お盆のホルモン渋滞の謎

13月と昭和の面影 -

皆さん、お久しぶりです。熊谷優一です。現在、当ブログは毎月5の倍数の日に新作エントリーをリリースすることで定着しつつあります。最近ではCASプロジェクトの一環として現役IBDP生の皆さんにその学びについて書いてもらいました。次回からはIBのプログラムを教えている(た)先生方のエントリーがリリースされますので、そちらも楽しみにしていてください。

さて、今回は久しぶりに当ブログ影の人気シリーズ『13月』の新作です。このシリーズでは現宮城県気仙沼市で生まれ育った私のばあさんと私の間で起こった悲喜こもごもを書いています。

「13月」とは、「おめでたいやつ、まぬけ」といった意味で東北ではよく使われていた言葉です。私のばあさんが最も高頻度で私の失敗を罵るために用いたフレーズのひとつでもあります。

ホルモン大会

私は昭和50年代に子供としての全盛期を送った世代です。当時の気仙沼では、「焼き肉を食べに行こう」って表現はあまり聞いたことがありません。「ホルモン食いに行こう」っていうのはよく聞きました。それくらいホルモン専門店は町中にありました。

私の中では今だに「肉=ホルモン」です。子どもの頃は牛肉なんてほとんど食べる機会がありませんでした。まだ肉を食べることは一般的ではありませんでした。よく、ばあさんが誰かの家に行くときは、事前に精肉屋さんに牛肉を何グラム包んでほしいと前日までに予約して、それを手土産にして訪問するくらい高価で激レアな印象があります。

それに比べて、ホルモンは安価でお腹いっぱいになりますし、人が集まるときはなんでかんで一斗缶に炭火でホルモンという暗黙の了解がありました。なので、お花見といえばホルモンを焼いて満開の桜を燻す(昭和50年代はまだそれが許される時代でした)し、お盆の時期には親戚一同が集まり大ホルモン大会が開催されるのでした。

ホルモンとマイ精肉店

ここで気仙沼におけるホルモンについて、少し整理しておきましょう。気仙沼ではもちろん、焼き肉を食べに行く感覚でホルモン屋にホルモンを食べに行きます。ホルモン屋にはもちろん、牛タンやカルビなども置いているのですが、ホルモンを食べに言っているので、アペタイザー程度に頼むか頼まないか程度です。

ホルモン屋が町の至るところにあるということを書きましたが、その分、人それぞれに好みのホルモン屋を持っています。気仙沼の高校に勤めていた頃は毎月末、洗っていない部活用ジャージである特定のホルモン屋で同僚とホルモン大会をしていました。グループや会社によってもよく行くホルモン屋が特定されています。腹いっぱい飲んで食べて一人3,000円もあればお釣りが来ました。ちょうどミレニアムになったかならないかくらいの頃でした。

さて、各家庭でもホルモンをよく食べると書きましたね。ではそれはどこで入手するのかと言うと、精肉屋さんです。気仙沼のホルモンはにんにくと味噌が基本的な味つけですが、各精肉屋さんによって微妙に味付けが異なります。各家庭の好みに応じて精肉屋さんでホルモンを購入し、自宅の庭などでホルモン大会が行われるのです。

ホルモン渋滞の謎

「ホルモン大会って何だ?」ですよね。みんなが集まって飲み食いすることに大会とか祭りとか勝手につけて言います。大人になると、ただの飲み会ですね。娯楽の少ない田舎でしたから、とにかく結構な頻度で親戚も同業者も、人が集まる。そんな時代でした。

ホルモンについて、おそらく気仙沼で今も変わらないのはお盆の時期の精肉屋さん周辺の車の渋滞です。だって気仙沼にお盆の帰省で帰ってくる人で気仙沼の人口は倍になるのですよ。そんなに人が集まるときに新旧気仙沼市民は例の大会を開く機会を見逃すわけがありません。

みんながホルモンを求めて、精肉屋に殺到するのです。そして渋滞が発生します。俗に言う、「ホルモン渋滞」というヤツです。我が家では気仙沼市内ではなく、お隣の岩手県、陸前高田市にマイ精肉店があり、そのお店はお盆期間中は正面玄関を閉め、盆休みを装って常連さんが十分にホルモンを買えるように工夫していました。買いに来る方もいつもより人が増えますからね。いつもの倍のホルモンを買っていくと仕入れも間に合わないのでしょう。

最後に

確かに、この「13月」シリーズで、いつも大げさに私は書いています。そのことは認めます。しかし、このホルモンの話は信じてください。回りに気仙沼出身の方がいたら、確かめてもらって結構です。そしていつか、気仙沼を訪れるときには、夜は地元の人がオススメするホルモン屋さんで気仙沼のホルモンを堪能してみてください。

そういえば、「肉=ホルモン」でしたが、何の肉のホルモンなのか、恥ずかしながら今まで気にしたことがありませんでした。「気仙沼 ホルモン」で検索したところ、豚のホルモンだそうです。前回、「認識と存在」についてちらっと書きましたが、あんまりにもフツーのことって気にならないものですね。気になるためにはフツーとは異なる何らかの仕掛けが必要なんだと思います。

今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。