皆さん、こんにちは。熊谷優一です。本日は、本ブログでもお馴染みの岩崎永光里さんへのインタビューをお届けします。
彼女は私がコーディネーターをしていた大阪市立(現府立)水都国際高等学校のIBコース(国際バカロレアディプロマプログラム)一期生です。学校開校当時の初めての入学生でしたので、IBに関する先輩たちの前例などありません。そんな手探りの中、彼女は45点満点中42点を取得し、現在はメルボルン大学で学んでいます。
インタビューしたのは約一年前、彼女がオーストラリアに旅立つときのことでした。
熊谷:メルボルン大学に行くことになったんだね。本当におめでとう。諦めずによく頑張ったよ。
岩崎:ありがとうございます。JASSO(日本学生機構)から奨学金をもらえることになってようやく行けることになりました。メルボルン大学からも奨学金が出ましたが、それだけだとやっぱり足りなくて、一旦は北海道大学に進学して、JASSOで知った国費留学生の試験を受けました。その合格が出たので、高校卒業後、一度進学した北海道大学は6月30日付で退学しました。
熊谷:北海道大学に在学したまま、休学してメルボルン大学で学ぶってことはできなかったの?
岩崎:それはできないんです。JASSOの奨学金は学位を取るために出る奨学金なので、日本の大学に在籍したまま、海外の大学に在籍する事はできないことになっています。したがって、日本の大学に在籍している場合は、JASSOに退学証明書を提出しないと、正式に奨学生として採用されません。
熊谷:メルボルン大学からも奨学金のオファーが来ていたよね。それはもらえるの?
岩崎:大学から出る奨学金をもらっても、それは大丈夫です。併給OKです。
熊谷:実際にJASSOからはどれくらいの奨学金が支給されるの?支給は円で?
岩崎:JASSOの奨学金は円で支給されます。年間250万円です。それに生活費として毎月7.4万円支給されます(追記:2023年度は少し制度が変わり年間300万円までになりました。それに加え、円安の特別支給として40万円支給されました)。
熊谷:現地通過ではなく、日本円で支給されるんだね。今は円安だしなぁ……。
岩崎:日本国内の口座に奨学金が振り込まれる仕組みなんです。確かに、円安なので、諸々出費がかさんでしまうのは事実ですね。だから、メルボルン大学からの奨学金だけだったら、学費や生活費を賄えない可能性があったので、北海道大学に進学しました。熊谷先生から受けられる奨学金は全て受けて、メルボルン大学に進学する道をギリギリまで探れと言われたこともあって、奨学金獲得に挑戦しました。
熊谷:第一希望を実現できたのは、最後までそれを実現するための方法を模索したからだし、どうすればそれが実現できるのかを考えながら、岩崎さんが対策してきたからだと思います。
岩崎:海外の大学に進学する事自体は目標としたので、奨学金についてはいつも意識していました。海外の大学に出願し、メルボルン大学の他にも、西オーストラリア大学(4年間で48000オーストラリアドル)、New South Wales(年間5000オーストラリアドル)から奨学金のオファーが合格通知と共に届きました。奨学金の金額は大学によっても異なりますし、ディプロマを何点で取得したのかによっても異なります。
熊谷:西オーストラリア大学の奨学金は他の大学に比べても多いよね。JASSOからの奨学金と合わせて、メルボルン大学ではなく、西オーストラリア大学に進学というのは考えなかった?
岩崎:JASSOの奨学金は応募時に登録したいずれかの大学に進学しないと受給できません。残念ながら西オーストラリア大学は登録し損ねてしまったので、進学は考えませんでした。また、JASSOの奨学金に応募するときに、そのリストの中から12大学まで希望大学を登録します。第5~12希望の大学に行く場合は再審査が必要になります。
熊谷:もしJASSOの奨学金が取れなかったら、西オーストラリア大学に進学していたと思う?
岩崎:どうでしょう……。西オーストラリア大学は結構な額の奨学金を出すという噂を聞いていたので望みをかけてみましたが、4年間で48,000オーストラリアドルの奨学金をもらっても、それ以上に学費は高く、円安が収まらなかったため実際には行くことが難しいと判断しました。
熊谷:私自身もJASSOのHPで見つけた各国の奨学金にいくつか応募して、韓国政府から奨学金を得て、延世大学大学院で学ぶことがきました。海外大学留学を考える際には、授業料と生活費をどのように賄うかという問題に直面します。日本の大学は学費の無償化が議論されていますね。例えば、大阪公立大学と大学院は令和8年度までに全学年で学費を無償にするという素案が出されています。そんな中、岩崎さんのお話は、将来海外留学を考えている皆さんにとって、具体的にどんな情報を得て何をどのように対策すればいいのかを示唆してくれていますね。
次回は国際バカロレア・ディプロマプログラムについて、IBディプロマの国内外の大学の出願日て、奨学金の申請書作成に苦労した話、メルボルン大学で学びたいことなど、ざっくばらんに岩崎さんに話を聞こうと思っています。