街角TOK番外編:心と体は人間の全てだ

みなさん、こんばんは。今夜も「チノメザメ~21世紀を学ぶ君へ~」へようこそ。DJ Kumayuです。

深夜ラジオはその昔受験生の心の寄りどころでありました。今の受験生はどうなんでしょう。ラジオそのものを聞かないのかな。

学生時代はオールナイトニッポンをよく聞いていましたが、今は深夜ラジオと言いながら、タイムフリーで聞けるようになったこともあり、深夜3:00に放送が始まるオールナイトニッポン0を昼間に聞いています。

ネクラの楽園

深夜ラジオは自己肯定感が低い人たちの憩いの場です。大概リア充の人たちは次の日に備えて寝る、というか部活だ仕事だと日々の生活が充実しているから深夜とは無縁だし、ラジオなんて聞いていないで深夜遊んでいます。深夜にやることがない、けどそこまで眠くもないという人たちがリアルタイムで深夜ラジオを聞くのです。

でも、そこは日向を生きていない人たちにとっては唯一自分がこの世にいてもいいんだと肯定できる楽園。昔ははがきが深夜ラジオでのコミュニケーション手段でしたが、今は放送中にメールを送れるので、よりDJとの結びつきが強くなったように思います。

ただ深夜ラジオは、そんな非リア充たちが時にハメを外した下ネタに走ることがあり、そこは急に興醒めするんですよね。あくまでも喋りと深夜のノリでどうでもいい話を面白おかしくしてほしいと同時に、時々垣間見えるDJたちの純粋に心をぐっと掴まれるのです。

深夜ラジオという楽園

絶対に欠かさず聞いているのが、「Creepy Nutsのオールナイト0」です。ラッパーのR指定とDJ松永によるヒップホップユニットは最近何かと話題になっていますよね。このブログでも何度か触れたことがあります。

彼らの放送は毎回神回と言ってもいい。面白くないときもその面白くなさが面白かったり……。非リア充の代表者とも言えるDJ松永の空気が読めない感じとか、突然真剣にヒップホップ愛を語り出してあっつくなったりとか、テンションの上下のフリ幅が自分でコントロールできないところとか、自分自身と対峙して弱気になったりするところとか、とにかく他人事とは思えないんです(笑)。

8月の「ナレッジキャラバン in 大阪 2019 夏」の全体会で何を思ったか二人のことを話してしまいました。その後、Creepy Nutsのラジオを聞かれた方がいたそうで、「DJ松永の話に熊谷先生が見えました」って何通かメールをいただきました(笑)。

心と体は人間の全てだ

R指定はラップのバトルで3年連続日本一になり、いまやラスボスをやっています。R指定が優勝するたびにDJ松永はR指定が引くくらい号泣したそうです。DJ松永もこの間DJの世界大会でついに優勝しました。日本ではずっと2位しか取れず、その葛藤についてもラジオで語られていたことから、視聴者もなんだかんだDJ松永にかなり感情移入をしていました。が、ようやく今年日本でも優勝し、世界大会でも優勝すると手のひらを返したようにリスナーがDJ松永をいじり倒したのが痛快でしたね。

日本の大会で優勝した直後の放送と、世界大会で優勝した直後の放送はラジオ史に残る神回です。DJ松永サイコー!私は誤って通勤電車で聞いてしまいエライ目にあいました……。ああ皆さん、なんとかして聞いてほしい!

あれはニューアルバムの制作が遅れに遅れていた頃のこと。R指定のラップが書き上がらないため歌入れができない。しかし発売日はすでに決まっている。焦っていたんでしょうね。ようやく歌入れが終わって、取材が入ってというタイミングでの放送で、R指定はDJ松永からある指摘を受けます。

言ってることと、やってることがバラバラ。そしてR指定が返した言葉が、「心と身体は人間の全部なのに……」でした。

問いの鐘が鳴り止まぬとき

心と身体は人間の全てだ。

私はそこで立ち止まります。私たちは心と体がバラバラでないときがどれくらいあるだろうか。むしろバラバラの時のほうが多くないだろうか。

国際バカロレアだ、ICT教育だ、探究型学習だ、概念型学習だ、プロジェクトベーストラーニングだ、なんだかんだというものの、教育が目指しているのは心と身体を育てることそのことじゃないのか。自己の心と体とどう向き合い生きていくのか、他者の心と体とどう向き合い生きていくのか。それが教育の目的ではなかったのか。

私は国際バカロレアの提供するプログラムのうち、大学準備過程と言われる高校2年生~3年生を対象にしたディプロマ・プログラムのコーディネーターをしています。各言語に翻訳された世界共通の試験問題を解き、その点数を持ってディプロマが取得できたり、できなかったり、希望する大学にアプライできたり、できなかったりするわけです。コーディネーターとしては生徒に1点でも高い点数をとってほしい。

でもそれは心と身体の健康が担保されてのこと。1点でも高い点数を目指すこととの前にコーディネーターが見なければいけないところがあるんだったと気付かされました。

最後に

街角は様々な問いで溢れています。思い当たることはありませんか?本屋さんに並ぶ書籍、アーケード内で聞こえてくる音楽、やがて暗黙の秩序が生じる無秩序な人の流れ、商店街で交わされる一見無意味な会話。普段はなんとも思わないことに、ふと気がついてしまう時が

今夜はオードリーのオールナイトニッポン放送開始10周年のイベントにCreepy Nutsが書き下ろした「よふかしのうた」でお別れです。メリークリスマス!