今からIBを始める君へ:時間が解決してくれる

こんにちは。みなさま、いかがお過ごしでしょうか。私は現在、IBDP2年目で、最終試験まで2ヶ月をきっており非常に焦っております(この原稿がリリースされるときには最終試験の真っ最中です)。

今回は国際バカロレア・ディプロマプログラムの授業の中で、私がハネたなと思った瞬間について書こうと思います。今では議論中心の授業がすっかり体に馴染み、快適にIB生活を送っていますが、最初は右も左もわからず、ちんぷんかんぷんでした。

特に授業を積極的に参加するまでに苦労したのが歴史(SL)です。Chemistryや生物などの理科系のDP科目は実験と講義が主で、高校1年生の延長線上のような雰囲気で学ぶことができましたが、歴史は違いました。今回はそんな私の経験をお話しつつ、IBDPではどのように学習していけばよいのかを語っていきたいと思います。

集団心理で不安感を誤魔化す

はじめての歴史の授業ではオリエンテーションが行われました。私も他のクラスメイトもこれから授業の詳細や最終試験に関することは全く想像できず、「なんだ、みんなわかってないから自分も大丈夫だー」と、集団心理で不安感を誤魔化していました。

しかし、授業が本格化しても私は一向に授業に参加するコツを掴めませんでした。それを決定的に感じたのが、「第一次世界大戦が起こった原因を各国の状況を吟味して議論する」という内容の授業でした。

クラスメイトは「このときのドイツ帝国とセルビアが〜だからー、オーストリアは〜」みたいな感じで議論している最中、私の脳は知らない単語と意味不明な人物名で混乱していました。それと対照的に議論は白熱していき、私の気分を例えるなら、自分が知らない地元の話題で盛り上がっている友人を見ているような感覚でした。

「ふふっ」とたまに苦笑いしながら、惨めさと焦りでクラスメイトが喋っている言葉がただの音にしか聞こえませんでした。そこから私は「どうにかせんとな〜」と思い、とりあえず高校の世界史の教科書をながめていました。今振り返ってみると当時はまだ、私の「歴史を考える」という思考回路が開通していなかったのかも、と思ったりします。

思考回路、開通す

変化は突然起こります。ある日、授業での議論がいきなり「わかる〜」と思える瞬間が訪れました。思考回路が開通したのです。なぜかは本当にわかりません。そこからはトントン拍子で理解できるようになって、それからは授業が楽しく思えるようになりました。議論に必要な基礎的な知識とスキルが蓄積されたからではないかと熊谷先生は分析しています。

この経験を通して、「時間が解決してくれる」とはその通りだなと思いました。「一回絶望して、脱力してみるとなんやかんやでうまく物事は流れるなー」と体感しました。とはいえ何もしなくて良いわけではなく、自分のキャパシティーに合った学習を継続していくことでいつの間にか課題は乗り越えている、という意識が大切です。

私は明確な数字を見ることによって安心できるので、今学んでいる知識を活用できるまでは2週間かかるという、ある種のおまじないをかけて不安を和らげています。小さい頃から母が2週間で人間は変われるというので、今でも私は信じています。(暇があれば試してみてください)

インプット6+アウトプット4

では、もうひとつだけ自分の学習意識が変わったことを手短に紹介します。それは自分に合った勉強方法を見つけたことです。IBDPは、もちろん議論する力やクリティカルシンキングは必要です。しかしそれと同じくらい個人での学習も大切です。個人的にはインプット6のアウトプット4みたいな感覚です。

そして私が強調したいことは、中学、高校1年生での勉強方法はIBDPには適していないということです。個人差はあると思いますが、公式や語句を暗記するだけではどうしても学習に天井ができてしまいます。特に最終試験の勉強の際は、過去問を分析し、戦略を立てて準備を行わなければいけません。そこで必要なのが “自分にとって効果的な勉強方法は何か” を知っておくことです。

この世の中にはさまざまな人がいて、書いて覚える人、聞いて覚える人、見て覚える人、しゃべって覚える人などなど、個人によって学習方法は異なると私は思います。私は生粋のテレビっ子なので、聴覚と視覚を同時に使うと効率的に学べると感じています。例えば、歴史を学ぶ際はYoutubeを見たり、本を音読したりして知識を取り込んでいます。おすすめはNHKの「映像の世紀」です。映像とナレーションが変に脚色されてなくて信憑性があります。方法がわかると学習も安定してきて、自尊心も高まります。

今からIBを始める君へ

余談かもしれませんが、人間は “external person”と “internal person”の2種類に分けることができるそうです。その名の通り、”external person”は物事は他者がコントロールしていると思っている人のことで、反対に “internal person”は自己決定権を大切にします。自分がどちら側に寄っているかを理解することで、問題への取り組み方も自分好みに変えていけるかもしれませんね(気になる方はexternal and internal personで検索してみてください)。

自分に合った学習方法は試行錯誤によってわかることなので、自立した学習者(IBDPの理想の学習者像のやつ)になるには、今すぐにでも準備する価値はあります!自分はこれくらいの椅子の高さだったら集中できる。とか狭いところの方が落ち着く。とかそんな些細なことでもいいと思います。

最後に、今回は私のIBDPの経験を通して得た新たなアイデアや、学習方法について語りました。重要なことは、自分の手に負える範囲で学習を続けることと、自分合った勉強方法を早い段階で知っておくこと、この2点です。

2つの言語で学習している、またはそのような学習を希望している方々は自主的に荒地を進む猛者たちです。なので、これからもたくさんの試練が待っていると予想します。そんな時は自分の不安を誤魔化さず、目の前のことを1つずつこなしていけば良いかなと思います。

ではまた。