先日、佐賀県立美術館で開催されている池田学「The Pen -凝縮の宇宙-」展を見に行ってきました。そのスケール、技法、緻密な描写、すべてが圧倒的でした。物凄い人だったので、もっとゆっくり、じっくり作品を見たくて、結局、彼の作品集を買いました。
今度東京でも彼の作品展が開かれるそうですよ。こちらから巡回スケジュールが確認出来ます。
さて、池田学さんの作品を見た日の夜、私はこのブログにも登場している卒業生たちと作っている「東京ナレッジキャラバン」のLINEグループに、うかつにも彼の作品とそれを見た感想を書きました。そして、心底後悔することになります。
Conversation
この絵は津波によって、東北の美しい自然や文化が壊れていく様を表しているんですか?
これね、「誕生」ってタイトルなんだ。花の中をみてみると、命を送ってもいるんだけど、迎えてもいるんだ。
震災を知らなければ、あさみんと同じ感想はもたないよね。自分たちの中にある記憶が引き出されるっていうか。
オレは被災地出身だけど、タイトルを知らなかったら誤解してたかもしれない。もう一枚「予兆(個人所有のため撮影不可)」という作品があるんだけど、それはまさに震災を予言したような作品で、震災後、展示を断られたんだって。そこから芸術家としての葛藤が始まり、その答えが「誕生」というわけ。
それ面白い。彼の作品には相反するものが調和をなしているように感じるんだ。生と死、静寂と躍動、日常と非日常、海と山とかっていう風に。
陰陽も同じような考え方がありますよね。 「太極図」も相反するものを表しています。バランスは陰と陽があるから保たれているっていう……
おお!今やおまえたちの知識は翼を得たのだな!これは面白い。そんで?
相反でありながら、調和したり、ともに存在したりすることを両義性って言うよね。オレ、この言葉好き。
そう考えると、いい、悪い、白か黒みたいな二元論って雑だな。
人間が二本足でバランスを取って移動するってことも議論できそうですね。二本足で歩行し、思考するのも人間の特性ですから。
宇宙は調和がとれてるよね。東大の先生も言ってたけど、この宇宙はうまく出来すぎてると思う。
これ、実際に会って話したくなりますね。いつもみたいに模造紙とか、付せん使って。
こういう話ホントに好きです。一日やってられますよ!
エントロピーって考え方があって、自然は必ず秩序が取れた状態から無秩序の状態になるっていう。例えば、水は上から下に流れるけど、下から上には流れないとか。
そうすると、宇宙は無秩序に向かっていくはずなんだけど、秩序正しいように見えるんだよね。
インフルエンザにかかってる奴が、さぞ悔しがっているだろうよ。混ざりたくて、頭働かなくて
若い女のかが可愛くて、ばあさんが可愛くないのはエントロピーかな?
体の秩序が年齢を重ねると乱れるのはエントロピーに沿っているように見える。
うーん。川の水は海に流れ、そして蒸発し、雲となり、雨となって大地に戻り、川に流れる。これって全体的には秩序が保たれるように見えるんだけど、どう?
そう!無秩序は循環という機能によって秩序に変換させるんだよ!!
あくまで人間の本能と、それを作った自然の考察です!
エントロピーは過程だと考えられる。自然を細かく見たときの動きを表してると思う。
遅れました!大学のEnglish Campから帰ってきました。
まとめ
これまで何回か国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)候補校になってから、私がTOKのトライアウトとして英語の流暢性と批判的思考力育成のためにつき2回のペースで開いている「English Caravan」という課外授業について書いてきました
English CaravanはIB生ではなく、一般の生徒を対象にしているので、必ずしもTOKの全要素を網羅しているわけではありません。TOK(Theory of Knowledge:知の理論)のアプローチをフレームに、より単純化・一般化させた構成にしています。でも、生徒にとっては身に着けた英語力や思考力を実践する場になっています。
「外国語を教えるエキスパートとして必要な力を3つあげるとすると何ですか?」
「メディア媒体は報道の公平性を主張しますが、報道の公平性が担保されない場合はどんな時ですか?」
すれ違いざまの廊下で、修学旅行でオーストラリアに行く飛行機の中で、全校集会の隅っこで、彼らは議論をふっかけてくるようになりました。嬉しいことですが、こちらもおちおちしていられません。
生徒たちは、ああでもない、こうでもないと話し合うことを楽しんでいます。私に求められているのは道化も同然。場を提供し、話題が広がるように、視野が広がるように、ちゃちゃを入れることぐらいしかありません。その分、生徒は主体的に学習に参加しているという満足感があるようです。