これまでも、これからも

スポンサーリンク




皆さん、はじめまして。阿部富子と申します。宮城県南三陸町にある県立高校で養護教諭をしています。

東日本大震災から、まもなく6年が経ちます。

私はあの日、身に着けていた衣服以外カタチあるものはすべて一瞬にして流失しました。そして、生徒たちも家や家族を失って、本当に胸が苦しくなるような状況でした。
安全が確保され、学校が再開されてから、毎日元気に登校する子供たちに「私は養護教諭として何ができるのか」と、自問自答しながらの毎日でした。

被災地の養護教諭

被災地の養護教諭って、きっと特別なことをしているんだろうと思われるかもしれませんね。
確かに状況は特別でしたが、新しく何かするというというよりは、これまでの一人一人への関わりや実践をより丁寧に、より強く、より深めていくことが求められていたと思います。

驚かれるかもしれませんが、震災後、身体症状を呈して保健室利用が増えたわけではありませんでした。むしろ震災前から主訴がなくても、保健室によく顔を出す生徒の来室頻度が高まりました。その、ちょこっと来ては、安心感を嗅ぎ取ったり、パワーを充電していくような生徒の数的増加は見逃さず、可視化されたものは教職員に発信しました。そして、全生徒にはいつも気にかけているよと、折を見てメッセージを届けました。

震災前からもそうであったように、自分で何とかできる環境やコミュニケーションが成立している生徒は、震災後も、自分でどうにかそれと向き合い、問題を解決することができました。
レジリエンス(resilience:回復力)という言葉がありますが、まさに子供たちの回復力の強さを感じます。その姿は、間違いなく大人たちの原動力であったことも忘れるわけにはいきません。

保健室をよく利用する生徒は、言葉によるものやそうでないもの、SOSの出し方が小さいものや弱いものといったように、こちらが教育的想像力をフル動員しなければ見逃してしまいそうなサインを微細に発してきます。普段から安心して対話できる関係性が築けていなければ、その子供たちの声にならない声をキャッチできなかったかもしれません。普段できないことは非常時でもできないものです。

故郷から遠く離れて

このブログを運営している熊谷優一(以下クマユウ)とは、平成13年から宮城県本吉響高校という総合学科の学校で6年間一緒しました。何に対してもひときわ情熱的で、周りの教員とはかなりの温度差があったように思います。

3年前に故郷の宮城を離れ、筑波大附属坂戸高校に赴任するにあたり、電話でこんなことを言われたのを鮮明に覚えています。
「個々人の復興なしに、被災地の復興はない」
故郷を離れることに対し、ずいぶん色んな人から色んなことを言われたようです。「罪悪感」という言葉をふと漏らしてもいました。しかし、「やりたいことがある」とも。
私は迷わず、その挑戦を応援したいと伝えました。その勇気ある行動が、被災地にいる私たちを元気づけてくれると確信していたからです。

再会:非常時に優先されるもの

昨年の2月、毎年開かれている筑波大学附属坂戸高校の研究大会でクマユウの授業を参観しました。朝3時に自宅を出て、車で坂戸まで見に行ったんですよ!

授業は「English Caravan」という名の課外授業で、「もし今、大災害が発生したと仮定し、非常用持ち出し袋に何を入れるか」という問いに対して、ディスカッションを重ね、最終的に生徒がそれぞれの「非常時に優先されるものは何か」を考えるといったものでした。

セッションは月2回ペースで放課後に行われます。参加も自由。出欠も取らない。評価もしない。課題もない。参加する生徒がこれまで学んできた知識・技能を英語で実践するだけの場。決まり事もなく、自由度の高い空間に生徒たちは何を求めて、何を学びに足を運ぶのだろう。この授業にどんな意味があるのか。私は正直、疑問に思いました。

養護教諭として、比較的しなやかにやってきたツモリですが、それ以外においては50年以上、型にしっかりハマって生きてきた私のありきたりの疑問は、瞬時に打ち消された時間の流れがそこに在りました。

あとから聞いたら、考査等では、なかなか点数をとれなかったり、参観授業本番前まで、臆していた生徒が原稿も見ずにMCをしたり、とても楽しそうにイキイキと英語でギャグを入れながら堂々と発表できたり。参加生徒一人一人が自信に満ち、豊かな表情で英語でディスカッションすることを楽しんでいました。

時間制限のあるあの空間に、クマユウならではの様々な仕掛けや、ギュッと詰まった想いを私はくみ取ることができました。あの時間が創られるまでの、生徒一人一人とのやりとりにおける時間・労力・葛藤あっての関係性の構築。
英語を通して、研ぎ澄まされた直感力とずば抜けたコーディネート力で、生徒自身も気づいていない魅力や能力をしっかりと引き出し、フィードバックを与え、愛情と敬意をもって教え育てるクマユウを見て、彼のやりたかったことが見えた授業でした。

国際バカロレア(IB)の学習者像は、養護教諭としての生徒に対する在り方をも示されています。
私が生徒の抱える問題に向かい合うその時々に、生徒に促す項目が描かれていると思いました。何も地方にいて、IBのことを知らなくても、私たちの日々の教育実践がグローバル社会において引けを取らない素晴らしいものもあるのだと勇気づけられました。

そうか、クマユウ! あなたは、こんな風にみんなに自信を持たせたかったのね!!

「おすばでパック」もよろしくお願いします

最後に1つ宣伝させて下さい。
志津川高校では「電子商取引」という授業の一環で、志津川の魅力を多くの人に知ってもらおうと、今年も特産品を詰め合わせた「おすばでパック」を販売します。
もしよろしければお買い求めいただければと思います。

では、またいつの日かこのブログでお会いしましょう。最後まで読んでいいただきありがとうございました。

スポンサーリンク




フォローする