今からIBを始める君へ: 学びを創造するのは僕自身だ! 後篇

みなさん、こんにちは。水都国際高校2年でIBDP1年目の山下晄生です。

IBには全く興味がなかったという山下晄生くんが大阪府立水都国際高校でIBコースに進むまでを全3回に渡ってお送りします。

第一回目のコラムでも書きましたが、僕はバドミントンが好きでよくテレビやYouTubeでよくトップ選手の試合を見ています。今年の8月にバドミントンの世界選手権が初めて東京で開催され、僕は決勝戦のみ会場で観ることができました。

トップ選手の試合を見ていると、どの選手も試合中の集中力が凄まじく、一つ一つのラリーにとても見応えがありました。久しぶりに生でスポーツを観戦してスポーツの面白さを再確認でき、とても満足しました。

また、自分の趣味に没頭する時間は、忙しい日々にこそ欠かせないものだなとも感じました。IB生になると授業や課題でへとへとになる毎日を過ごすことになりますが、授業は受けていて面白いと感じるものばかりです。次は、そんな中でも僕が特に面白いと感じている科目の、プレIBセッションについてお話します。

<違和感からの解放>

Japanese Aの授業です。このセッションでは芥川龍之介の「河童」を読み、作品の内容に関する問いを自分で設定してそれについて考察したのですが、今まで自分が受けてきた国語の授業スタイルと全く違うものでした。これまでの授業は物語を読むにしても「この時の登場人物の気持ちを答えなさい」や「この場面で使われている技法を答えなさい」などの、「一つの答えしかないような問い」に答えるための方法や答えとなる部分を先生から教えられるだけのものが多かったです。

しかし、この授業では、作品を精読し、作品の内容に関する問いを二つ立てて考察し、それを他人と共有して議論しながら考えを構築していく授業スタイルでした。私が一気に引き込まれたのは言うまでもありません。

僕は中学生のころから自分の受けている国語や歴史の授業に対してぼんやりとした違和感を感じていたのですが、その頃はまだ自分がどこに不満を感じていたのか、自分は一体どういう授業を望んでいるのかということはわかりませんでした。しかし、この授業を通して「自分は答えの用意された問題を解く授業ではなく、答えが一つではない問いに対して議論をして答えを見つけ出す授業をずっと求めており、IBはそんな自分にピッタリの学習プログラムだ」と気づくことができました。

<否定することを否定する教室>

また、このような自らの意見を発信し他人と議論するような授業で大事になってくるのは誰の意見も否定しないということだと思います。

IBの先生は授業中に生徒の発言を否定することはせず、どんな意見でも受け止めてくれます。授業の内容や進め方だけでなく、個性を認めてくれる先生が教えてくれるという点も僕がIBを選んだ理由の一つです。

Bコースに進むためにはプレIBセッションを受けるという条件が山下くんの学校にはあるそうです。そのセッション初回に臨んた山下くんは大失敗をしでかしたと語っています。

そういえば、初めて受けたプレIBセッションで、熊谷先生はこのようなことを強調していました。

「この授業ではあなたの人格は評価されず、あなたの考えは否定されない。」

IBの授業では議論をしたり、自分の意見を発表することが多いですが、そういった時に「発言した内容によってその人の人格は決めつけられたり、評価されたりしないし、発言者の考えは否定されない」ということがわかっていれば自分の意見を素直に言い合って議論することができます。

自分自身のオリジナルのアイディアをブラッシュアップできるように多様なアイディアを持ち寄ることが歓迎される、そんな雰囲気を先生たちは作ってくれました。

<苦労と手応え>

僕はJapanese A(言語と文学)、歴史、Visual ArtsをSLで、English B、Math、ChemistryをHLで学んでいます。現在最も苦労していることはMathの課題と文系科目のエッセイです。僕はMathをHLで選択しているためほとんど毎日授業があり、それに合わせてかなりの量の復習の課題が出されます。

他の教科の課題もあるので、限られた時間の中で、すべてを終わらせることは本当に大変です。文系科目のエッセイは内容自体が難しいのはもちろんですが、どれだけ時間をかけて書いても「もう少しここを詳しく書いた方がいいのではないか」「もっと良い参考文献があるのではないか」などのいろんな考えが生まれてきて、エッセイを修正したくなってしまい、提出までに時間がかかりすぎてしまいます。エッセイのような明確な正解やゴールがない課題は、自分で期限を設定するなどして、限度を設定することが必要だと感じました。

IBの中で案外いけたことはTOKの授業です。本格的にIBDPが始まるまではがっつりTOKの授業を受けたことがなく、「IBの中でもTOKは特に難しい」という話を何度かきいていたので少し不安はありましたが、TOKで扱う「知識」はさまざまな教科に繋がっていて、授業で学んだことや自分が知っていることと結び付けて考えることができるため、知識に関する自分の意見を持つということはそこまで難しくないと感じました。また、TOKで得た知識はその教科の授業に還元することができ、自分の知識がより深いものになっているなと感じました。

<最後に>

IBDPを通して育ったスキルや知識はたくさんあるのですが、「今見えている物事を批判的にみたり、その背景や側面を読み取ろうとするスキル」はIBコースに入って最も成長したスキルだと思います。例えば、戦争のニュースを見たときに「なぜ戦争が起きたのか」ということだけでなく、「戦争に対する各国の反応とそこから読み取れることは何か」「過去にも似た事例があったのか」など多面的・多角的に物事を考えられるようになりました。

この投稿を読んでワクワクした人、自分がIBコースで学んでいけるか不安になった人、IBに少しだけ興味がわいた人、いろんな人がいると思いますが、少しでも気になったらIBコースの説明会やイベントに参加してみてください。実際にIBを体験してみると必ず新たな発見があると思います。そしてわからないことがあればIB生やIB科目を教えている先生にぜひ質問してみてください。

IBDPは決して楽な道ではないですが、その分学べることがたくさんあって絶対に成長できると僕は思っています。

最後まで読んでいただきありがとうございました!