初めて海外へ行ったときの感覚と少し似ている

今からIBを始める君へ -

こんにちは。水都国際高校の梶木尚美です。DP History教員としては(若手ではない)新人、高校歴史教員としてはこの道30年あまりのベテラン(自分でいうのはかなり恥ずかしい)です。

日本の教育とIB教育、二つの教育プログラムを体験しながら、あれこれ考えています。読者のみなさまやブログの仲間たちと一緒に、ここでもあれこれ議論できたらいいなあと思ってこのプロジェクトに参加しています。 

大人びた学習者たちが…

DP Historyの教員になったのは昨年の4月からです。今年は高校2年生と3年生のIB生たちと日々歴史を学んでいます。教室には、時々大人びたメンバーが…レギュラーではないのによく発言する生徒が現れ…もうお分かりですね。

そう、クマユウです。いつの間にか授業に参加しているクマユウに気づいた生徒たちはシャキッと背筋を伸ばしながら、かくいう私は歓迎モードでニンマリしながら授業が進む…そんな教室に、近頃は他にもゲストが増えて私はますます授業をするのが楽しくなっています。

クマユウとは国立大学附属高校に務めていた頃からのIB研究仲間です。約30年間(なんと、平成が始まった年から令和が始まった年まで)勤務していた高校でIB教育についての研究に取り組みはじめて以来、ワークショップや研究会、学校訪問などに出かけて学び続けています。その間に私が得たのはIBに関する知識、考える機会、そしてIBつながりの仲間たち。クマユウもそういう中で出会った1人です。

 IBとの出会い

IBと出会ったのは約7年前。当時司書教諭もやっていた私の研究テーマは探究学習でした。学校図書館は探究学習をサポートする役割を担うという考え方は、図書館関係者の間では一般的なものであり、探究を重視するIBもそういう立場をとっています。図書館を重視するっていうところも私がIBに魅力を感じた点ですね。

 IB校ではない前任校では、自分たちの授業を変えていくヒントがIB教育にあると考えてIBの研究をしていました。IBの外からIBを覗いて、吸収できることを見つけようという感じです。

IBはとても刺激的でしたから、私も歴史の授業や総合的な学習の時間で、色々なチャレンジをすることができました。でも少し物足りなくなってきたのです。ここまできたら、IBの中にどっぷりつかってIBの授業をやってみなくちゃ!です。

 歴史学の研究者のように

 IB校の一員としてDP歴史の授業を担当することになり、私はIBの中でIBを体験しています。これは、初めて海外へ行ったときの感覚と少し似ています。異文化の中で戸惑ったことや実際に体験して分かったことがたくさんあったのはもちろんですが、それとともに、日本を少し客観的に見るようになりました。

同じようなイメージで、日本の教育からIB教育へと旅立った私を思い浮かべてください。IB教員としての体験によってIBへの理解が深まっていると同時に、日本の教育プログラムをIB側から見るようになりました。そうすると不思議なことに、日本の教育の素敵なところが発見できてしまうのです。観点が変わると見えるものも違ってくるって本当なんですね、と改めて思います。

 DP歴史では、歴史学の研究者のように歴史学に取り組む姿勢を大切にします。文学部で歴史学を専攻していた梶木としては、この教育方針はとてもしっくりきます。私が大学で学んだ歴史学の、高校生版のようなプログラムだといえるかもしれません。

 苦労しているのは評価方法です。日本の歴史教育では知識の正確さが評価されるので、たいていの設問には正解があります。でもIBでは資質・能力をどのくらい身につけたかということを評価するので、設問も評価方法も随分異なるのです。それも、IBが定めた評価方法に基づかなくてはなりません。世界共通の評価方法で大学入学資格を出すっていうしくみの中で、責任ある役割を担うのはなかなか大変です。 

最後に

日本の教育と国際バカロレア、どちらが優れているということではないと思います。それぞれが蓄積した経験をもとに高めてきた完成度が、双方それぞれにあります。自分が受けてきた教育は唯一無二ではありませんし、教育プログラムは一種類である必要はありません。

いずれ日本の教育も、国際バカロレアなどの刺激を受けて、変わっていくと思います。ある程度時間がかかるかもしれませんが。自分で書きながら思ったのですが、なんだか鎖国から開国への流れを説明しているみたいですね。 

1人1人が違う人間であるのだから、それぞれにあった教育があればいいと思うのです。選ぶことができたら素敵です。ただし選ぶっていうのも、なかなか難しいことではありますよね。だって、選ぶ力がないと選べませんから。じゃあ、選ぶ力を身に付けるには?ああ、きりがありませんからこの辺にしておきましょう。

歴史は暗記科目だ!と思っていますか?そう言われ続けているのが実態です。実は日本の高校で歴史を教えている先生たちの多くは、歴史は暗記ではなく考える科目なのだ!って思っているんですよ。暗記科目だと言われることが悔しいと。なのに、なぜ考えることが歴史の授業の中心にならないのか?これも話し始めると長くなるので次の機会にまわさせてください。 

IB歴史では考えることを重視します。考えるためには知識が必要なのでたくさん調べなくてはなりません。大変だけど楽しい!そういう知的な喜びをたくさん体験しながら、世界のどこへ行っても通用する学習方法を身につけていくこと、それを実現する授業をを目指して、私も学び続けています。