ナレッジ・キャラバン at 筑坂(2018.06)

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みなさん、こんにちは。熊谷優一です。

この3月まで、筑波大学附属坂戸高等学校で国際バカロレア・ディプロマ・プログラム・コーディネーターをしていました。この3月を以って前任校である筑波大学附属坂戸高等学校を退職しましたが、今後とも筑坂を定期的に訪問し、生徒のみなさんやDPを教える先生たちをサポートすることになっています。

私は現在、大阪で国際バカロレア(IB)の教育プログラムのうち、高校生を対象としたディプロマ・プログラム(DP)を実施する予定の大阪市立の学校を大阪YMCAの職員として、大阪市教育委員会のみなさんと一緒に作っています。

リモート・キャラバン

月一で筑坂に訪問する予定でいたのですが、私の予定と筑坂の行事予定がなかなか合わず、5月は訪問することができませんでした。というわけで体は筑坂にいなくても、何とかしてIB一期生と、センセイと生徒として授業を行えないかと今、考えています。

昨日はスカイプで何人かの生徒と英語で対話しました。みんな最初は表情もこわばっていたのですが、お互いに知った顔なので、次第に緊張も溶け、にこやかに英語で会話することができました。
今後この形態でも授業ができないか、工夫していきたいと思っています。

ただ、5月は時間的にも筑坂の生徒と私は同時に合わなかったので、私が作った小テストを筑坂の先生の授業の冒頭部分で行ってもらいました。その答案をこちらにPDFファイルで送ってもらい、私がざっと見直し、コメントをして再度PDFで返しました。

英文をどのように理解する癖があるのか、表現する際にどのような方法をとるのかを見るために行ったテストでしたが、生徒個々人の個性がはっきり見える内容でした。それぞれの課題が見えたので、それをコメントしましたが、自分の学ぶ癖を知り、対策を練ることでより高次元の学力に到達するよう工夫してくれるのではないかと期待しています。

保護者向けキャラバン

熊谷が古巣、筑波大学附属坂戸高等学校にてIBコース一期生に授業を行いました。
熊谷が古巣、筑波大学附属坂戸高等学校にてIBコース一期生に授業を行いました。

4月に生徒向けに授業をした時は、生徒たちがその時に不安に思っていることをピックアップし、それを話し合いながら基準を設定し、その基準でみんなの不安を分類しました。不安な気持ちは保護者も同様と考え、今回は筑坂IB一期生の保護者のみなさんとDPの2年間とその前に準備しておくこと、そしてその後の進路のことについてお話ししました。

DP生の大学進学ついて、IB入試を行っている国内大学の門戸やその選抜方法についての情報もまだ十分に学習者や保護者にいきわたっているとは言えません。また、海外の大学進学については、国ごとに条件や準備するものが大きく異なるので、個別の対応になる可能性があります。

この辺はまもなく日本における国際バカロレア教育を推進するためのコンソシーアムが設立されることになっているので、その発信に期待を寄せるとともに、国内大学の入試改革についてもだんだんと情報が公開されているので、注意深く見ておくといいと思います。タイのインター校でIB日本語を教える山田浩美先生へのインタビューに目を通していただくと、海外大学留学とIBのあらましを理解していただけると思います。

IBの最終試験についてバンコクのIB校で指導に当たる、当ブログでもお馴染みの山田先生にお話を伺いました。

IB生の保護者として

今回、筑坂IB一期生の保護者のみなさんにお話ししたのは、国際バカロレアのプログラムを学ぶ上で、親として子供たちにどんな支援をすることができるかについてです。主に子供たちの情緒の揺らぎについてお話ししました。

日本で初めて日本語DPを取得した鈴木純麗さんに話を聞きました。

仙台育英高等学校IB一期生の鈴木純麗さんへのインタビューで、自分は一生懸命やっていたが、いわゆる受験勉強で頑張るっていう勉強スタイルではないので、家族に大変さを話しても共感はしてもらえなかったと話していました。ディプロマプログラムはその課題の量が半端ありません。その課題は自分の考えを構築し、それをエッセーやプレゼンでアウトプットします。

だから、頭の中で考えを構築し、整理する時間が必要です。それをただボーっとしているって親に思われて、小言なんかを言われた日には、子供たちは「キーッ!」ってなると思うんですね。それを保護者のみなさんには理解したうえで、声掛けしてほしいです。「頭で整理できた時には話しに来いよ」とかって。

とはいえ、まだ高校生ですから、時々へこたれると思うんです。どんなにモチベーションを高くもってIBを選択したと言っても、日本の中学校までの学び方とIBの学び方は大きく異なるでしょうし、どうしていいかわからない。またまた、「知の理論(Theory of Knowledge: TOK)」で批判的に物事を考えるっていたって、準備ができていないのに倫理観を問うような課題に取り組むと、自分が出した答えにショックを受けることも十分あり得ます。

学校現場では、なまじモチベーションが高い分、生徒たちは素直に心理的にしんどいと言えないかもしれません。そんなとき、家庭で様子を見て、必要な時には先生にそれを伝えてほしいと思います。先生たちもディプロマを取得させることで一生懸命ですし、生徒たちはそれに必死についていこうとするでしょう。しかし、子供たちはまだ発達途上であることを忘れてはいけません。大人の支援は絶対に必要です。

最後に

純麗さんは、「自分が冷たい人間で、なんて性格が悪いんだろうって思うこともあって嫌になりました」と語っています。

教えている側は見落とし勝ちですが、自分が考えていることを他の人に知られるのは怖いっていう学習者の気持ちがあります。何をどうやって教えるかに注目が行きがちですが、心も体も安全、安心な学習環境を作っていくこともとても大切だなと思っています。

さて、次回は先日、学芸大学附属国際中等学校で開催された公開研究でIB一期生の座談会の模様をレポートしたいと思います。日本ではDP学習者はまだ絶対的に多くないので、その視点を知る機会はなかなかありません。私も新たな発見がありました。どうぞお楽しみに。

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