本家・命のアンテナ

皆さん、こんにちは。はじめまして。私は、新潟県柏崎市で「ドナルド・キーン・センター柏崎」を運営しております公益財団法人ブルボン吉田記念財団の理事を務めている吉田眞理と申します。

2013年9月にオープンいたしましたこのセンターは今年で5年を迎えました。オープン以来、沢山の市民ボランティアの方々に支えて頂き、市民が立ち上げて下さった、ボランティアの組織を皆で楽しく育んでおります。ドナルド・キーン先生の御研究の学びと、先生の御研究を活かしながら、市民ボランティア力で地域の育みを考えております。

熊谷さんとの出会いは、私にとってとても印象的(感動的)でした。ドナルド・キーン・センター柏崎ができるまでの様々な不思議なご縁と同様、【奇縁】を感じます。

世界の平和

私は【世界の平和】を祈りながらこのセンターにいます。

今年9月に、柏崎中央病院女医の星山彩子さんから、「国際バカロレア教育協会の日本代表である犬飼キャロルさんが柏崎に住んでいらっしゃるので、是非、代表であるうちに柏崎で国際バカロレアを紹介するシンポジュームを企画したい」と相談されました。

9月24日当日、熊谷さんからもお手伝いをして頂けるという事で、彩子さんからシンポの前に、熊谷さんのキーンセンターご案内役を頼まれ、先生に初めてお会いしました。お話しをしながら、私の思いに響いて下さり、とても感謝しました。先生との時間は、【時空を超えた心地よい空間】でした。

複雑な関係に生きる

国際関係は、一人の【人と人の関係の延長】であると考えています。

私が初めて先生のお宅に伺った時、ドナルド・キーン先生は「国際人とは、貴方と私は同じという感覚をもっている人のことです」という言葉を、お話し下さいました。多分、熊谷さんとのコミュニケーションが、お互いの立ち位置がこの感覚でなされたという事であると思っています。

国際関係は違う国同士の関係だけではなく、同じ国の人同士であっても、肩書の違い、性別、年齢等に関係なく、この感覚を持って人と相対したかどうかであると思っています。初めてキーン先生のお宅に伺って、2時間くらいお話しした時の空間と同じものを感じました。

このドナルド・キーン・センター柏崎設立に至った一連の出来事、そしてセンターを支えるボランティアの皆さんの育みの中に、実はこの【哲学】が底に流れていると私は感じています。

命のアンテナ

これはあくまで一つの、私なりの考え方であるので、ただの参考程度に軽くお考えください。

この「命のアンテナ」という言葉は、私の体験の中で、私の心の底から浮かび上がってきた言葉です。これは、私の思いをとてもよく表現していています。

人は生まれながら、一人一人、人を幸せにする独自の道を探る「命のアンテナ」が備わっている。そのアンテナを鋭く、性能良くするためには【愛情】と【信頼】を体いっぱい浴びることがとても大切であると思っています。

人(家族)の中に居て心地よい感覚を無意識の中で浴びる事。それが自己肯定感を生み、授かった命を他者の為に活かすことに繋がるのではと思っています。それは「素直さ」とも呼べると思っています。愛情を浴びた命は、愛情を人に降り注ぐことができる。

家庭で愛情を上手く浴びる事が出来ない場合もあります。そんな時に、地域や学校、職場の中で愛情を受ける、感じるチャンスを私達大人が意識して作っていくことが大切であると思っています。

私自身も、沢山の地域の方々に助けていただいて今日があります。苦労の最中、助けていただいてそのありがたさを知り、自分も人を助けたいと思った。自分は愛される価値ある人間であることを実感し、自己肯定感を持ち、自分の命を、そして人の命を大切に思う。人に喜んでもらうことは、本当に嬉しいことです。世界の平和は、こんな小さな一歩に繋がっている。眼の前の今と、鳥瞰図的に見ての世界の全体像を意識・無意識両面でキャッチできるための【命のアンテナ】は、ありのままの自分を自分がしっかり受け止める、肯定することにより、まっすぐ立たせることができる。

命のアンテナが立って、より深く社会と良いかかわりを持つための思考が生まれるのではないかと考えています。様々な技術を、人の幸福、社会の平和という目的を持って開発し使える為の人間教育、愛情あふれる【人】の教育を、世界の人々はそれぞれの責任において考えていかなければ、自分の幸せもない。眼の前の小さな貢献。小さな幸せ探し。お蔭様探し。

最後に

世界平和があってこそ、自分や子供たちの安心・安全の未来の幸せがあります。

世界平和は、皆で力を合わせなければ不可能です。生まれた国、家庭はそれぞれ全く異なります。立場も違えば、文化も、宗教も、経済力も…すべて違います。それぞれが自分の【身の丈】のところで、貢献すればそれでいい。得意の部分で楽しくやればいい。

自分の長所と人の長所を繋げて組織を作っていく。【短所は、人と人を繋ぐ接着剤】。自分を知り、人を知る。お互いの慎重で謙虚な【傾聴】が、前向きなコミュニケーションとなり、希望ある未来を築いていけると信じて、日々精進してまいります。

長くなりました。皆さん、柏崎にお越しの際は、どうぞ「ドナルド・キーンセンター柏崎」においでください。お待ちしております。