みなさん、こんにちは。仙台育英学園高等学校の石田真理子です。本校は日本語デュアルでIBDPを始めた日本で最初の一条校です。私はIBDPのカリキュラムマネジャーで、教科としてはEEコーディネーター、TOK教員を務めています。
熊谷先生は、前任校に務められていた時に何度か本校を訪問しました。こちらもDP認定を受けることの苦労は身にしみていましたし、熊谷先生は故郷が宮城県であることで本校教員らも皆、親しみを感じ、少しでもお役に立てればと学校ぐるみのおつきあいをさせていただきました。
それから、熊谷先生と茗渓学園の松崎先生とは、以前にIB関係の会議の後、3人で食事して、一気に盛り上がりました。今回声がけしていただいたとのは、その時、熊谷先生が私に何かを感じ取ったのからかもしれません(笑)。
IBプログラム実践者として
熊谷先生のおかげで、IBプログラムの紹介を4人で展開できる機会を得て、大変光栄に思いました。阿部先生はお天気祭り(つまり発表の前日)まで会ったことはなかったのですが、本当にピュアでほっこりした方で、中国茶のようなその癒し系の雰囲気に、初対面とは思えないくらい打ち解けることができました。
最初お話をいただいたときは、不安もありました。私は仙台在住だし、阿部先生は台湾だし、この遠隔操作どうするの?とちょっと心配でした。阿部先生が来日されることがあっても、東京でしょうし、3人はしょっちゅう集まったりできるだろうけど……という感じで。
ところが、それは杞憂に終わりました。とにかく彼らは熱いので、熊谷先生が、「ちょっとこんな感じでやるのはどう?」と振っただけで、もうメモ的な下書きや図式なんかを作って、Google docに上げてくるのです。それにまた意見や助言、提案をして、さらにまた考えて作り直す。
みんな忙しいのに、仕事を終えて夜、自宅に帰って作業してアップロードするという繰り返しでした。IB教育に携わろうとするにはやはり、そのように授業準備に熱くなれる先生でなくてはならないと思います。教員も生徒と同様、常にlearnerで、現状に満足することなく前進し続けること、これこそがIBプログラム実践者のあるべき姿なのでしょう。これは今回の私の発表でも伝えたことです。
松崎先生のWS紹介
松崎先生は、聞き上手で穏やかな人柄の方です。自分の話をするのが好きな人たちが多い教員の世界では(笑)、稀有な存在でしょう。とにかく人の話をゆっくり聞いた上で、じっくり考えた自分の意見をお話になる。物静かな方ではあるのですが、自分の興味のある世界もこだわりもしっかりあって、それが今回のアクティビティにも反映されておりました。
4人で打ち合わせをしている間も、松崎先生は熟考していらっしゃる。たまには(いや、いつもかな)脱線して、本題からまるで外れた話をしていてもみんなの話を聞きつつ、その話題に参加しつつ、自分のWSをどう組み立てていくかを真剣に考えていたのだと思います。
彼らしく、詳細な資料を用意されてWSに臨み、そこに彼のIBのコア科目であるCASへの想いが盛り込まれていたと思います。参加者の皆さんも、自分の学校に置き換えてさまざまな意見が出て盛り上がりました。
今後もずっとお付き合いしていけたらと考えている尊敬するコーディネーターの一人です。
自分の担当したWSについて
自分の担当としては、実践校の事例紹介ということで、阿部先生や松崎先生のような綿密な考察や準備はあまりなく、これまでの取り組みや生徒の効果に焦点を当て、「ATLから見る日本の教育」をテーマに以下のようなことについて発表しました。
- 仙台育英学園IB導入の例
- 本校提供のIB科目
- 本校の生徒について
- 社会変化に伴う学習指導要領の変化
- 新学習指導要領のキーワード
- 学習指導要領「生きる力」
- 指導・学習の方法(ATL)の位置づけの位置付け
- 授業への組み込みの重要性
- IBのATL スキル
- IBDP実際の授業
- これまでの日本の教育に足りなかったもの
- 教員はファシリテーター
- 生徒から予想していない発言が出た時
- 自発的に動ける生徒
ATLとは、「指導の方法」と「学習の方法」(Approaches to Teaching and Learning)のことで、「DP:原則から実践へ」によれば、DPの成功を決定づける重要な要素となります。今回の私のパートでは、このATLスキルが実際の授業でどのように使われるか、それが日本のこれまでの教育に足りなかったものを補い、生徒にどのような効果があるかを紹介しました。
皆さんが、発表に熱心に耳を傾け、スライドの写真まで撮ってくださって、非常にうれしく思いました。また、IB教育に関する興味、関心がここまで増えているのだと感じました。
最後に
本校では2回のIBDP生が卒業しております。卒業生が皆、揃って、「大学入学後の授業がとても楽だ」と言います。「楽だ」というと少々誤解を招くかもしれませんが、他の学生が非常に苦労しているレポートやプレゼンテーションを、彼らは高校時代にやってきた生徒中心の授業を(自分で調査し、課題を見つけて、自分なりの主張を見つけ、その反論も考えた上で、議論に展開し、結論を導く)そのまま実践するだけでいいので、特に難しくないということなのです。
私自身、IBについてまだまだ知らなければならないことばかりで、日々もがきながら学んでおります。生徒に気づかされることは毎日ありますし、IB関係のネットワークから教えていただけることも多いです。
先日シンガポールでのIBトレーニングを受けて来ましたが、自分の未熟さに気づかされ、IB教育に焦点を当てた知識だけではなく、学術レベルでもICTレベルでもさらに学ぶ必要があることを感じました。その奮闘こそが、大事な ATLスキルの一つだと思い、learnerとして今日も頑張っていこうと思います。