地域で一番を狙おうとする学校は平均点を落としたくないために、それがいいか悪いかというのは置いておいて、フルDPが取れそうもない生徒は受験させないという方針を取っているところもありました。「うちの学校に入れば…」的な宣伝をしていると思うのですが、数字のマジックですよね。

そうそう、カナダのアルバータ州ではIBを特別支援教育の一環として位置付け、州立の学校で既定数の生徒がDP科目を選択した場合に学校に補助金を出し、より深い学びを求める生徒を支援しています。これは目から鱗でした。

IBタブロイド

ジャカルタでワークショップを受けたときに、衝撃的な話をワークショップリーダーから聞きました。コーディネートの不正です。

『DPC、試験問題を不正に売買』

ある学校でDPCが試験問題をコピーして生徒に売っていたというのです。最終試験問題はDPコーディネーター(DPC)が厳重に管理します。DPCと校長しか入れない「試験保管庫」を設けることが認定の施設要件になっていますよね。私の学校では、セキュリティーが甘いと指摘を受け、二重扉にし、防火金庫を購入しました。本来、それくらい厳重なんですね。

だからビジットのときにあんなに厳しくDPCの人となりを見られたのかと納得がいきましたし、試験の不正行為も毎年発生しているので、「学問的誠実性の関する方針(Academic Honesty Policy)」も徹底的に見られました。先生たちは生徒の学問的誠実性をどのように育てていくか、生徒はその重要性を理解し、不正を行った場合はどのように罰せられるかを文書化するなどして学校は徹底的に不正を防ぐ努力をします。

IBに関わったことがある先生方は、このような話を聞いたことがあるかと思います。日本では到底考えられない…と信じたいです、ね。

最後に

今日はIBがどのような文脈で行われているのかを取り上げました。人生いろいろ、IBもいろいろですね。

その中で日本はどのようにIBの文脈を作っていくのか、本当に楽しみです。「DP=海外有名大学進学への切符」ではないことだけは理解していただけました、よね?

今日も読んでいただきありがとうございます。また三日後にお目にかかります。

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