大家好。皆さん、こんにちは。日本の南、台湾からご挨拶させていただきます、阿部と申します。大家好と言っても、もちろん愛の告白を大家さんに向けてしているわけではありません。お気づきのようにこれは中国語で、ご機嫌いかがですか的な意味です。
近くて、親しみやすい国と言われる台湾とは言っても、日本とは異なるところもあります。そして以外にも、この漢字のように似ているが故に注意して見ないと気が付かないような違う点も存在します。そこがまた楽しくてついつい二十年も居付いてしまいました。
そんな楽しくて居心地のいい台湾を気に入ったのが、このブログの主筆である熊谷先生です。この発表の場を借りて台湾の教育や、外から見た日本の教育についてみなさんとシェアさせていただきたいと思うと同時に、ちょこちょこと台湾のおもしろ情報をシェアし、皆さんが台湾に興味をもっていただくきっかけになればと、このプロジェクトに参加させていただきました。
自分がいた世界
台湾での最初の十年は、大学の非常教師やランゲージセンターの教師として日本語教育に従事してきました。その後、縁がありまして中高一貫の現在働いている明道中学で働きはじめました。
私が入った部門は海外、主に欧米に進学を希望する生徒が通う部門で、そこでは私が今まで触れてこなかった知識と触れることになりました。特に21世紀型スキルと、それをいかに授業に取り入れるかということについての学びは、今まで教科書を学び、闇雲にスキルの上達を目標としていた私にとって、目から鱗が落ちるほどの衝撃でした。そして私は感じたんです。自分の世界がいかに小さかったのかということを。
その時です、学校がIBを導入するかもしれないと言う話を耳にしたのは。アメリカの21世紀型スキルという非常に興味深く魅力的なものに出会った私は、ヨーロッパで生まれたIBというものがどのような教育を目標としているのかと言うのにすごく興味を持ったんです。その気持ちを上司に伝えたところ、学校で教師として一番最初にIBワークショップに参加させてもらうことができました。
そして、そのはじめてのIBワークショップで出会ったのが熊谷先生です。IBワークショップででも、すでに驚きや感動、気持ちの昂りや恐ろしさでパチクリしていた私の目を、さらに三倍速のスピードでパチクリさせたのが、一緒に講習を受けていた熊谷さんでした。その時のことは以前ブログにも書かせていただきましたが、それは私にとって、自分を方向転換させるだけでなく、加速させる出会いでした。
IBのクラスではなくても
そのDPワークショップに参加後、これからの二年間でしっかりDPの準備をしようと思っていた私に突然降って沸いたのが職場のMYP導入の決定でした。その決定で私が担当していた第二外国語の日本語クラスはMYPの科目になり、そこでは問いの作り方や探求型のクラスの運営など様々なことを学ばせてもらいました。
その後DP Japanese Bが開講し、このコロナで最終試験がキャンセルになるなど様々な変更があった中でしたが、無事生徒を卒業させることができました。残念ながら学校のカリキュラムセッティングの変更で、日本語のクラスは授業数が減り、中学生の日本語クラスはMYPではなく一般科目に変更になりました。
また、私の学校のDP一年目はDPのJapanese Bが開講しましたが、その後は希望者が開講できる人数に達せず開講できていません。ただ、名目上はIBのクラスではなくても、IBのメソッドや考え方は授業に取り入れていますし、その時学んだものは今のクラスにも充分生かされています。
学びの場を生む
私のIBのクラスを持って一番苦労した事はやはり如何に概念ベースの探求式の学びの場を教室の中に生むかということだったと思います。今まで何かができると言うことに重きを置いた授業で、それをいかに効率的にするかと言う授業を目指していた私にとって、トピックやコンテキストを考え、問いを立てると言う授業というのは今でも難しいです。
特に考えると言うことにおいて、自分が今まで如何に考えてこなかった人間なのかということを思い知らされました。ただ、そんな中私の中で変わった一つのことがあります。それまではクラスの生徒たちと一緒にクラスを作っていくと言っていたのですが、学ぶのは学生と言う立場だったと思うんです。
それがその後はクラスの中で私も一緒に学んでいくと言うふうに変わってきました。特にATLスキルやラーナープロファイルは、自分を振り返ってみて自分がいかに今まで様々なことを置いてきぼりにしてきた人間なのかって言うのを感じました。
最後に
正直にいうと最初はIBのことを胡散臭いとかIBスクールの教師なんて自分には無理だって思っていたのも確かです。でも、やってみるもんですね。今では自分が随分変わったことを感じています。
私はそれまで目の前にあるドアにしか注意を向けていませんでした。そしてIBはたくさんのドアが周りにあるということを教えてくれました。それは将来どんな大学に入るとか仕事につくとか具体的なことだけではなくて、どんな人になるのかということも含めたものです。
私はいまだに未熟者ですが、いろんなドアをノックできることに幸せを感じています。それはIBの教育に出会えたからなんだろうと思います。
追記:阿部先生は「台湾からこにゃにゃちは」というYおうつべYoutubeチャンネルでも様々な情報を発信されています。もしよかったら御覧ください。