みなさん、こんにちは。熊谷優一です。
2018年末に、「ドナルド・キーン・センター柏崎」を運営している公益財団法人ブルボン吉田記念財団の理事を務めている吉田眞理さんから伺った「命のアンテナ」という話を紹介しました。
しかしながら、正直言って、うまくまとめられなかったんですよね。そこで眞理さんに直接書いていただきました。それがこちらの「本家・命のアンテナ」です。ぜひ、保護者のみなさんに読んでいただきたいです。
今回は、執筆をお願いした時に交わした眞理さんとの対話を取り上げたいと思います。そのことが年末に私の教え子たちとの議論に繋がっていきました。
世界に平和をもたらす力
みなさんはカザフスタンのディマシという歌手をご存じですか?昨年、中国のコンテストで一夜にして大ブレーク。今世界的に確実にその素晴らしさが広がりつつあります。
眞理さんは、たまたま彼の動画を見て、彼の歌唱技術の素晴らしさと表情と指先までの体の動きを見て、世界をまとめる可能性がこの人にはあると直感的に期待したとおっしゃっていました。そして、彼には『命のアンテナ』がバランス良く立っているモデルとなりうると思ったそうです。そして、このようにおっしゃいました。
「命のアンテナの一番大切なのは『世界平和』を目標に持っているかどうかだと私は思っています。彼もインタビューの中で、どんな超能力がほしいかと聞かれた質問に、『世界平和をもたらす力』と答えていました。私はヤッパリと思いました」
平和の正体
そこから怒涛のようにパワーワードのシャワーを私は浴びることになります。ものすごい圧でした。シャワーじゃないですね、滝です。滝の下で行をしているが如く……。でもなんか違うな。宇宙のようかもしれません。そうですね、無重力でただ宇宙に漂っている。力むことなく、私は眞理さんの言葉の宇宙に身を任せます。
「平和の正体は『穏やかな精神環境』であると思っています」
その言葉を聞いて、私は「人と人は争うことを前提に、その中でどう解決していくのかをテーマに先生をしているな」と思いました。そして、次のように答えました。
「平和、平和っていうけど、人類はいまだかつて平和を実現したことがあっただろうかと。シベリアでは今もなお遺骨収集が継続されています。物理的に戦争は終わっても、実はまだ続いているのかもと思ったりします。でも明らかなことは平和でないことによって人は悲しいということです」
平和でないと人は悲しい
眞理さんは言います。
「『平和でないことによって人は悲しい』 これが世界共通の真実であると思っています。心の底から精神を落ち着かせること。そこから自己肯定感へと繋がります。自己肯定できている人は、人を傷つけなくてすみます。
彼の歌を聞いた人の表情に、彼の心の穏やかさが移っていく様子が感じられます。彼の言葉は、心が素直に言霊になって響いていきます。同じことを言っても、本当に心と体が感じていないと、影響を与えることができない。
自分の為、我欲ばかり追求していては真っ直ぐなアンテナが立ちません。先ず、生まれて愛のシャワーを浴びるところから、自己肯定感が生まれます。暖かい家庭環境と、徳のある人間教育がなされてきた証が平和の正体なのではないでしょうか」
くぅ~!私はもう何も言い返すことができませんでした。
最後に
教育の究極の目的は平和な社会の実現だと思います。銃弾が飛び交い、命の危険にさらされた状態で個人の自己実現を果たすために学ぶことはできません。平和であること、そのことがあらゆることの前提になっていると再認識した対話でした。
以前、ベトナムはホーチミンでフーンライというレスランを経営されている白井尋さんにも当ブログ(チノメザメ)に「教育という文脈 -白井尋さんの場合-」を書いていただいたことがあります。白井さんは、「良知」という言葉で人間には平和を求め、よりよくあろうとする力が備わっているとおっしゃっていたのを思い出しました。それが発揮されない状態を発揮できる状態に整えるのが社会事業とも。
誰かの言葉から私は多くを学びます。だから、あなたの言葉を聞かせてください。私は私の言葉で語ることにより、また多くを学びます。だから、私とお話ししましょう。
私は何でもない、フツーの人ですから、気兼ねなく「クマユウ!」って声をかけてください。私たちは対話することにより学び合い、心を通わせて、平和の輪が広がっていくと私はやっぱり信じているんですよね。それは年齢や性別や人種や信条によらず、語り合って、感情を交わすことから始まるんじゃないかと思うんです。
昨年末、吉田眞理さんとのこの対話を私の教え子たちに早速振ってみたんですね。現在ヨーロッパに留学中の塩田匠くんにはタイムリーな話題だったようです。次回はオンラインで行われた「平和の正体」についての議論を酒井優輔くんがレポートします。彼、物書きに向いていると思うんですがねぇ……。
どうぞお楽しみに。今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。