「IBの先生になるには」を読んでいる皆さんへ

みなさん、ご無沙汰しています。熊谷優一です。3月10日に投稿して以来、本ブログは更新が滞っていましたが、毎日多くの方にブログをご覧いただきありがとうございます。教育にまつわる様々な関心が高まっていることの表れだと感じています。今後とも現場、学習者目線から情報を発信していきたいと思います。

IB教員を目指しているみなさんに向けて、その方法について熊谷優一が解説します。

本ブログで最も読まれている記事は「IBの教員になるためにはどうすればいいか」について書かれたもので、今なお、多くの方に読まれ続けています。教員向けの内容なので、おそらくは現在学校現場で様々な葛藤を抱えている先生たちや、教員を目指している学生の皆さんに読まれているのではないかと思います。

既存の日本の学校教育への従事者として不満の解決をIBなどの海外の教育プログラムに求めるのはあまりにも性急だと思いますが、それらを知ることで現在の教育実践を振り返ることはできると思います。例えば、「探究」という言葉が昨今の教育業界ではバズっていますが、では探究は何を実現するために有効なのかという点について十分に理解され、説明されているでしょうか。

IBのカリキュラム改変に携わったEricsonとLanningは「探究に根ざした学習は概念を理解するために有効な手段であると説明しています(Transitioning to Concept-Based Curriculum and Instruction: How to Bring Content and Process Together)」。ある教科で学んだことが他の教科や実社会の場面場面で応用可能になるような概念を持つことを目的とした時、探究方学習は効果があるということです。

「変化」について考えてみましょう。日本語における変化は、例えば、共時的に見れば用言の活用があげられます。「変わらない(kawar-a-nai)」と「変わります(kawar-i-masu)」だけ見ても活用形の変化が意味の変化をもたらしていることがわかります。通時的に見ると、日本語の表記はどのように変わったのか、その変化はなぜ起こったのか、戦国時代の日本語の発音は現代の日本語の発音とどう違うのか。そしてそれは日葡辞書など宣教師が作った日本語の辞書を根拠に比較対照されているのか。などなど結果、探求になりますよね。

では、体育では「変化」を、化学や生物、物理ではどうでしょう?音楽では?って考えてみると概念って難しく考えるのではなくて、様々な科目の学習項目における共通するキーワードとして整理してみるととっつきやすいかもしれませんね。

そういう話し合いを先生たちがしていることを学習者に知らせること、先生たちが探求していることを見せることが探究の第一歩ではないでしょうか。学校という場所で最も楽しく学んでいるのが先生たちだということが学習者のモチベーションを高める最大の要因ではないでしょうか。それが実現できる環境を作るのは学校運営者の責任だと思います。先生たちを支援することが、結果として学習者を支援することに他なりません。

私はこの4月から校長になりました。この何ヶ月かブログを更新する余裕がありませんでしたが、今後ともマイペースにやっていこうと思いますので、どうかお付き合いください。教員にもいろいろな働き方があります。英語以外の科目で、英語で授業ができることで選択肢は広がります。いつかご一緒できたらいいですね。

さて、この半年くらい、古井愛さんが書いた「インドネシアから愛を叫ぶ」という、彼女がインドネシアでの生活での垣間見た現地の人々の暮らしについての記事が最も多く読まれています。古井さんは現在もジャカルタで生活しています。近々、新作をお届けできると思いますので、お楽しみに。

日本語アシスタントしての活動を間もなく終える熊谷の教え子、古井愛さんエントリーです。