今からIBを始める君へ:DPを終えて、今 [後編]

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みなさん、こんにちは。熊谷優一です。

4月から、大阪市立水都国際中学校・高等学校という公設民営の学校の開設準備を大阪YMCAの職員として当たっています。国際バカロレア(IB)の教育プログラムのうち高校生を対象としたディプロマ・プログラム(DP)を実施する予定です。

さて、今回は前回に引き続き、6月23日に開催された東京学芸大学附属国際中等学校の公開研究会の模様をお届けします。学芸大学附属国際中等学校は中学校1年生から高校1年生までの全員を対象にMYPのプログラムを実施しています。その後DPを受講するかどうかは生徒の選択によります。今回、DP第一期生の8名のうち、5名が情報交換会にてその経験を共有してくれました。

DPを選択する

国際バカロレアのプログラムを実施する学校が全国に増えてきたとはいえ、保護者のみなさんや小中学生のみなさんには、一体どういうプログラムなのか、なかなか実感を伴って理解するまでには至っていないように思います。なので、IB認定校が実施する学校説明会などで、授業を受けてみることを強く勧めます。

DPですと、最終的にディプロマを取得することができるかどうかは、IBに提出する課題などと全世界同じ日程で行われる試験の結果によります。必ず取れるということではありません。それでもDPを選択することにどんな意味を彼らは見ていたのでしょうか。

情報交換会に参加したのは5名の卒業生でした。うち4名は帰国生で、小学校は滞在していた国の現地校やインターナショナルスクールに通っていたそうです。1名が(教育的に)純日本人ですと話していました。日本語と英語によるDPなので、ほとんどの科目は日本語で授業を受けます。

彼らの多くはMYPを受けているうちに、DPの興味を持ちました。高校から入学した生徒はDPをやるために入学したと話しています。

DPで学ぶ

DPを選択した理由は、その学び方の魅力の一言に尽きます。出題者、もしくは指導者によって設定された答えに到達するために学ぶのではなく、答えがひとつとは限らない問いに対し、どのように自分なりに答えを導くのか、そのプロセスを学ぶことに魅力を感じたそうです。

中には、毎日ほとんどつらかったけれども、授業に参加するために学校に行くのが楽しかったと言う卒業生の言葉が印象的でした。彼女はDPの学習を通して、「学問の中核に振れている」と感じながら授業を受けていたと話しています。授業では議論やプレゼンテーションの機会が多くありますが、決してそのこと自体が目的なのではなく、それらを通してより洗練された考えを表すための過程と捉えていたと言います。

資料を読むことも自分独自の考えを構築するためで、一旦とっかかりが見つかると、自分の考えを確かにしていくためにさらに文献を読み、根拠を立てて、自分なりの答えを導き出すその過程に、彼らの話を聞いていると、心震えたんだろうなぁと私は感じました。

私も本を読むとき、人の話を聞くとき、「Wow!」って思うときがあります。どういう時かというと、自分が無意識に思っていたことだったり、言語化できないことを誰かが書いたり、語ったりしている時、または誰かと対話しながら自分の考えがどんどん研ぎ澄まされていく時です。対話を通した主体的な学びって、私にとっては必ずしも人と直接話すことではありませんが、一番確かな学びになっています。

学びの先に

そういった学び方を好む人たちにとって、ディプロマを取得できるかどうかの前に、このプログラムは魅力があるんだと思います。私ももし何十年か遡って、IBをやっている学校があったら、絶対そこで勉強したいと思うタイプの学習者でした。

しかしながら、DPを学んだ先に、どのようなキャリアを築くことができるのか、まだまだデータが少ないことで不安に思う保護者のみなさんがいることを知っています。そして、学校も国内はもとより海外への大学進学についても情報を必死に集めています。折しも、日本では現在、大きな大学入試改革が進行しています。ここ一年、二年で見通しが立つと期待しています。

さて、5人の卒業生はというと、5人中4人が9月から海外の大学に進学します。アメリカに2人、オーストラリアに2人です。そして国内の大学に1人すでに在学しています。国内の大学に進学する場合は、高校卒業後すぐに大学に入学しますが、欧米の学校だとギャップが生じます。

IB生の海外大学進学については、国ごとに対応が異なるので注意が必要です。以前、バンコクのインター校の山田浩美先生が以下のエントリーでおっしゃっていましたが、アメリカはSATのスコアも必要です。

IBの最終試験についてバンコクのIB校で指導に当たる、当ブログでもお馴染みの山田先生にお話を伺いました。

オーストラリアはIBのスコアとIELTSのスコアで応募したと言っていました。感覚としては、「これでいいのか?」と思うほど簡単だったそうです。今、メルボルンYMCAの方が私のオフィスに暫くいらしているのですが、彼女に聞いたところ、オーストラリアの大学は積極的に海外からの留学生を誘致しており、その流れはますます加速していくだろうとのことです。

海外の大学進学にもう一つクリアしなければいけない課題があります。学費です。それを奨学金でどう賄っていくか。それが問題です。5人の生徒たちを含め、その辺は随分うまくいったようでしたが、DP校も保護者もいかに奨学金を獲得させるかも考えておかなければなりません。

最後に

どんなことにも限界があります。IBにもいいところと、そうでないところがあります。IBはどちらかというとリベラルアーツに強いプログラムで、まんべんなく学習し、横断的に知識を培い、応用できる力を伸ばします。いわゆるリサーチ機関としての性格が強い大学・学部だと、まんべんなく学んだことよりも、どれだけ特化して学んだかが重視されるところもあります。

さて、最後に、今日本の大学に進学した卒業生のIBを経験した学生と経験してない学生ではどんな違いがあるかという質問の答えを紹介したいと思います。

『IBを経験していない学生は、すぐ答えを求めがちで、その答えを出すために他の人の参考意見を聞きがちである。IB生は自分はどう考えるかというプロセスを重視し、そのプロセスに浸っていると安心する。独自の考えをするという意味ではとがっているが、やや理屈っぽく、ゴールを設定しきれないという面がある。しかし、IBを経験していない学生は、選択肢の中から効率よく自分に最も近いものを選ぶことが得意だ。』

みなさんは、この彼の分析をどう読み取りますか?

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