台湾のIB校より vol.3

大家好。みなさん、こんにちは。前回「台湾のIB校より vol.1vol.2」というタイトルで2回に分けてエントリーを書かせていただいた阿部です。

台湾のバイリンガルスクールで教鞭をとる阿部公彦先生の初エントリーです。
台湾のバイリンガルスクールで教鞭をとる阿部公彦先生のエントリーです。

実はその後、熊谷先生が当校を訪れて下さいました。キャンパスを案内させていただいたのですが、当校の様子や設備などを見て非常に関していらっしゃいました。正直、私も自分の働いている学校はユニークだとは思っていましたが、日本のみなさんから見てどのように映るのかあまり想像出来ていませんでした。

というわけで、今回は私が勤めている国際部だけでなく、明道中学はどんな学校なのか、みなさんに紹介させていただきたいと思います。ちなみに私が熊谷先生と一緒に写っている写真は残念ながら、今回お見せ出来ません。2人とも話に夢中になってしまって、記念撮影するのをすっかり忘れていたのです(笑)。

全校生徒は8,000人

明道中学は中高一貫の私立の学校です。私が所属する国際部は200人程度の小所帯ですが、中学部、普通高校部、職業高校部を合わせると生徒数は8,000人にのぼります。

8,000人規模の学校は台湾でも珍しく、全国で1、2を争うマンモス校です。その学生数を最も感じることができるのは朝会で、全校生徒が校庭に集まる様子は本当に圧巻です。また学生のほとんどがスクールバスで登校するのですが、キャンパスに100台を超えるスクールバスが毎日乗入れる様子はニュースなどでも紹介されたことがあります。

では、なぜそんなにたくさん学生が集まる学校なのでしょうか。

異文化理解教育を支えるプログラム

以前の校長時代の学習環境や教師も素晴らしい学校だったと聞いています。ただ現在と違って、考えが保守的で中国文化を守っていくという考えが色濃い学校だったそうです。それが今の校長先生になってから「Discover yourself」というスローガンを掲げ、中国の文化を大切にしつつ国際化を進めていこうという方針に一歩踏み出しました。

国際化といっても色々な方法がありますが、当校では多種多様なプログラムがあります。例えば1年にもわたる交換留学生の受け入れ、シンガポールの姉妹校との提携と交流、海外ボランティアや海外研修など学生が異文化を体験し様々なことを学ぶチャンスがあります。それらのプログラムも学生を引きつける要因の1つとなっていると思います。

ですが、異文化理解のためだけの国際化なのではありません。

世界を舞台に活躍する学生

台湾は日本や他の大国と違い人口も少なく、学生らが参加する大会やコンクールは自然と他の国より規模的に小さくなってしまいます。確かに、その中で切磋琢磨していくことも大切なことです。ですが将来、様々な分野で台湾から海外に出て行こうとする台湾の子供達にとって、更に大きい舞台が必要です。それが将来世界で競争できる人材を育てることにつながるとも考えています。

このような考えから当校の学生は海外で行われる発明や化学、文化、接客、料理など様々な分野の大会やコンクールに参加しています。自分の得意な分野を伸ばしつつ、更に大きな世界を見るということは彼らにとってかけがえのない経験になるでしょう。

学生たちは素晴らしい結果を残し始めていますが、それには何が必要なのでしょうか。

学生の成長を支える環境と施設

当然ながら、教師の熱意や学生の努力などはいうまでもありませんが、もうひとつ大切なものがあると思います。それは環境や施設だと思います。

明道中学にはそのような学生を支え、また単に興味があるというだけの学生を更に専門的な範疇へ誘うための教室が多々あります。例えばTEDと提携して定期的に学生が本格的なプレゼンテーションを学び、実際に発表するための「TEDホール」、3Dプリンターやレーザー加工機を設置して生徒が自分の作りたいものを考え、設計し実際に作ってみるためのスペース「Fab Lab」、より専門的な化学や生物の実験機器を擁した「Bio Lab」など特徴のある教室が他にもたくさんあります。

学生がしたいことを尊重し、台湾の中では校風も自由、また学生の得意なところを伸ばすための環境も豊富、私が働いている明道中学はそんな学校です。

最後に

今回国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)のシステムが導入されたのは国際部のみです。ただこうやって改めて説明してみると、元から明道中学が目指している教育とIBが目指している教育は近いと感じました。先ほど紹介した明道中学の試みを継続させていくのは容易いことではないと思いますが、IBから得られる経験と知識が役に立っていくに違いありません。