『Most Likely to Succeed』上映会 in 仙台

この度、宮城県の先生方と一緒に『Most Likely to Succeed』という教育に関する映画の上映会を開催することになりました。上映後は、「これからの学校教育」についてディスカッションする時間を設けています。上映日時、場所、内容は以下の通りです。当日は西日本豪雨災害チャリティ上映会にしたいと思います。募金(任意)にご協力いただければ幸いです。募金は日本赤十字に送ります。

熊谷優一 × 英語教師学びの会 presents 『Most Likely to Succeed』 東北初上映会
日時:9月29日(土) 18:00 – 21:30
場所:せんだいメディアテーク 7階会議室a,b
入場:無料

Most Likely to Succeed

6月に麹町中学校で行われた『Most Likely to Succeed』の上映会に招待いただいたのが事の始まりでした。何となく閉塞感ばかりが充満する日本の学校教育がどこにかじ取りをすればいいのかという示唆に満ちた作品でした。教育に関する課題はどの国も同じような事情を抱えています。

急激にグローバル化とIT化が進む中、教育は変わらず、従来通りでいいのでしょうか。「ガラパゴス化」する日本の教育を憂う声はもう何年も前からありました。しかし、教育改革はその都度、饅頭の包装紙を変えただけで、中身は同じ作り方をした饅頭でしたよね。

ただ、日本がこれまで実践してきた教育がよくないのかというと、一概にそうも言えないと思うんですよね。PISAのデータを見ると、人口一億を超える国の中で日本は最も上位クラスにいます。そこは評価されていいと思うんです。そういった教育があったから実現できたことがたくさんありますもんね。

しかし、問題は選択肢が他に用意されているかどうかということ。21世紀を生きる子供たちは、明らかに私たちが育った時代とは異なった時代を生きていくことになります。必要な知識やスキルは同じではありません。学び方の選択肢は学ぶ内容の選択肢に比べて、まだ強調されていない面がありますが、日本においても今後は多様な学ぶ方法が選択できる時代が訪れることでしょう。

東日本大震災被災地で上映会を

教育NPO「FutureEdu Tokyo」の共同代表である竹村さんのこちらのインタビュー記事は、保護者と教員という立場は異なりますが、学校教育に携わるstakeholderとして共感するところが多くありました。そして今回、竹村さんにこの映画を私の故郷、宮城県気仙沼市をはじめとして東日本大震災の被災都市で上映したいとぶつけたところ、プロデューサーのテッド・ディンタースミスさんに掛け合っていただき、今回の上映が実現することになりました。

こちらからテッドさんが6月に来日した際のインタビュー記事を読むことができます。この記事の中に上映会の写真が載っているのですが、みなさんよく知った顔が随所に見られて面白いと思います。あの先生も、その先生も、色んな先生方がいらしていました。私も肉眼では確認できないほどぼやっと後ろの方にちらっと映っています。そうそう、当ブログの推薦人になっていただいているキャロル先生も映っています。

この映画を見ることによって、「どうように私は学びたいのか」「どのように私は教えていくのか」という足場を自らに問うことでしょう。そして、「21世紀を生きる子供たちにはどのような教育がふさわしいのか」、今まさに考える時であると気づくに違いありません。

英語教師学びの会

6月の上映会で、『英語教師学びの会』を主宰する宮城県仙台南高等学校の大野智彰先生と知り合いました。そして、今回の仙台での上映会が実現しました。大野先生は大阪出身で宮城で先生を、そして私は宮城県出身で今、大阪で学校を作っている。何か不思議な縁だなと思いつつ、この度のコラボレーションが実現しました。

当日は英語の先生だけでなく、教育に携わる方で参加を希望されている方はどうぞご連絡ください。あまりたくさん入れる部屋ではないのですが、まずはそこで顔を合わせて、このムーブメントを行政が無視できないレベルまで盛り上げていけたらと思っています。

ゆくゆくは、もう少し大きなホールを借りて、上映会とディスカッションの機会を設けたいと思うのですが、何分にもすべて手弁当で行っていますので、限界はあります。もし、賛同していただける方がいらっしゃいましたら、協賛いただけたらと思っています。

9月29日の他にも、気仙沼市などでも上演を計画しています。その都度ご連絡しますので、ぜひ足を運んで、これからの教育について一緒に考えましょう。

最後に

今日は大野先生からメッセージを紹介して終わりにしたいと思います。宮城のみなさん、お会いできるのを楽しみにしています。

「生徒に元気がない」最近、学校で一番感じることです。現任校で担任として卒業生を二度送り出し、今年度は一学年で七年目の担任をしています。

この夏、早くもクラスの二人の生徒が学校に馴染めず単位制高校に転学していきました。さらに、別の男子生徒は教室に居場所がなくトイレで昼食を食べていたことが分かり、ショックを受けました。

では、このような生徒は僕のクラスだけかというとそうでなく、全国で約5万人の高校生が不登校だそうです。また、一人で食事するのを周囲に見られるのが嫌でトイレで食べる人を「ランチメイト症候群」といい、全国に多くいるようです。

どうやら学校は多様性に対して寛容でないのでないか?「普通」をつくってその枠から外れた者を排除しがちでないでしょうか?

映画に登場するHigh Tech Highのように、子どもたちが自分で学びたい内容を教科横断的に選択できる学校があれば、もっと学校はより多くの子どもたちにとって魅力的な場になるように思います。

「学びたい内容を学ぶには、単位制学校がある」という人もいますが、「単位制」のイメージはどうしても「普通学校に行けない人が行く所」とみなされがちです。ディンタースミス氏の短編映画『The Future of Work』には人間は登場せず、機械がこれまで人間がしてきた仕事を担っています。

これから私たち教員は学校で、どういう生徒を育てていけばいいのでしょう?映画を観て一緒に考えてみませんか?

宮城県仙台南高校
大野 智彰